見出し画像

ひとり出版者、再始動(1)

2020年11月11日に『365日のシンプルライフ』DVDブックとミニブックを出版。ツテを辿っていくつかの書店や映画館で、あとは手売りとオンラインショップ(Amazonも)という、出版流通を通さない弱い販売網で細々と販売してきた。在庫はまだまだあるものの、補助金のおかげもあって、発売1年で何とか採算はとれた。最初から大きくやらず、安全策を取って進めてきたのが功を奏したのだろうが、当然ここで終わるわけではない。【AFTER THE CINEMA 映画の「その後」を語る本】はシリーズであり、#01を出したに過ぎないのだ。シリーズ#02の構想は、#01を出した頃に同時並行で進めていた単独配給作品で膨らんでいった。最初から本を出すことを前提に配給をしたらどうなるだろう?「『その後』を語る」に値する作品だろうか?共同配給者がいたら説得が難しい案件なので、単独配給を決めた理由の一つにもなった。出版のことを頭の片隅におきながら、配給を進めていくこととなる。

『365日のシンプルライフ』ミニブックのまえがき。
「今回の映画〜」とシリーズ化を匂わせている。

#02を出版するにあたって決めていたのは、今度はちゃんと出版流通に乗せること。久しぶりにトランスビュー工藤さんに連絡して、基本業務受託単価の最新版を貰う。ひー、また上がってるよ!しかし、そんなことではひるまない。今度は流通に乗せると決めたのだから。正式にトランスビューさんに取次代行を依頼する(2022年2月)。2年前には始まったばかりだった受発注webシステム「BOOK CELLAR」が稼働しているようだ。この時点で、#02はまだ影も形もない。プレス資料からの流用以外、取材は始めていたものの、原稿化は殆ど未着手。つまり、本を作りながら、流通に乗せるための作業を同時に進めていくことになった。この頃はまだその現実の厳しさが見えていなかった。2ヶ月後の自分は「もっと早くやっておけよー!」と怒り心頭だが、追い詰められないと本気が出ないのだから仕方ない。

以前BOOK CELLARに登録したとき、京都の恵文社が登録してくれただけで気分が上がった。

マニュアルを見ながら、工藤さんに「素人質問ですみません」とたびたび連絡する。いつも即答してくれるのが本当に有り難かったが、出版用語で返されると「これはこういう意味ですか?」と再度質問。イライラさせただろうなぁ。笑。マニュアルの初めの方に「版元ドットコムに登録」とある。なにそれ?サイトを見ると入会金も月会費もあるので一瞬ひるんだが、「もう覚悟を決めたんじゃないの?」と自分に舌打ち。早速入会申し込みすると、事務局の対応が迅速で、数日で登録完了。なるほど、これで全国の書店や読者に、kinolougue booksという出版者と本を知ってもらうことができるのか。ISBNを取ったときに「これで出版者になったんだー!」と感慨があったが、それ以来の感慨。そしてもう後戻りは出来ないのだと、改めて実感する。
この時点で3月上旬。そろそろ発売日を決めておかねばならない。倉庫に納品してから書店発送日(ネット書店の登録含む)までは2週間はみておかねば、発売日に書店・ネット同時発売にならないという。それもGWが入るので、遅れることは必至。とりあえずネット書店は、kinologue booksのショップとAmazonで発売することでフォロー。そこから逆算すると4/15には入稿しないと間に合わない。原稿は少しずつアップしているものの、まだラフのデザインさえ見ていない状態。あはは、これは本気でヤバいね。

これまで読者として版元ドットコムを見ることはなかったが、これからは利用しよう!

DVDブックにセットとなっていた冊子=ミニブックを、この機に単体で発売することにした。以前、DVDブック出版の相談を工藤さんにしたときに、ミニブックを単体で売った方がいいと言われた。しかし、その時には、DVDの在庫を何とかしたいという本来の目的を見失いそうになるので、ISBNコードをつけて書店等で販売したのはDVDブックのみに。ミニブックは『100日間のシンプルライフ』上映劇場とkinologueのネットショップのみで販売した。遂に満を持しての全国書店販売である。しかし、ミニブックという名称はどうなのだろう。ということで、お風呂に入っているときに思いついたのが、AFTER BOOKというネーミング。そんなの実在するのかしら、と調べてみると、ライブツアー後についての本などが存在していた。『365日のシンプルライフ』AFTER BOOKと名称が決まり、価格も1,000円(税別)となった。ISBNと書籍JANコードのバーコードのシールを制作しなきゃーと思っていたら、デザイナーさんから表紙にも帯的な内容を入れた方がいいのでは、と提案があった。帯をつけるほど予算もないし、ここもシール対応でいくことに。全てが仮のまま、3月中旬の書店向け注文書を作成することになった。この時点でちゃんと決まっていたのは本の名称と価格くらい。ふわっとしたまま、注文書つまりは広告的内容を作るのはかなりきつく、修正につぐ修正でデザイナーさんを困らせる。この注文書を以て、kinologue booksは3冊のラインナップを揃えていることを告知することとなり、書店からの発注を待つことになる。果たして反応はあるのか?(次回へつづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?