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フリーランスへの道のり

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外資系コンサルワーママが2027年までにフリーランス(ライター)になるまでの記録です
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#育児日記

調理前の『お米』に、号泣する準備はもうできている(育児エッセイ)【メディア掲載】

調理前の『お米』に、号泣する準備はもうできている(育児エッセイ)【メディア掲載】

「お母さん、お父さん、26年間育ててくれてありがとう……」

新郎に寄り添いながら、新婦が涙ながらにご両親への感謝の手紙を読み上げる。
王道かつ感動的な結婚披露宴のクライマックスに、私も思わず涙腺が緩みかけていた。

しかしその涙は、次に聞こえた司会の女性の声で足早に引っ込んでしまった。

予想外の贈り物

「それでは、新郎新婦のおふたりよりご両親へ、感謝の気持ちをこめてお米の贈り物です」

お、

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『予定のないゴールデンウィーク』を満喫して気づいた、なりたい自分(育児エッセイ)【メディア掲載】

『予定のないゴールデンウィーク』を満喫して気づいた、なりたい自分(育児エッセイ)【メディア掲載】

「じいじとばあばに、迷惑かけないようにね」
ご機嫌そうに手を振る娘2人に、車の外から少し厳しい『母』の声で伝えた。

「何かあったら連絡してね」
運転席に座る夫にも、良き『妻』として声をかけた。

百貨店の駐車場を出ていく車を見送って、私はひとり駅へと歩き始めた。
人通りの多い道中で、ニヤニヤと綻ぶ顔を真顔に保つのに苦労した。

今日私は、372日ぶりにたったひとりで夜を過ごすのだ。

3つの役割

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「30メートル」の旅が、私を最強にした(育児エッセイ)【メディア掲載】

「30メートル」の旅が、私を最強にした(育児エッセイ)【メディア掲載】

「それじゃ、行ってくるね」
意を決して、車の中で母に別れを告げた。

「なかなか連絡できないと思うけど、頑張って!」
静まり返った真夜中の駐車場に優しく響く母の声援が、私の重い身体をそっと押した。

これは、私の旅の記録である。
時は2021年。まだコロナウイルスという未知なる恐怖が世間を騒がせていた頃だ。
世界中の人が外出や旅行という娯楽を奪われていた時期に、私の旅は始まった。

それは距離にし

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2歳の娘のへたくそな言葉が、母の世界を変えてくれた(育児エッセイ)【メディア掲載】

2歳の娘のへたくそな言葉が、母の世界を変えてくれた(育児エッセイ)【メディア掲載】

やってしまった。

少し痺れた自分の右手と、表情をなくした娘の顔を交互に何度も見た。

私はその日、娘を初めて叩いてしまった。

第二子を出産して数週間後の出来事

去年の4月。
第二子を出産して数週間たった頃だった。
その日、私は本当に参っていた。

ずっと機嫌が悪く、おむつを替えても授乳をしても泣き続ける赤ちゃんを1日中抱っこしていた。
食事は取れず、トイレにも行けず、昨晩の睡眠時間はたったの

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育休中に、2歳の娘と丸一週間歩いてみた母の話(育児エッセイ)【メディア掲載】

育休中に、2歳の娘と丸一週間歩いてみた母の話(育児エッセイ)【メディア掲載】

「ママいや! パパがいい!!」

次女が産まれる直前に、長女は2歳になった。
その頃、長女の私への信頼は地に落ちていた。
この1年間、楽しい思い出の隣に居たのはいつもパパだったからだ。

長女の「2番手」に格下げされた母

長女が1歳を迎えてすぐに私はフルタイムで仕事に復帰した。
仕事と育児の最低限やるべきことをこなすだけで精一杯だった私に、追い打ちをかけたのが次女の妊娠だった。

長女の妊娠のと

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【メディア掲載】猛暑の夏に娘の髪の毛を切れない母の話(育児エッセイ)

【メディア掲載】猛暑の夏に娘の髪の毛を切れない母の話(育児エッセイ)

「本当にいいの? 元に戻せないけど」
手を繋いだ先の、小さな娘に向けて何度も尋ねた。
「いいの!」
母からのしつこい問いかけに、娘は飽き飽きした様子で答えた。

2023年の夏のある日。私は近所の美容院の前にいた。
髪を切りに来たのだ。
私ではなく、娘の髪を。

娘にとっては人生初めてのヘアカットだった。

娘について

2021年3月に産まれた娘は、春の花である「菜の花」から名前を付けた。
若い

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