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JW536 翔んで、髪飾り
【垂仁天皇編】エピソード65 翔んで、髪飾り
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前7年、皇紀654年(垂仁天皇23)冬。
垂仁天皇の皇子(みこ)、誉津別(ほむつわけ)(以下、ホームズ)が言葉を発しないのは、神の祟(たた)りが原因だと判明。
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祟りを鎮(しず)めるため、三野国(みの・のくに:岐阜県南部)には、建岡君(たけおか・のきみ)(以下、オカくん)が派遣される。
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三野後国造(みのの・みちのしりの・くにのみやつこ)である、神大根王(かむのおおね・のきみ)(以下、ノーネ)が合いの手として加わる中、「オカくん」は、花鹿山(はながやま)にて、神の居場所を占(うらな)うのであった。
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オカくん「では、神が何処(いずこ)におわしますのか、占いまする。」
ノーネ「どうやって?」
オカくん「まず、榊(さかき)を折って、鬘(かずら)を作りまする。」
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ノーネ「鬘は『かつら』のこと!」
オカくん「違いまする。この場合は、髪飾りにござる。」
ノーネ「えっ? そうなるの?」
オカくん「そして、髪飾りを使って、誓約(うけい)をおこないまする。」
ノーネ「誓約?」
オカくん「まあ、見ていてくだされ。」
ノーネ「了解!」
オカくん「この鬘が落ちたところに、神はおわしますであろう。」
そう言うと、鬘が空を舞い始め、ある地に落ちた。
ノーネ「ある地? どこの地? 何処の地?」
オカくん「二千年後の地図で確認すると、愛知県一宮市(いちのみやし)の『あずら』にござりまするな。」
ノーネ「愛知県? そこって尾張国(おわり・のくに:愛知県西部)! 飛び過ぎちゃってる!」
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オカくん「そのようなことを言われましても・・・。」
ノーネ「それで・・・神様、いるの? 祀(まつ)るの?」
オカくん「はい。この地に社(やしろ)を建てまする。」
ノーネ「阿豆良神社(あずらじんじゃ)の誕生! 祭神(さいじん)は天甕津媛(あめのみかつひめ)こと『ミカ』様!」
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オカくん「それだけでなく、倭姫(やまとひめ)こと『ワッコ』様も祀られておりまする。」
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ノーネ「えっ? 『ワッコ』も?」
オカくん「はい。それだけではありませぬぞ。花鹿山の麓(ふもと)には、花長上神社(はなながかみじんじゃ)が建てられもうした。こちらの祭神も『ミカ』様にござりまする。」
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ノーネ「此度(こたび)のことで建てられたの?」
オカくん「創建時期は不明にござりまするが、此度のことが原因かもしれませぬな。」
ノーネ「鎮座地(ちんざち)は、二千年後の地名で言うと、どうなるの?」
オカくん「岐阜県揖斐川町(いびがわちょう)の谷汲名礼(たにぐみ・なれ)にござりまする。」
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ノーネ「でも、不思議? なぜ、出雲?」
オカくん「なぜ、出雲の神が祀られているのか、我(われ)にも分かりませぬが、実は、谷汲名礼には、花長下神社(はなながしもじんじゃ)も鎮座しておりまする。」
ノーネ「えっ?」
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オカくん「祭神は、赤衾伊農意保須美比古佐和氣能命(あかふすま・いぬおおすみひこ・さわきのみこと)にござりまする。」
ノーネ「長い・・・。」
オカくん「左様ですな。ちなみに『ミカ』様とは、夫婦(めおと)の間柄(あいだがら)という説もありまする。」
こうして、なにはともあれ「ミカ」様を鎮めることに成功したのであった。
一方、出雲(いずも:島根県東部)では「ホームズ」の一行が、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の社(やしろ)を参拝(さんぱい)していた。
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付き従うのは、曙立王(あけたつ・のきみ)(以下、アッケン)と、菟上王(うなかみ・のきみ)(以下、うなお)である。
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アッケン「参拝も、つつがなく終わった。これで、一安心(ひとあんしん)といったところか?」
うなお「あとは、大きな社を建てねばなりませぬな。」
ホームズ「・・・・・・(二人を見つめる)。」
アッケン「うむ。そのためには、まず、行宮(あんぐう:仮の宮)を建てねば・・・。」
大国主の祟りは、鎮まるのであろうか?
次回につづく
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