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リエゾン学級経営 第8章「知らないと損!基本コンセプト」 #133

リエゾン学級経営とは?

中教審答申「令和の日本型学校教育」実現への課題

令和の日本型学校教育は、2020年代を通じて目指すべき学校教育の姿として、中央教育審議会において答申されたものです。
この答申では、全ての子供たちの可能性を引き出すために、個別最適な学びと協働的な学びの実現を重視しています。

個別最適な学びとは、一人ひとりの子供の興味・関心や学習状況に応じて、最適な学びを提供することです。
そのためには、子供の理解度や習熟度を把握し、その結果に応じて指導内容や方法を調整することが重要です。
また、子供自身が自分の学びを主体的に考え、計画・実行・評価できるような環境を整えることも大切です。

協働的な学びとは、子供同士が協力しながら学び合うものです。
そのためには、子供同士が協力し合うためのルールやマナーを身に付け、お互いに尊重し合いながら学び合えるような環境を整えることが重要です。
また、子供たちが主体的に学び合うことができるような課題や活動を設定することも大切です。

令和の日本型学校教育が目指す個別最適な学びと協働的な学びは、いずれも子供たちの主体性を育むことにつながります。
子供たちが自分の興味・関心や学習状況に応じて学び、お互いに協力し合いながら学び合うことで、自ら考え、行動できる力を身に付けることができるのです。

個別最適な学びは、「個に応じた指導」の理念を具体化するものとして位置づけられています。
支援を必要とする少数派の子どもたちは、診断の有無にかかわらず、さまざまな特性や課題を有しています。
そのため、一人ひとりの特性や課題に応じて、学習内容や方法を調整することが重要です。

協働的な学びは、「共生社会」の実現に向けた重要な取り組みとして位置づけられています。
支援を必要とする少数派の子どもたちは、多数派の子どもたちと共に学校生活を送ることになります。
したがって、多数派と少数派が互いに寄り添い合いながら学び合っていかない限り、共生社会の理解や共感力を育むことはできません。

この個別最適な学び・協働的な学びの実現の障壁となる課題が2つあります。
①特別支援教育のスキルアップ。
②多数派と少数派が互いに寄り添いあい、共感しながら学び合うことのできる学級づくり。

この2つを解消しない限り、令和の日本型学校教育は実現は絶対にできないと確信しています。

この2点を解消する学級経営手法が、リエゾン学級経営です。

このような現状や課題をふまえ、
多様性を尊重し共に学び成長する新たな教育アプローチとしてリエゾン学級経営を考案しました。
この考え方のベースとなっているのは、多数派が使う「ふつう」という言葉の違和感からです。

多数派が使う「ふつう」には、どんな意味があるのでしょう?
「みんなと同じ」
「多くの人と同じ」
ではないでしょうか?

「ふつう、チャイム鳴ったら座るよね」
「ふつう、発言したいときは手を挙げるよね」
といったような使い方を、多数派の人達は無意識にしています。

そして、みんなと同じであることを「ふつう」としてしまったのが、日本の教育システムです。

ここで多くの人が使う「ふつう」には、おそらく悪意はありません。
「ふつう」であることで居場所を確保し、みんなと同じという安心感を抱きたいだけなのです。
ですが、結果的にみんなと同じようにできない子たちを少数派として追い込み、居場所をなくしていったことも事実です。
同調圧力という言葉は、まさにこの多数派優位の社会の状況が生み出した負の遺産と言えます。

日本は学制以降、一斉指導スタイルを原則として指導をしてきたため、一人の教師が、同じ課題を40人近くの子どもに教えてきました。

それゆえに、
「みんなと同じであること」が強要されてきた歴史があります。
それが積み重なって大きな負の財産となってしまいました。
令和時代の教育においては、この負の財産を払拭すべく、「ふつう」のパラダイム変換をしていかない限り教育の未来はありません。

