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ひとり出版者

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2021年に立ち上げたkinologue booksの記録。映画しか知らない素人がどうやって出版者となれるのか、飽くなき挑戦です。
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記事一覧

ひとり出版者、ローカル書店めぐり(1)

ひとり出版者、ローカル書店めぐり(1)

先月のフィンランド出張に続いて、今月も5日間のローカル出張。といっても仕事はひとつだけで、あとは行きたいところを便乗追加。おかげさまで「マイヤ・イソラと旅する手帖」は継続的に受注があり、一部書店から数回目のリピート発注も。そうこうしているうちにまた倉庫の在庫が危うくなってきた。在庫が20冊を切るとamazon出荷停止となるそうなので、早めに納品しておいた方がよい残数になってきたが、出張前に出荷作業

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ひとり出版者、再始動(6)

ひとり出版者、再始動(6)

来週から5年ぶりにフィンランドに行くことになり、暫く書籍の発送ができない。発送停止とは大胆ですね!(普通誰かに頼むらしい)と言われたが、オンラインshopに発送お休みの告知を出す。書店におろす倉庫在庫数も確認せねばと思うが、オンライン発注システムの発注数からだけで確認するのは心もとない。トランスビューさんに聞いてみると、日次在庫報告来てませんか?との回答。え?来てなかったので今後送って貰うことに。

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ひとり出版社、再始動(5)

ひとり出版社、再始動(5)

kinologue books4冊目(種類としては3冊目)の書籍「マイヤ・イソラと旅する手帖」を8月11日に発売。3冊目も発売日は11日。1冊目の発売日を決めるとき、11/1=「本の日」より1冊多い11/11にした。発売日を同じ日に決めておくと、納品までのスケジュールが覚えやすいのもある。2冊目は5/11で、連休前の4/27が倉庫への発送日だった。1年前のあの日の自分を思い出すと今でもつらい。あの

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ひとり出版者、再始動(4)

ひとり出版者、再始動(4)

前回の再始動(3)note にあるように、『〈主婦〉の学校』AFTERBOOKを発売1年後に価格を変えて再発売した。1年前と同じ発売日にするとややこしいので、前日の5/10発売。十分ややこしいけど。再発売というのはこちらの勝手な言い方で、ISBNコードを新しくして発売したということは、新刊扱いなのである。それに伴い、トランスビューの共同DM「でた・でる」(トランスビューを取次としている出版社が今月

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ひとり出版者、再始動(3)→1年後

ひとり出版者、再始動(3)→1年後

再始動(2)は「次回へつづく」で終わっており、つづきがまさか1年後になるとは自分でも呆れる(笑)。しかし(2)の最後に書いた「#02の発送作業地獄」は本当に地獄で、一度始めたらやり通す信条が揺らぎそうになるくらい、酷かった。(2)を書いた1年後の今日、また同じ作業をしていたので、#02を制作・販売したこの1年を振り返ってみることにする。

3種類の本の発売日を5/11に決め、その10-14日前に倉

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ひとり出版者、再始動(2)。

ひとり出版者、再始動(2)。

3月15日。書店向け注文書の入稿、確定申告締め切り、来年1月公開映画のオンラインmtg。ちゃんとどれも無事に完了、我ながらよく頑張った1日だった。注文書を作成したことで、やっと版元ドットコムに詳細を打ち込めるようになった。しかし、この時点で#02はラフのデザインも上がっておらず、原稿を書いたり、取材をしたりという状況。形がないものの受注を取るというのは、小心の自分にはかなりのストレス。ドキドキの#

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ひとり出版者、再始動(1)

ひとり出版者、再始動(1)

2020年11月11日に『365日のシンプルライフ』DVDブックとミニブックを出版。ツテを辿っていくつかの書店や映画館で、あとは手売りとオンラインショップ(Amazonも)という、出版流通を通さない弱い販売網で細々と販売してきた。在庫はまだまだあるものの、補助金のおかげもあって、発売1年で何とか採算はとれた。最初から大きくやらず、安全策を取って進めてきたのが功を奏したのだろうが、当然ここで終わるわ

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ひとり出版者になるということ。(4)

ひとり出版者になるということ。(4)

11/1が「本の日」ということは、世の中でどれくらい知られているのだろうか。先ずはその日に合わせて発売することを考えたが、ちょっと間に合いそうもない。それだったら、111よりも1111の方が多く本が並んでいるみたいだよなぁと思い、11/11をDVDブックの発売日とすることとした。そして、発売リリースを9月終わりに出すことにした。
DVDブックのモノとしての形が見えてきて、スケジュールも決まったとこ

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ひとり出版者になるということ。(3)

ひとり出版者になるということ。(3)

前回書いたように、DVDブックを出版するには今年が絶好の機会だとは思ったものの、新型コロナの感染拡大が中国で起きている対岸の火事ではなくなった頃から、正直モチベーションが下がっていった。4月に映画館が休館となって本業の映画配給に危機を感じ、業界の先輩たちと Help! The 映画配給会社プロジェクト を立ち上げ、暫くはそれに追われる日々だった。プロジェクトがローンチしてようやく落ち着いてきた時に

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ひとり出版者になるということ。(2)

ひとり出版者になるということ。(2)

好機が訪れた(と思った)のは今年の2月初め。まだコロナは中国で流行っているものと思われていた頃のこと。TVの撮影で日本に来ていた『365日のシンプルライフ』のペトリ・ルーッカイネン監督と久しぶりにごはんを食べた。いつもヘルシンキで会っていたので、東京で会うのは不思議な感じ。その時に、実は去年、この映画がベースになったドイツ映画が作られて、プレミアに招待されて行ったんだよ、と聞かされた。そしてスマホ

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ひとり出版者になるということ。(1)

ひとり出版者になるということ。(1)

遡ること2年半前。修士論文を進めている最中に、独立系取次トランスビューの工藤さんを訪問した。映画配給つまりは映画の流通が研究領域の私にとっては、メディア流通の先輩格である出版流通は押さえるべき対象だ。縮小し続ける出版産業、雑誌不振による取次システムの綻び、2000年頃から出てきた小さな出版社、カフェ併設や雑貨を販売する独立系書店など、ここ20年の動きは映画業界と共通するところが多い。

出版社でも

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