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#30 特別支援教育:整列できない子どもたちへの理解と対応策:9つの事例から学ぶ

前回の続きです。↓前回の内容はこちらです。↓

整列で気になる子について9つの例をあげました。
今回はその9つの整列ができない理由について、どのような支援や対策が必要なのか考えていきます。

①遅刻して、朝の準備が終わってなく整列できていない子。
→支援を要する子の中には、毎日遅刻する子がいます。整列よりまず遅刻の原因を突き止め、改善策を保護者と連携して考えていく必要があります。

②整理整頓が苦手で準備が終わってない子。
→整理整頓が苦手な子どもに早く準備しろと言っても無理です。誰かに手伝わせるか、もしくは後でやってもいいことを伝え整列させます。

③今日、集会があり整列することに気づいてない子。
→黒板に朝の予定を書き、時計板と集会イラストを掲示しておきます。「黒板みてご覧。今日の朝の予定書いてあるよ。」と言えば気付くはずです。

④友達とふざけて遊んだり、話をしたりして並んでない子。
→これは支援を要する子だけではなく、学級の実態です。学級全体の指導が必要です。

⑤朝、登校前に家で母親に叱られ、クールダウンできないまま教室に来て、塞ぎこんでる子。
→少しでもよいから話をきいてやり、気持ちをなだめます。

⑥登校中や教室で友達とトラブルあり、クールダウンできずイライラしてる子。
→これは、原因を究明するまでに時間がかかります。隣のクラスの先生にお願いして、クラスの子どもを預けます。朝会の間にじっくり話を聞いてやります。関わりのある子どもがわかる場合には、その子も残して話を聞きます。
一番はじめのきっかけまで必ず遡り、指導します。

⑦黒板に書いてある、今日の予定をみて、変更あることに気付き、納得できず準備がすすまない子。
→変更した時間割は変えられないので、話を反らし、一端忘れさせ、気持ちを切り替えさせます。このような子どもがいる場合には、必ず事前に伝えておくのを忘れないようにしましょう。

⑧「先生、今日は何順ですか?」と並び方をききにくる子。
→この子は、空間認知が弱く、人が少ない中で並ぶことが苦手だったり、場の状況が読み取ることが苦手だったりします。

避難訓練で早い者順などで並んだ経験から、背の順か、来た順か単純にわからないのかもしれません。
また、早いもの順という並び方であって欲しいという期待を込めた担任への質問の可能性もあります。

早く整列しようとしたことを褒めてやり、その子のだいたいの場所を教えてあげましょう。
また、廊下で並ぶ際、だいたいどの辺りになるのか床に目印のシールなど貼っておくのもよいです。

⑨「先生、○○さんが、嫌なことしてきました。」と報告にくる子。
→⑥と対処はにています。
これも嫌なことされた原因をつきとめないといけません。
被害を訴えてきたからと言って本当に被害者なのかはわかりません。
一番はじめのきっかけまで、必ず遡ります。
被害者として訴えた子が、一番はじめの加害者だったなんていうことはよくあります。
例えば「肩をたたかれた」と訴えて来た子どもがいたとします。
叩いたと思われる子どもに訊くと、
「たたいてない」ときっぱり否定することがあります。
ここで、「どちらかが、嘘をついてますね」などと指導していませんか?

これは、嘘をついてるのではありません。
これを理解しないと、叩いたことをごまかす悪いやつと追い詰めることになりかねません。気をつけて下さい。

叩いた子は、距離感つかめず、人にぶつかりやすい子です。
普段の動きも活発で、廊下などはよく走る子かもしれません。
単純に興味があって近づいただけなのかもしれません。
いずれにしろ、叩いたのではなく、あたってしまったことに、本人も気づいていないのです。

このような時は、「右手が○○さんの肩にあたったんじゃないかな?」ときいてみましょう。

「言われてみれば、確かに当たったかも。」
ときたら、わざとじゃないけど、当たったことを謝らせます。

あたってもないと言ったらどうします?

その場合は、起きた出来事を再現させて現場検証をします。
するとほとんどの場合、接触した可能性を否定できないことがわかるはず。
さらに第3者の証言もとりつけます。
状況証拠から、あたったと判断できる場合には、無意識にあたってしまうこともあるし、わざとじゃなくても一言「ごめん」って言うよう指導します。

ただ、それでも本当にあたってもないと、頑なに否定することも、稀ですがあります。その場合どうするか?

その場合、被害者として陳情にきた子の捏造の疑惑が浮上します。

といったように、整列一つ取り上げても、これだけの支援や対応があるのです。
低学年のうちは、特に丁寧に指導が必要です。
適当に指導すると、次の日に長文の連絡帳がきます。

そればかりか、理由も確認しないで頭ごなしに、整列できていない子どもに対し、「早く並びなさい!」という注意を日常的に行ってると、子どもたちの気持ちは離れていきます。
当然指示も通らなくなります。

整列一つとってもこれだけたくさんのことが考えられます。
つまり、整列以外にも、1日の中で困り感もって生活してる子どもはたくさんいるということです。
特別支援の理解なしに、学級経営はできません。

一人一人の気持ちに寄り添うことのできる教師でありたいと思い、日々奮闘してます。

参考になる方がいたら幸いです。

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