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季語哀楽

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季語をテーマにした投稿まとめ。 365日が目標。
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#日記

万緑

万緑

この一週間は、四、五年ぶりに、変化の波に巻き込まれている。蔦が這うように縁が繋がって、制御のできない紋様を描いていた。これが吉凶のどちらを意味するのかは分からない。

あるいは、意味などないのかもしれない。何十億人のこの世界で、偶然の引力で惹かれあった私たちは、深緑の世界のアダムとイブになり得るのだろうか。

万緑(ばんりょく)

虞美人草

虞美人草

友達と三時間も電話してしまった。
懐かしい、贅沢な時間の使い方。
久しぶりの会話に花が咲く。
おかげでもう日付が変わりそうである。

虞美人草は、ひなげしのことらしいよ。

いつも楽しく拝見させていただいている、かなつんさま。
ちょうど今日は虞美人草の日!素敵な記事と俳句でした。

虞美人草(ぐびじんそう)

新緑

新緑

植物が這っている建物が好きだ。
最近は人口緑化を取り入れた施設やビル群も見かけるが、自然な生命活動には、より心惹かれる。東京でも、少し住宅地へ入り込めば、怪しいくらい緑を纏った民家と出逢えたりもする。そして、その写真を撮っている人物がいるとすれば、私はその一人である。

細い手足が、器用に凹凸を捕まえている。よくよく観察すれば植物とは、毛が生えていたり、湿度があったり、大変に有機的なのだ。度を越し

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桐の花

桐の花

ずっと、山に緑に点在する紫の花は、藤なのだと思っていた。
しかしこれは、桐の花らしい。嫁入り道具で知られる桐箪笥の桐。なかなか間近で花を見たことがなくて、今回、桐の花の写真を調べてもピンとこなかったのだけれど。いつも気になっていた、藤にしては直立する大振りな幹や、垂れ下がるのでなく立ち上がるような花の様子の違和感に、なるほど、桐もこのような見事な紫の花をつけるのだと、誰も教えてくれなかったことをま

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薄暑

薄暑

KIGOです。
最近、Twitterでこの曲を見つけてこればっかり聞いてる。

あの夏は…。

なんでかな、やっぱこういう恋の歌にいいなって思うのは、私がそういう風にできているだけなんだろうか。

実は昨日を取りこぼしていたり。
試行錯誤の毎日です。「思考索語」…なんて、徒歩通勤中に考えていたら、検索してみるといるもんですね、先駆者が。笑

アウトプットのエネルギーが溜まるまで、徒然と過ごしていこ

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白牡丹

白牡丹といふといへども紅ほのか
高浜虚子

「花の王」とも呼ばれる牡丹。

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。

美女を形容したと言われているが、
漢方とその効能を意味している説もあるそうで面白い。

そのスキボタンは、私を癒してくれる?

白牡丹(はくぼたん)

端午

端午

みなさん、こんにちは。
KIGOです。お久しぶり?でもないか。
本日は、端午の節句、こどもの日ですね。久しぶりに長く実家に帰っておりました。でも一人暮らしに慣れると、一人の時間がないのはストレスだったりして。昨日アパートへ帰ってきて、ようやく日常に戻ってきた感じ。

人間落ちると早いもので、最近は毎日、物語を紡ぐのがちょっと難しくなっておりました。それでも、季語をきっかけに文章を書くことは、度々私

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八十八夜

八十八夜

立春から数えて88日目。
「八十八夜の別れ霜」という言葉があるように、この頃を過ぎると遅霜の心配もなくなるそうで。

ちょっと今夜は、俳句の引用と、立春の日の投稿載せておきます。
あれ、全然創作の時間が取れない、笑
天気が悪い日が続きますが、明日は少し、よくなるらしい。

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母ねむり八十八夜月まろし
古賀まり子

茶摘

茶摘

夏も近づく八十八夜、
野にも山にも若葉が茂る。

立春から数えて八十八日前後に茶摘みは始まり、以降一か月以上の間隔を空けながら続けられる。摘み始めから半月程度の間に摘んだ柔らかい茶葉が、最高級の一番茶となるそうだ。
最近知ったのだが、緑茶、紅茶、烏龍茶は、茶葉の発酵度合が異なるだけで、同じ茶葉から出来ているそうだ。こんなにも味や色が違うのにその実、正体は同じだったのだと驚いたのを覚えている。

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暮春

暮春

「今年は、部屋に春が来なかった」

春の終わり、暮春(ぼしゅん)。写真は桜が散る頃なので晩春とは言えないのかも知れないが、暮れ往く春に想いを寄せる小噺をひとつ。

今の部屋に越してきて、これで六年目の春を迎えた。玄関ドアの目の前は小学校で、境界にちらほら桜が植わり、そのすぐ向こうには教室が並んでいた。
通勤の頃になると、朝の合唱が聞こえてきて、いや正確には聞こえ始めるとそろそろ家を出る時刻が迫って

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種蒔

種蒔

稲の種である籾を、苗代に蒔くこと指す。小学校のころだろうか、稲作の授業があった。種籾を塩水にひたして、浮いたものを取り除き、沈んだものを選び取る。最終的には、バケツ稲として育てたり、実際に田植え体験も行ったりしたような。

昨年のことだが、友人からおすすめされた酵素ドリンクを、三本セットで購入すると特典で玄米が付いてきた。別の頂き物のお米があったり、新米をはさんだりと、一人暮らしでは最後までなかな

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春愁

花が咲き、小鳥は囀り、心はずむ季節なのに、何となく気持ちがふさいで、物思いにふける。それは憂鬱というほどではなく、訳もなくふと感じる憂愁の気分。

春の物思いが「春愁(しゅんしゅう)」とすると、
秋の物思いを表す季語は「秋思(しゅうし)」という。

秋の憂いは、木々が落葉し草木が枯れる物悲しい季節感から来るとして、春の物思いは何だかつかみどころがないものである。

春愁やくらりと海月(くらげ)くつ

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百千鳥

百千鳥

小学校も始まったようで、初々しいランドセル姿も見かけるようになった。私の小学校では、集団登校をするのは、新入生が入りたてのいくらかの期間だけで、普段は各自で自由に通学をしていた。私は、そのころより一人で登校するのが好きだった。ませた子供だったので、昔から友達付き合いは上手だったけれど、学校までの1キロちょっとの道のりを、一人で歩く時間が大好きだった。その暫くの間、私の思考は遠く空を駆けていた。頭の

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仏生会

仏生会

今日は、お釈迦さまの誕生日らしい。

”ののさま笑っておいでです”

そんな詞が園歌に入る幼稚園に、私は暫く通っていた。そこそこ名の知れた寺に併設されており、仏教系よろしく、当然、行事には花まつりもあった。
小さな柄杓を手に釈迦像へと甘茶を注ぐ。
調べると甘茶はその名の通り、かなり甘いお茶らしいのだが、記憶の中にいる子どもの私はそんなに甘くなかったよ、と言い張っている。はたして、それは本来の甘茶で

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