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#124 リエゾン学級経営 第5章「学級経営理論をもとにした学級づくりの必要性」

リエゾン学級経営とは?

中教審答申「令和の日本型学校教育」実現への課題

令和の日本型学校教育は、2020年代を通じて目指すべき学校教育の姿として、中央教育審議会において答申されたものです。
この答申では、全ての子供たちの可能性を引き出すために、個別最適な学びと協働的な学びの実現を重視しています。

個別最適な学びとは、一人ひとりの子供の興味・関心や学習状況に応じて、最適な学びを提供することです。
そのためには、子供の理解度や習熟度を把握し、その結果に応じて指導内容や方法を調整することが重要です。
また、子供自身が自分の学びを主体的に考え、計画・実行・評価できるような環境を整えることも大切です。

協働的な学びとは、子供同士が協力しながら学び合うものです。
そのためには、子供同士が協力し合うためのルールやマナーを身に付け、お互いに尊重し合いながら学び合えるような環境を整えることが重要です。
また、子供たちが主体的に学び合うことができるような課題や活動を設定することも大切です。

令和の日本型学校教育が目指す個別最適な学びと協働的な学びは、いずれも子供たちの主体性を育むことにつながります。
子供たちが自分の興味・関心や学習状況に応じて学び、お互いに協力し合いながら学び合うことで、自ら考え、行動できる力を身に付けることができるのです。

個別最適な学びは、「個に応じた指導」の理念を具体化するものとして位置づけられています。
支援を必要とする少数派の子どもたちは、診断の有無にかかわらず、さまざまな特性や課題を有しています。
そのため、一人ひとりの特性や課題に応じて、学習内容や方法を調整することが重要です。

協働的な学びは、「共生社会」の実現に向けた重要な取り組みとして位置づけられています。
支援を必要とする少数派の子どもたちは、多数派の子どもたちと共に学校生活を送ることになります。
したがって、多数派と少数派が互いに寄り添い合いながら学び合っていかない限り、共生社会の理解や共感力を育むことはできません。

この個別最適な学び・協働的な学びの実現の障壁となる課題が2つあります。
①特別支援教育のスキルアップ。
②多数派と少数派が互いに寄り添いあい、共感しながら学び合うことのできる学級づくり。

この2つを解消しない限り、令和の日本型学校教育は実現は絶対にできないと確信しています。

この2点を解消する学級経営手法が、リエゾン学級経営です。

このような現状や課題をふまえ、多様性を尊重し共に学び成長する新たな教育アプローチとしてリエゾン学級経営を考案しました。

この考え方のベースとなっているのは、多数派が使う「ふつう」という言葉の違和感からです。

多数派が使う「ふつう」には、どんな意味があるのでしょう?
「みんなと同じ」
「多くの人と同じ」
ではないでしょうか?

「ふつう、チャイム鳴ったら座るよね」
「ふつう、発言したいときは手を挙げるよね」
といったような使い方を、多数派の人達は無意識にしています。

そして、みんなと同じであることを「ふつう」としてしまったのが、日本の教育システムです。

ここで多くの人が使う「ふつう」には、おそらく悪意はありません。
「ふつう」であることで居場所を確保し、みんなと同じという安心感を抱きたいだけなのです。
ですが、結果的にみんなと同じようにできない子たちを少数派として追い込み、居場所をなくしていったことも事実です。
同調圧力という言葉は、まさにこの多数派優位の社会の状況が生み出した負の遺産と言えます。

日本は学制以降、一斉指導スタイルを原則として指導をしてきたため、一人の教師が、同じ課題を40人近くの子どもに教えてきました。

それゆえに、
「みんなと同じであること」が強要されてきた歴史があります。
それが積み重なって大きな負の財産となってしまいました。
令和時代の教育においては、この負の財産を払拭すべく、「ふつう」のパラダイム変換をしていかない限り教育の未来はありません。

