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ひとり出版者、ローカル書店めぐり(1)

先月のフィンランド出張に続いて、今月も5日間のローカル出張。といっても仕事はひとつだけで、あとは行きたいところを便乗追加。おかげさまで「マイヤ・イソラと旅する手帖」は継続的に受注があり、一部書店から数回目のリピート発注も。そうこうしているうちにまた倉庫の在庫が危うくなってきた。在庫が20冊を切るとamazon出荷停止となるそうなので、早めに納品しておいた方がよい残数になってきたが、出張前に出荷作業をしている時間がなく、出張後に補充しまーすとトランスビューさんに連絡した。そんな時に限って、10冊単位の発注があり、出張中もヒヤヒヤ。しかし、ギリ何とかなるのがイイところ。とか言ってると、そのうちヤラれそうだけど。
そういえば、出張中に初めてpen magzineにて紹介記事が出たのだった。本誌にも出ているのかな?(見本誌送付が来ないから未確認)。全くメディアに売り込みをしてないのに、ありがたい限り。

お勧めする本3選のうちの1冊。興味深いセレクトに入って嬉しい

今回の出張の楽しみのひとつはローカル書店めぐり。これまでのローカル出張では、上映でお世話になっている映画館訪問が楽しいが、これに書店も加わった。しかし映画館での上映作品本数と本屋の書籍取り扱い数は桁違いに異なるので、認識してもらっている自信が全くない。

交通量の多い道路を挟んで、穏やかな湖が広がっている。「汽水空港」という店名がぴったりだ

1軒目は鳥取・湯梨浜(駅でいうと松崎)の「汽水空港」。ここの近くのゲストハウス・たみと共に、ずっと行きたいと思っていた書店だ。昨年くらいから、kinologue booksの本を取り扱って頂いているが、2016年に恩師が出版した雑誌「5」のkinologueの活動が掲載された同じ号に汽水空港についても載っていた時から気になっていた。久しぶりに読んでみると「湖岸のカウンターカルチャー実験場」とタイトルがつけられていた。なるほど。掲載されている当時の写真と比べると、店頭の賑やかさが増している。しかし、こんなにドアがガッチリ閉まった書店って珍しい気も。笑。ドアを開けて入ると何やら話し声。お客さんと恐らく店主のモリさんが喋っている。入ってすぐのところにZINEや自費出版コーナーがあり、いきなり釘付け。新刊と古本が混在しているようで、立ち読みするときも大事に扱ってくださいと書かれてカバーがついている。独立系書店で探したいものの一つが、ZINEだ。特にローカルは首都圏にはないものに出会える可能性が高い。SNSで見た「これかー!」みたいな出会いがある。しばらく物色しているとkinologue booksのAFTER THE CINEMAシリーズ2冊が映画コーナーにあるのを発見。確かめられたのは嬉しいけど、売れてないということか、と複雑な気持ちがした。それから、独立系書店でよく見かけるのは、本づくりや本屋についてのコーナー。ここでも引き続き物色。あー!コレ読みたかったやつ!が見つかった。一通りの物色が終わったので、お客さんとの熱いトークに割って入るのは勇気がいったが、コーヒーを注文しつつ、モリさんにご挨拶。ピンときているような、きてないような、だったが温かく迎えて頂く。とりあえずマイヤ本は見つからなかったので、売れていたのかもしれないが、AFTERBOOK2冊については、実は映画本の棚じゃなくて暮らしを考える棚に置いて欲しいと内容を説明。余計なお世話だけれど、ナルホド!と言って頂いたので、ホッとする。小一時間くらいのあいだ、色んな人がやってくるのに驚く。普通のお客さんだけでなく、事業展開の相談に来る人やビールを頼む常連さんらしきおじさんなど、ここならではなのかもしれない。数年前に近くに出来たジグシアターさんの話を色々伺っていると、ちょうど運営されているお二人が店の前を通り過ぎようとしているのをモリさんが引きとめてくれた。その日は上映がなかったので、翌日上映前に伺うことを約束。自営業の人が店が終わってから観に行ける時間帯にも上映があって、嬉しいとモリさん。汽水空港とジグシアター、どちらも地元の常連さんに愛されていて、仕事と暮らしのバランスを程良くとってくれているよう。

汽水空港さんで購入した本たち。旅の前半にどうするの?な数になってしまった

2軒目は、京都・一乗寺の恵文社。言わずもがなの有名店で、京都に行ったら必ず立ち寄る書店だ。私だけでなく、ここを訪れる人がきっと感じることだと思うが「何かで見て気になっていたけど、忘れていた」本に出会える場なのだ。本の並べ方でこんなに創発され具合が違うのかと、いつも驚かされる。

一乗寺私的必須の3軒は、こちらとkeiokairaiさんと亀屋光洋さん

今回の訪問はちょっと違う。というのも3冊目にして、初めて10冊発注して頂いたからだ。恵文社に自分の本が並んでいるのを見たい!その一心で京都に1泊したようなもの。これまでのように、お客さんの1人としてだけでなく、お取引頂いている出版者として伺うのはドキドキする。色々物色しながら、どこにあるかなぁとマイヤ本を探す。あってもおかしくない棚を隈なく探したが、ない。1冊も出してないとかあるのかしらん、と思っていたら、隣で立ち読みをしていた女子がサッとマイヤ本を平積みに置いた。おお!こんなところに!え、でも1冊だけ?これはお店の方に聞いてみるしかない。

恵文社ではラコステ、テロワール、調香師に囲まれているマイヤ

大失態なのが、名刺が切れていたこと。あんなに持っていたのに、豊岡で配り過ぎた。名刺がない非礼をお詫びしつつ、お店の方にお声がけすると「北欧好きなお客さまが多いですし、売れてますよ」と嬉しいお言葉。そして「残りがこれだけなので、また発注しようと思ってました」と言われて泣きそうに。発注担当の方ともお話しすると、ちゃんとオンライン視聴チケットを確認してくださっていたことがわかった。調子に乗ってイベントをやりたい話までして帰ってきたのだが、その後メールを頂きびっくり。名刺(それぞれの担当と好きなことが書かれているのが素敵だ)を頂いたのはこちらだったのに、マイヤ本の問い合わせ先に送って下さったのだ。丁寧な仕事に頭が下がる。こんな方たちに長く売って頂けるように頑張ろう!と心から思った。帰ってすぐに地獄の出荷作業に取り掛かったのは言うまでもない。

SUREコーナーから暫く動けず。袋がかわいすぎて捨てられない。


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