「転職」「退職」「やめたい」の違いをコンテンツSEO思考で分析してみた
こんにちは。ライターで株式会社なかみの代表の大塚たくまと申します。Webライティングのおもしろさ、コンテンツSEOのおもしろさを伝えるためにnoteの執筆を始めました。本日のテーマは「検索意図の読み解き方」です。
3つの検索キーワードがあります。
「看護師 転職」
「看護師 退職」
「看護師 やめたい」
この3つのキーワード、どれも看護師を辞めようと考えている方が検索するキーワードなのは、おわかりかと思います。
そこで、質問です。
「看護師 転職」「看護師 退職」「看護師 やめたい」の検索結果は、似ていると思いますか。それとも、まったく違うと思いますか。
まあ、こうやってnoteの題材にしているということは……。そう。
まったく違うんです。
今回はこの3キーワードの検索意図にから、使う言葉によって異なる微妙な退職感情のニュアンスを解説します。
希望と共に求人を探す「看護師 転職」
「看護師 転職」で検索してみると、まずは上部に「求人情報」のパネルが表示されます。このキーワードで検索する場合に、Googleは「具体的な求人情報を探している人が多い」と認識していると推察できます。
検索順位1位〜3位までが、看護師さんが転職先を探すときに閲覧するサイトのトップページが表示されています。4位でやっと、各看護師の転職に対する助言というテーマの記事コンテンツが登場しました。
さらに5位〜9位も看護師さんが転職先を探すときに閲覧するサイトのトップページや、求人一覧が表示されていました。
この段階で「看護師 転職」という検索キーワードでSEO施策を行う場合、記事コンテンツで狙うのは難易度が高いとわかります。
現状を見ると、そもそも記事コンテンツで狙うのは不適切だと判断した方がよいレベルです。このような場合は掛け合わせキーワードを考えて、記事コンテンツで狙うのが適切だと思われる検索キーワードを設定し、執筆します。(例:「看護師 転職 看護師以外」「看護師 転職 後悔」など)
以上の要素を踏まえると、「看護師 転職」で検索する看護師の多くは以下のような「退職感情」を持っていると推察できます。まとめると、こんな感じ。
円満退職の手順が知りたい「看護師 退職」
「看護師 退職」で検索してみると、1位は退職までの流れを注意点と共に解説する記事でした。2位も退職する流れを解説する記事です。この時点で、このキーワードで検索する場合に、Googleは「無難に退職できる流れを探している人が多い」と認識していると推察できます。
3位も「スムーズに辞めるための流れ」で、4位も「円満退職するためのスケジュール」となっており、一番の疑問が「退職の手順」であることはもう揺るぎない状況です。
気になるのは、動画の検索結果が現れていること。退職の体験談や、離職の多い看護師の現状を報じるニュース映像です。実際に退職した人の体験談を知り、安心したいというニーズを感じさせる結果です。
離職の多い看護師の現状を報じるニュース動画については、これ一件ではなんとも言えませんが「やめたいと悩んでいるのは私だけではない」と思うために閲覧しているのではないかと推察することもできると思います。
以上の要素を踏まえると、「看護師 退職」で検索する看護師の多くは以下のような「退職感情」を持っていると推察できます。まとめると、こんな感じ。
肯定してくれる仲間がほしい「看護師 やめたい」
「看護師 やめたい」で検索してみると、また全然違う結果になります。1位は「やめたいと感じる理由」をまとめた記事でした。2位も「やめたい理由」に関する記事です。
3位も4位も「やめたい理由」の記事で、この時点で、このキーワードで検索する場合に、Googleは「よくある看護師をやめたい理由の解説を探している人が多い」と認識していると推察できます。
その後、動画が登場します。
動画は「辞めちゃえばいい理由」という退職を後押しする記事と、「辞めたい時に確認してほしい事」という冷静に考えることを促す記事が並んでいることが特徴的です。その後「迷っている方へ」と向けた動画になっています。
ここから考えると「やめたい」と検索窓に入力している人は、まだ「やめる」と決断しているわけではないとわかります。むしろ「やめたい理由」というコンテンツを求めているということは、「他に私と同じように悩んでいる人がいれば知りたい」という欲求が垣間見えます。
もうやめると決断しているのであれば、多くの人は「やめたい」とは検索しないと考えられます。ふつうは「転職」「退職」といったワードを選ぶのではないでしょうか。
「やめたい」と人に相談するでもなく、わざわざGoogleの検索窓に打ち込む人。これは、誰にも「やめたい」と相談できない人ではないかと推察できます。ミスして落ち込んで弱音を吐きたい。でも、弱音を吐ける友達も家族もいない。そんな人が思わず「やめたい」と検索し、「やめたい理由」のコンテンツに飛び込み、自分以外にも悩んでいる人がいることを確認しに行こうとしているのではないでしょうか。
以上の要素を踏まえると、「看護師 やめたい」で検索する看護師の多くは以下のような「退職感情」を持っていると推察できます。まとめると、こんな感じ。
この「やめたい」という検索キーワードが、3つの検索キーワードの中でもっとも難易度が高い、複雑な感情が入り混じる、人間臭い検索キーワードです。
Googleは「やめたい」と検索している人に「やめたいんですね。でしたら、退職手順はこちら」ともしないし、「やめたいんですね。でしたら、おすすめの転職先はこちら」ともやらない。そっと、「やめたい理由」を差し出すのです。
……でも、考えてみれば。たしかにわかるような気がします。
あなたはともに頑張っていた、大切な同僚が「仕事をやめたい」と落ち込んだ様子で、涙を流しながら相談してきたら、どんな言葉をかけるでしょうか。
「そっか。なら、退職手順は…」とか「そんなきみにおすすめの転職先は…」なんて話をしますか。しないんじゃないですか。「そっか。俺もそんなふうに思ったことあるよ」とか、そんな話をするんじゃないかと思うんです。
Google、思ったよりすごいでしょう。Googleは検索者の回遊データを見て、常に検索結果の改善を続けています。その蓄積の結果、このような人間臭い検索結果が生まれているわけです。そう考えると、「SEO」って、面白いと思いませんか。「ニュアンス」って、面白いと思いませんか。
ぼくは、そんな細やかな配慮ができるGoogleが好きなんです。Googleって、思ってるより、人間臭いんです。だから、SEOって面白いんです。
キーワードに込められた感情を考える重要性
「看護師 転職」
「看護師 退職」
「看護師 やめたい」
一見よく似た検索キーワードですが、表示される検索結果はまったく違う。そして、そこをよく見つめて分析すると、それぞれに込められた感情が異なることが、伝わりましたでしょうか。
最後にもう一度。
あなたもぜひ、検索キーワードに込められた「感情」まで推察して、記事企画をやってみてください。きっと検索意図の本質に気づくはず。その本質に気がつけば、検索1~10位にはまだ存在しないような新たなアイディアが浮かぶかもしれませんよ。
Webライティングはおもしろい。今後もそんな話をさまざまな角度から、お伝えしていきます。ご精読ありがとうございました。またね。
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