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JW572 斎宮誕生

【伊勢遷宮編】エピソード31 斎宮誕生


第十一代天皇、垂仁すいにん天皇てんのう御世みよ

紀元前4年、皇紀こうき657年(垂仁天皇26)。

伊勢いせ神宮じんぐうが創建された。

地図(伊勢神宮:内宮)
伊勢神宮:内宮

そして、天照大神あまてらすおおみかみ(以下、アマ)の御杖代みつえしろ倭姫やまとひめ(以下、ワッコ)の元に、家族が来訪した。

垂仁天皇こと活目入彦五十狭茅尊いくめいりひこいさち・のみこと(以下、イク)がやって来たのである。

大后おおきさき日葉酢媛ひばすひめ(以下、ひばり)と、その間に産まれた皇子みこたち、更には、祖母そぼ曾祖母そうそぼ同伴どうはんしての来訪であった。

系図(大王一行)

ちなみに、オリジナル設定である。 

ワッコ「前回は、兄弟きょうだい喧嘩げんかというか、夫婦ふうふ喧嘩げんかという感じで終わってしまいましたが・・・。」 

イク「もう大丈夫だよ。解説を進めようじゃないか!」 

するとそこに、建設にたずさわった、物部八十友諸もののべの・やそとものおと呼ばれる職人たちがやって来た。 

八十友諸やそとものお(い)「皇女ひめみこ様! 出来でけたで!」 

ワッコ「出来できた? なにがじゃ?」 

八十友諸やそとものお(ろ)「なにうてんねん。神館かむたち出来でけたに決まってるやろ!」 

シロ「神館かむたちとは、なんのことじゃ?」 

ワッコ「身を清めたり、神事かむわざりおこなう建物たてものにござりまする。」 

ひばり「このやかたで、くさぐさ神事かむわざりおこなうのですね?」 

ワッコ「左様さようにござりまする。では、早速さっそく、始めまする。」 

ダッコ「どうするの?」 

ワッコ「まずは、太玉串ふとたまぐし支度したくいたしまする。」 

ロミ子「玉串たまぐし太玉串ふとたまぐしの違いは、なんでござりまするか?」 

ワッコ「違いは有りませぬ。太玉串ふとたまぐしとは、玉串たまぐし美称びしょうにござりまして・・・。」 

玉串

ニッシー「なるほど・・・。将軍と大将軍の違いみたいなモンだね。」 

シロ「違うと思いまするぞ。」 

ニッシー「いやいや、一緒でしょ。」 

シロ「大将軍は、美称びしょうではありませぬぞ?」 

ひばり「と・・・とにかく、神事かむわざを始めましょう。」 

ワッコ「はい。では、物部八十友諸もののべの・やそとものおを率いて、太玉串ふとたまぐしささげ、そなたてまつりまする。」 

八十友諸やそとものお(は)「まかせてや!」 

イク「八十友諸やそとものおも参加するの?」 

八十友諸やそとものお(に)「大王おおきみ? わてらのつとめは、神宮じんぐう建造けんぞうだけや、おまへん。くさぐさ神事かむわざにも加わることになってますのや。」 

マス子「特別公務員みたいなものですか?」 

八十友諸やそとものお(い)「まあ、そんな感じですかな。」 

こうして、神事しんじりおこなわれたのであった。

そして・・・。 

八十友諸やそとものお(ろ)「出来でけたで!」 

ワッコ「ん? 次は、なに出来できたのじゃ?」 

八十友諸やそとものお(は)「神宮じんぐう神館かむたちあいだに、斎宮いつきのみやを建てたんや。」

八十友諸やそとものお(に)「ワッコ様が、おくらしになる建物たてものやで。」 

イク「斎宮いつきのみやか・・・。ついに、出来できたんだね。」 

ワッコ「えっ? 大王おおきみ? 御存知ごぞんじなのですか?」 

イク「当たり前じゃないか。ワッコを初代とする、斎宮さいぐう制度せいどが始まった瞬間だよ!」 

カキン「父上? 斎宮さいぐう制度せいどもうしましても、じつのところ、正式な制度となったのは、飛鳥あすか時代じだい天武てんむ天皇てんのう御世みよからのようですよ。」 

イク「えっ? そうなの?」 

ダッコ「そんなこと、気にせずとも良い。『ワッコ』が、一番であることは、変わりないのであろう?」 

カキン「まあ、そうですが・・・。」 

ワッコ「では、私の居住地きょじゅうちさだまったことですし、次は、八尋やひろ機屋はたやを建てましょう。」 

ひばり「機屋はたや? なにゆえ、はたりの建物たてものが必要なのです?」 

ワッコ「アマ様の御衣みそを作るのです。」 

マス子「アマ様が着られる、ものを作りはるのね。」 

ワッコ「左様さようにござりまする。」 

ロミ子「ちなみに、一尋いちひろは、りょうを広げた長さにござりまするよ。」 

シロ「・・・ということは、八尋やひろとは、八人分の長さということにござりまするな?」 

ダッコ「兄上? 具体的に八人分ということではありませぬよ。」 

シロ「なに? そうなのか?」 

マス子「そうですよ。とっても長いってことをあらわしてるのよ。」 

ニッシー「そんなことも知らなかったのか?」 

シロ「そ・・・それは・・・。」 

ワッコ「と・・・とにかく、大王おおきみ? はたりのため、あるかたまねきしたいのですが?」 

イク「分かってるよ。あま岩戸いわと事件じけんで、はたった、天棚機姫神あめのたなばたひめ・のかみ末裔まつえい八千千姫やちちひめだよね?」 

ワッコ「はい。左様さようにござりまする。」 

八千千姫やちちひめとは? 

次回につづく

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