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ひらがなで書くべき漢字を全て紹介します

漢字で書ける言葉をあえてひらがなで表記することを「ひらく」と言います。一般的に読みやすい文章のバランスは漢字:3 ひらがな:7と言われています。

ついつい調子にのって文章を書くたび変換ばかりしていると、このバランスが崩壊してしまい、大変読みにくい文章になってしまいます。

ですから3:7のバランスをつくるためにも「ひらく」は積極的におこなうべきなんです。

しかしこういうと、ある1つの疑問が残ります。

「ひらくことが重要なのはわかったけど、じゃあどんな漢字をひらけばいいの?」

……ぶっちゃけ「記者ハンドブック」を買ってその通りにすればOK!ですんでしまう話しではあるのですが、それじゃあ面白くない。

今回は文章の読みやすさのための「ひらく」だけではなく、文章のイメージを変えるために「ひらく」と面白い文章も紹介していきます。

必ずひらくべき言葉たち

執筆するうえで必ずひらいたほうがいい言葉たちを紹介していきます。ひらかずそのまま漢字で書いてしまうと、読みにくくなるものばかりなので、必ず抑えておきましょう。

漢字の書き下しの言葉

「書き下し」とは漢文を日本語として意味がわかるように漢字かな交じりで書き改めたものです。書き下し文は戦後の文章や文学作品などで使われていましたが、現代ではひらがなで書くのが一般的です。

殆ど→ほとんど
幾ら→いくら
悉く→ことごとく
甚だしい→はなはだしい
此れ→これ
以って→もって
但し→ただし
寧ろ→むしろ

確かに今ではほとんどみかけない使い方ばかりですね。しかしネットで文字を打つのが当たり前になった現代において、一応注意しておいて損はないでしょう。

こういった言葉は使用頻度が高いうえに、変換するとでてきてしまうものばかりです。「難しい漢字盛ったほうがかっこよくね?」といった具合で、書き下し文を連発しないよう注意しておきましょう。

当て字が使われている言葉

露骨な当て字も積極的にひらいていくのがオススメです。

可笑しい→おかしい
可愛い→かわいい
出来る→できる
生憎→あいにく
相応しい→ふさわしい
胡散臭い→うさんくさい
見做す→みなす
口惜しい→くちおしい

夏目漱石、森鴎外、二葉亭四迷といった文豪たちは、こういった当て字を数多く発明し、日本語における表現を豊かにしていきました。

しかし現代人が一般向けの読みやすい文章を書くときは、これらをひらがなで書いたほうが読みやすいです。

とはいえ「美味しい」「馬鹿」「滅茶苦茶」など、たとえ当て字由来のものであっても、現代の日本人の間で深く根づいているものなら、漢字のまま使っても問題ないです。

助動詞

一応おさらいしておくと、助動詞とは「付属語で活用があり、体現、用言に意味を添える単語」のことです。助動詞はひらがなで書くのがオススメです。

なかでも注意すべきは動詞や形容詞としての用法と、助動詞としての用法、この2つを持ち合わせている言葉です。

【無い/ない】
対象が存在しないことを表す「無い」は漢字でもOKですが、「間違いない」や「しないか」といった助動詞として使う場合はひらいて使いましょう

【見る/みる】
「食べてみる」のように助動詞として使う場合はひらきます。

【良い、好い、善い、佳い/いい(よい)】
形容詞「good」の意味で使う「良い」以外の用法はひらいて使います。
「いいかげん」「もういい」「ほどよい」など。

【言う、云う、謂う/いう】
動詞の「say」「speak」の意味で使う以外の用法。伝聞の「〜という」などは、ひらいて使います。

ひらいてもいい言葉たち

次に紹介するのはひらいてもひらかなくても、どちらでもいい言葉たちです。

ではなぜ紹介するかというと、著者曰く「ひらくことで、文章のイメージがまったく違って見える」からです。いつもは漢字で使っている言葉も、あえてひらがなで使ってみると、新しい発見があるかもしれません。

同訓異字

同訓異字とは、訓読みの漢字表記が複数ある和語のことです。同訓異字はひらいて書いたほうが読みやすいものが多いです。また同訓異字をひらくことで、電子機器で文字を書く際におきがちなイージーミスをなくせます。

たとえば私たちは「初め」と「始め」のような簡単な言葉であっても、間違えてしまうときがありますよね。これはスマホやパソコンといった電子機器を使うことで起きてしまいます。

これらはパッと文字を変換してくれて大変便利ですが、逆にこれが原因で、変換ミスが起きてしまうのです。

それならいっそ最初からひらがなで書いてしまったほうが、誤変換の可能性が減るうえに文章も読みやすくなります。

開く、拓く、啓く→ひらく
作る、創る、造る→つくる
努める、勉める→つとめる
始め、初め→はじめ
診る、視る、観る→みる
頂く、戴く→いただく

和語はひらがなの言葉なので、どの漢字も所詮は当て字です。恥ずかしがらずにひらがなで書いてしまいましょう。

音読みが頭に浮かぶもの、漢字のイメージに引きずられるもの

訓読みが感覚的に頭に浮かばない和語は、たとえ単語自体は簡単な言葉でも、ひらがなで書くのがオススメです。

なぜなら無意識に音読みしてしまう言葉は、漢字の視覚的なイメージが強い傾向にあるからです。

「事」 こと 〜である事 〜であること
「時」 とき 〜の時 〜のとき
「方」 ほう その方が そのほう
「様」 よう その様に そのよう
「他」 ほか である他 であるほか
「達」 たち 人達 人たち
「等」 など AやB、C等 AやB、Cなど
「上」 うえ 〜である上 〜であるうえ
「中」 なか その中で そのなか
「下、元」 もと 〜の下で 〜のもと

これらの漢字が極力ひらがなで書くと、さらに読みやすくなります。

まとめ

殆ど、幾ら、此れといった書き下しはすべてひらいて使う。

可笑しい、可愛い、出来るなどの露骨な当て字はすべてひらく。

動詞や形容詞としての用法と、助動詞の用法両方を持つ言葉はひらく

初めと始めといった訓読みの漢字表記が複数ある和語はひらいて使う。

訓読みが感覚的に浮かばない和語はひらいて使うのもアリ

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