「ふつう」という概念のパラダイム変換については↓をご覧ください。

リエゾン学級経営とは、
「少数派と多数派が互いに寄り添い合い、共に学び、クラス全員が成長するための教育的なアプローチのことです。」

※少数派とは学級で個別の支援を要する児童
※多数派とは個別の支援を必要としない児童

全員が多様性を尊重し、誰にとっても居心地のよい場、楽しく学びながら互いを認め合う学習環境を築き、目標に向かって努力しながら成長できることを目指します。

学級経営(ゴール設定)×心理的安全性(居場所づくり)×特別支援理解教育(多数派・保護者・職員への理解)=リエゾン学級経営

リエゾンとは、もともとフランス語からきた言葉です。
連携や結びつきを意味していて、医療現場でよく使われています。

これからの学級経営において、多数派と少数派の連携や保護者や校内外の人材との結びつきを強化し、互いの理解を深め合うことが必要不可欠であると感じ、

リエゾン学級経営と名付けました。

次の学習指導要領改訂では、特別支援教育の理解が一層求められる内容となることが予想されます。

そういう意味で、このリエゾン学級経営の理論は、令和時代における学級経営の基本となっていくはずです。

これまで
第1章:教室で困り感を示す子ども達が増加の原因
第2章:不登校児増加問題
第3章:誰にとっても居心地がよいクラスづくり
第4章:特別支援理解教育
第5章:学級経営論
第6章:特別支援理解教育の2つの実践
第7章:リエゾン学級経営の可能性
について説明してきました。

今回は、

「リエゾン学級経営」のコンセプト


についてです。

多様性を尊重し、包括的な学習環境を提供しながらも、一人一人の特性や実態にあった対応をすることを目指しています。

子ども同士・担任とクラスの子たちとの間での共感、理解、協力を通じて、異なる背景や能力を持つすべての子が、共に学びながら成長する場を作り出すことを目指しています。

つまり、少数派と多数派が互いに理解し合い、支え合いながら共に学ぶことで、より豊かな学びと成長の実感を目指すコンセプトと言えるでしょう。

これからの学校教育において、
学級担任は全員、特別支援教育の知識及び理解が求めれます。
知らなかったでは済まされない時代になってきています。
特に特別支援教育の研修などをうけてきていない先生方は注意が必要です。
30歳以降の先生(経験7年未満の先生)はおそらく、自分からすすんで研修していないかぎり、勤務校以外では研修していないと思います。

特別支援教育の重要性に気づいている自治体は、初任者研修で、特別支援教育の基礎演習を時間をかけて取り組んでいるところもあります。
2016年の障害者差別解消法の施行により、特別支援教育が注目されはじめ、この頃から特別支援教育が初任者研修で必須となってきています。
だから若い先生ほど、特別支援教育の知識はもっています。
おそらく、2016年より前に先生になった方々は特別支援関係の先生でもない限り、専門的な研修などはうけてきていないのではないかと予想されます。
さらにいうと、年配の方々は……😿
もっと勉強がしたほうがいいかな、というのが私の印象です。
ここまで法改正されているのに、知らないですむ問題ではありません。
「合理的配慮」という言葉を知らないで、教員などやってはいけない時代になりました。

しかし、特別支援教育の理解があるから、あるいは、特別支援の知識が豊富にあるからといって、学級経営がうまくいくわけでもありません。

そのため、

リエゾン学級経営

が必要となるわけです。

初任で通級担当教員を経験してから、学級担任をしたことがある方ならその意味がよくわかると思います。

通級教室と通常教室では世界が違います。


通級教室で子どもを注意することは、まずありませんし、私の知る限り出会ったこともありません。
ですが、通常学級では、注意しなければならないことは山ほどあります。

通級教室担当から、学級担任なるとはじめにぶち当たる壁がこの「注意」です。
通級担当では子どもを注意することがそもそもないので、学級担任になっても注意ができなくなってしまいます。
ですが、少数派の子たちにも、場合によっては厳しく注意指導が必要となる場面にも遭遇するのです。
通級から学級担任になったら起こる葛藤です。
この環境変化に適応できずに、体調を崩してしまう先生もいます。

では、学級担任になったらまず何をしなければいけないのか?

それは、
少数派への理解教育の実施です。
いわゆる多数派工作。
これをしないとトラブル対処に追われることになります。

多数派の子たちの少数派の子たちへの誤解を解き、理解をしてもらわないことには始まりません。
ではどうやって理解させるのか?

実践編にて紹介していきたいと思います。

リエゾン学級経営とは、
「少数派と多数派が互いに寄り添い合い、共に学び、クラス全員が成長するための教育的なアプローチのことです。」

全員が多様性を尊重し、誰にとっても居心地のよい場、楽しく学びながら互いを認め合う学習環境を築き、目標に向かって努力しながら成長できることを目指します。

少数派と多数派が共に成長する学級での可能性は無限大です。
未来の社会を担う子どもたちが、多様性を受け入れながら共に進化成長し、共に学び合う未来への扉を開くために、リエゾン学級経営を取り入れていくことをおススメいたします。

一人でも多くの方がこのリエゾン学級経営に賛同し、実践していただけることを願います。
すべての子どもの幸せを祈って!

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以上、リエゾン学級経営のコンセプトでした。
それではまた!


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