「ふつう」という概念のパラダイム変換については↓をご覧ください。

リエゾン学級経営とは、
「少数派と多数派が互いに寄り添い合い、共に学び、クラス全員が成長するための教育的なアプローチのことです。」

※少数派とは学級で個別の支援を要する児童
※多数派とは個別の支援を必要としない児童

全員が多様性を尊重し、誰にとっても居心地のよい場、楽しく学びながら互いを認め合う学習環境を築き、目標に向かって努力しながら成長できることを目指します。

学級経営(ゴール設定)×心理的安全性(居場所づくり)×特別支援理解教育(多数派・保護者・職員への理解)=リエゾン学級経営

リエゾンとは、もともとフランス語からきた言葉です。
連携や結びつきを意味していて、医療現場でよく使われています。

これからの学級経営において、多数派と少数派の連携や保護者や校内外の人材との結びつきを強化し、互いの理解を深め合うことが必要不可欠であると感じ、

リエゾン学級経営と名付けました。

次の学習指導要領改訂では、特別支援教育の理解が一層求められる内容となることが予想されます。

そういう意味で、このリエゾン学級経営の理論は、令和時代における学級経営の基本となっていくはずです。

これまで
第1章:教室で困り感を示す子ども達が増加の原因
第2章:不登校児増加問題
第3章:誰にとっても居心地がよいクラスづくり
第4章:特別支援理解教育
について説明してきました。

今回は
第5章は学級経営についてです。

まずは、「学級経営とは何か」がわからないのに、リエゾン学級経営は語れません。
これまでに学級経営についていくつか記事を書いています。
くわしくはこちらをご覧くださいませ↓

学級経営といっている以上、学級担任は学級を経営するのです。

では経営とは何か?

「事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行すること。また、そのための組織体。」

goo 国語辞書

学級経営とは
「クラスが学びの集団として成立するよう、担任が、継続的・計画的に意思決定を実行し、クラスを運営していくこと」
と言えます。

学級経営において一番大切なことは、「ゴールの設定」です。
たとえば登山を考え下さい。登山のゴールがなかったら、どこの山に登るのかさえも決まらないのです。

クラスを成長させるために、具体的にどんな子どもに育ってほしいのかを決めることが、自分のゴールです。

クラスを成長させる+児童像=自分のゴール

そして、
「どんな学級にしていきたいか」というビジョンと、
「学級を経営するにあたって、自分は担任として何を大事にするか」という価値を合わせたものが経営理念です。

 ビジョン+価値=経営理念

学校の先生は学級の経営者です。自分が受け持ったクラスの子ども達が、1年後、こうなってほしいという願い(ゴール)を持たない限り、学級の経営は始まりません。
それが学級経営なのです。

学校の先生は学級の経営者です。新年度、自分が受け持ったクラスの子ども達が、1年後こうなってほしい、さらに言えばもっと大きくなってからこうなってほ しいという願いを持たない限り、学級の経営は始まりません。
その願いをもって、学級開きをしないといけません。

リエゾン学級経営も、学級経営の1手法です。
ということは、ゴールの設定が必要となります。

学級経営において目指すゴールは、
「クラスを学びの集団として成立させること」です。
簡単に言うと
「クラスを成長させること」
になります。

ここで言うところの「クラスの成長」は、クラス全員の成長です。
多数派だけの成長ではありません。
これまでの学級経営では、不登校児がクラスにいたとしても、少数派の居場所がなかったとしても、多数派が楽しく成長できていたら、学級経営はうまくいってると言われてきました。

しかし、これからは変わります。

次の学習指導要領改訂では、特別支援教育の理解が一層求められることが予想されます。

新しい学級経営論が必要になるのです。
それがリエゾン学級経営です。

リエゾン学級経営では、
クラス全員の成長を目指します。

上記の学級経営理論を理解した上で、実践をしていかないと、日々トラブル対処や授業の準備に追われるだけの日々となります。

少数派を力で抑えこみ、多数派中心の学級経営をしてクラスが安定しているからといって、満足していてはいけません。
恥ずかしながら、なにを隠そう、若い頃の私です。

当然ながら少数派から大きな反発をもらったことがありました。
当然といえば当然の結果です。
少数派に寄り添わずに追い詰めたのですから。
今こうして振り返ってみると、なんて傲慢でひどいことしていたんだろうと反省しています…
お互いにとって大きなダメージでした。
そこで目が覚めたのです。
特別支援教育などほとんど関心がありませんでしたが、それ以降、本を読んだり、研修に参加するなど、必死に勉強しました。
そして20年の経験をもとに、このリエゾン学級経営を考案しました。

ただし、理論を理解するだけでは不十分で、日々の実践が鍵となります。
試行錯誤しながら、あきらめずにチャレンジしていくことで、学級も進化を遂げます。
継続は力となります。
クラスと子供たちの未来にどのような進化をもたらすか、それはみなさんの手にかかっているのです。

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一人でも多くの方がこのリエゾン学級経営に賛同し、実践していただけることを願います。
すべての子どもの幸せを祈って!

#ウェルビーイングのために
#多様性について考える


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