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イライラをぶつけられたらどうする?心が折れないための感情整理術

誰もが何かしらのイライラを抱えている「超ストレス社会」。あなたも家族や職場の人に対して、あるいは街で偶然見かけたアカの他人に対して、イライラを感じることが少なくないのでは。

前回は、そんな時に自分のイライラをどうコントロールしたらいいのかを、金髪アフロで赤メガネがトレードマークの精神科医・井上智介先生にうかがいました。
読む⇒【#1】心がラクになる感情コントロールの法則

イラスト/鈴木衣津子

今回はそれとは逆に、自分自身が誰かからいわれのないイライラをぶつけられた時の乗り切り方を教えていただきます。雑誌「健康」の読者(40~60代女性)から寄せられたコメントに対し、井上先生がアドバイス!


【ケース1】モラハラ夫からのイライラ

・「気に入らないことがあると、口をきかなくなり、イライラオーラを放つ夫」
・「夫は最近、ちょっとしたことですぐにキレるように」
・「外でストレスをためてきた夫に当たられる。会社に行く平日はたいてい不機嫌です」
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【井上先生のアドバイス】
モラハラ的な夫に対しても、無意識のうちに「妻は夫を支えるもの」「子どもに父親は必要」といった世間的な価値観にとらわれて、我慢してしまう人がいます。

しかし、いざとなったら逃げ出せるよう、お金や仕事など準備をしておくことも重要。すぐに「いい妻」をやめるのが難しいなら、「いい妻を演じてあげている」という自分が主導権を握っている意識を持つといいですよ。

まずは、家庭以外の場所で満たされる時間をつくり、家庭の濃度を薄めること。趣味や交流など、夫から離れ自分をいたわることを優先して。

beauty-box/写真AC

【ケース2】子どもからの文句にムカッ!

・「成人している娘にきついイヤミを言われ、つらくて涙が出ることも…」
・「スマホばかりいじる息子。注意すると口答えされて腹が立ちます」
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【井上先生のアドバイス】
子どもに嫌味を言われて傷つくのは、もしかしてそれが的を射ているからかもしれませんね。お子さんが思春期なら、親に反抗するのも成長の一過程なので、腹をくくってスルーしてください。成人している場合は、接触を減らして距離をとったほうがよいかもしれません。

【ケース3】自分の親からのイライラにうんざり

・「私の母は思い通りにならないと不機嫌オーラを出して、一方的に文句を言ってきます」
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【井上先生のアドバイス】
親子関係は油断すると一生の上下関係になるのが危ういところ。特に子どもは親に対して犠牲になることが多いので、適切に距離をとって自分の安全・安心な環境を守ってほしいですね。

「年老いている親にやさしくしないといけない」という価値観にとらわれすぎず、自分のペースを守ることも大事ですよ。

【ケース4】パワハラ上司&同僚からのイライラ

・「上司にきつい物言いやつんけんした態度をとられます。いったい私が何をしたと…」
・「同僚に物を投げられたり、激しい音をたてられたり。怖いんですけど」
・「キャパが小さい上司なので、自分がいっぱいいっぱいになると八つ当たりされる」

ImagingL/Shutterstock.com

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【井上先生のアドバイス】
職場の人に対しては物理的な距離をとるのが難しいので、心理的な距離をとることを考えます。パワハラ的な人は自分が正当に評価されていないという深層心理があり、誰かを攻撃しないと自分の存在意義を証明できないような未熟な人。「3月までは我慢する」など自分で期間を決めると、意外と乗り切れることも。

ただし、そもそも私たちの生きる大きな目標は、幸せな人生や生活を送ること。仕事はその目標達成の手段であり、限界を感じたら辞めるなり転職するなりして、別の手段に変えてもよいのです。自身の心が限界を迎える前に行動に移して。

【ケース5】同僚の対応があまりに冷たい

・「職場の同僚は機嫌が悪いとそっけない態度をとるし、会話もしてくれません」
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【井上先生のアドバイス】
同僚は上司に比べると物理的に距離をとりやすいので、直接会わずメールで済ませる方法もあります。何かしら仕掛けてくる同僚は、ライバル心を持っている可能性が。無視はできなくても、「無関心」に徹すればよいでしょう。打っても何も響かないやつ、と思われるぐらいがちょうどいいでしょうね。

【ケース6】他人からイライラをぶつけられる!

・「スーパーの店員をしています。お客さんが不可解なクレームを言ってくるのが耐えられません」
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【井上先生のアドバイス】
理不尽なクレームを言う人は、コミュニケーション能力の乏しい人。言えばわかると考えるのは、こちらの期待でしかありません。
また、クレームは企業に対する要求であり、「個人」に対するものではありません。困ったらまず職場に相談。人、場所、時間を変えて、自分一人ではなく、他の人をからめて対処していきましょう。

★対処法~クレームをつけられたら3つを変える!★

①人
すぐに上司に報告し、クレーマーに対応しながら、10分ぐらい経ったら、別の人に交代してもらいます。

②場所
お店なら、レジの前で文句を言っていることが多いので、別の場所に移動しましょう。

③時間
「今日はここまでしか対応できません。また後日に」と言います。日を改めると、気持ちが変わることも。

人からのイライラ攻撃を受け、そのダメージが積もり積もってメンタルを壊してしまう人もいます。上手にストレス解消をして、あなたなりの感情コントロール法を見つけてください。

「健康」2022年冬号より

【監修】井上智介先生

監修 井上智介先生
  

島根大学医学部を卒業後、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動。産業医として毎月約40社を訪問。健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務。『ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』『みんなのネガティブ感情のおてあて』など著書多数。ブログ→https://ameblo.jp/tatakau-sangyoi

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