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TOKYO2020オリパラボランティアのふりかえり

この記事は[ふりかえり Advent Calendar 2021の12月5日の記事として書いています。


今年のニュースといえば、なんと言ってもTOKYO2020オリンピック・パラリンピック。無観客とはいえ忘れてないですよね。皆さんはどの競技に熱中しましたか?自分はオリンピックもパラリンピックもボランティアとして選手や大会関係者や車で送るフリートドライバーをしていました。そんなちょっとだけ「内側」から見た大会のふりかえりをしたいと思います。

一部を除きぜんぜんアジャイルではないです。スミマセン


フリートドライバーの活動

まず文脈が読めなくならないように、ボランティア活動をしたフリートサービスの説明をします。

「フリートサービス」とはオリンピック・パラリンピックに関わる関係者(ステークホルダー:選手、組織員会、競技団体、各国政府関係者などなど)が円滑・かつ柔軟に移動していただくために用意された大会期間専用の自動車による輸送サービスです。ようは簡単に言えば大会関係者用のタクシーかUberみたいなものです。利用車両は運行管制システムとともにトヨタから貸し出されたもので、ボクシィ/ノアのワンボックスタイプ。そしてプリウスPHVと水素自動車のミライが合計2700台用意されました。

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ボランティアマニュアルより

この自動車サービスは用途によって様々なサービスのタイプが用意され、ステークホルダー自身、ステークホルダーが雇用したプロドライバー、そしてプロドライバー、そして自分たちボランティア合計6000名が運転を担いました。実際に自分が従事したサービスは以下のとおりです。

オリンピック期間:T3(12回)
大会関係者の宿泊するホテルと各競技会場、練習場、選手村、プレスセンターなどの関係施設間の輸送・・・おもに選手以外の関係者で一般のランクの方々を輸送するサービス。基本的に客待ちタクシーのように各会場の待機所で待機したり予約で呼び出されたりしてオンデマンドで輸送サービスを行う。

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晴海の選手村ゲート前

パラリンピック期間:NOC(7回)
晴海の選手村に駐在し、各国選手団に貸与されたフリートカーを運転する。一般的に大国と呼ばれるような国の場合は専門のプロドライバーを雇用するか、ステークホルダーが自ら運転するケースが多く、大抵は南米、中東、南・東南アジアの国々の選手の輸送に従事しました。


オリンピックのふりかえり

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オリンピックスタジアム

オリンピックって開催前から前半にかけてものすごくパッシングされましたよね。偉い人たちの不祥事もそうですが、開会式の弁当が廃棄されてしまった問題など、選手たちがメダルを次々と獲得しだすまでは、とにかく運営に対する批判がありました。
でもちょっとだけ中からの視点で見ると厳しいですよね。なんせスプリントというかジャーニーの周期は4年もありますし、しかもジャーニーごとのメンバーは全員入れ替わりです。引き継ぎっぽいものはあるかもしれませんが現場とは程遠い「超偉い人」・・・・たいしたものは引き継がれません。

例の開会式の弁当廃棄の問題だって、起こりうるいろいろなファクター・・・・例えば開会式前の忙しさ、そして始まってしまってからのボランティアたちの心境・・・・・「この場を離れて休憩(食事)なんてありえない」・・・という気持ち・・・・

こんなもの予測もできませんし、学習しようもありません。

批判を覚悟で言うと・・・あれはしょうがない。

構造的にふりかえりが効きません


フリートサービスのふりかえり

フリートサービスの運営のコアの部分。システムは実はTOYOTAさんのシステムを使っていました。運用もTOYOTAさんです。TOYOTAさんと言えばカンバンとかアンドンとかというスクラムの原点、Leanの発祥の企業です。ちなみに使用する車も全部TOYOTA製です

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フリートカー(VOXY)

事前の研修で管制センターの大きなディスプレイを見せてもらいましたが、いかにもTOYOTAの仕組みっぽく、アンドンなんかの仕組みがディスプレイ画像に組み込まれていました。
見ただけでちょっとワクワク

その実力を体感したのはオリンピック開会式のパニックに対する対応です。

オリンピックが始まった当初は、まずコロナ禍によって選手や関係者が宿泊施設や競技場以外に自由に出られなくなったこと、不用意な感染を警戒して外出しなかったこと、フリートサービスですら接触を避けたいと考えたこと。ボランティアの辞退が続いたこと・・・・など不確定要素が多すぎて需要を大きく誤ったことで、ボランティアの人数が過剰になったりして管制システムが処理しきれずに大量の渋滞が発生していました。朝早くに事務所に行っても、車に乗れなかったり、乗れるのは昼過ぎだったりしていました。乗れた人の話を聞いても、システムは過負荷で殆ど動いていなかったようです。・・・・待機所には気持ちを和らげるためか聖火のトーチなんかが置かれていました。

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築地に展示されていた聖火トーチ

凄いのは、そこからの対処です。中に居たわけではないので真実まではわかりませんが、翌日には付箋紙を使った配車や駐車場でのアナログなディスパッチにより、所々にスムーズに仕事が流れるようになりました。
システムのほうも必要な部分は徐々に動くようになり、3日めくらいにはしっかりと稼働していました。

さすがTOYOTA。日に日に改善される結果を見る限り、毎日ふりかえりをやっていたに違いありません。

さすがトヨタ、カイゼンが凄まじい


自分の活動のふりかえり

最後は自分自身のふりかえりです。実はフリートサービスの仕事は待ち時間が多く暇な時間が多かったので、その時間を使ってログと言うか、そのまんまブログに記録しました。流石にオブラートに包むべきところは隠しましたが、自分の活動、判断、行動をしっかりと記録を取りました。使ったツールはこのnoteとiPhoneの音声入力です。最初の頃は帰ってからパソコンに向かって記録をしましたが、記憶が薄まるのでちょっと正確さを欠きました。3日めぐらいで思い切って音声登録を使ったリアルタイムのレコーディングに切り替えました。これによってボランティア活動が終わった帰りの電車で記録を公開することが出来るようになりました。

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さいたまスーパーアリーナ

毎日記録を取ることによっていちばん変わったのは「次の日の行動」です。次の日にどの車種を選択するのか、休憩時間はどう扱うのか、管理センターにはどう連絡するのか・・・・長時間活動したとしても記録に残っていれば見返すことが出来、事実に基づいた判断ができるようになります。

ここからふりかえり(日付リンクで日記に飛びます)

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バッハ会長からの感謝バッジ

築地初日(7月10日)
Y:車(ヴォクシー)を運転できた
  初めてお客さん乗せた嬉しい
W:待機時間が長く、とても暇
  終了時刻直前に出動指示に従うと帰れなくなる(成田まで行った)
  来日した人もコロナが心配なんだ(すごいゴーグルしてた)
  ハイブリッドもたついて運転しにくい
T:次回は暇つぶしのものを持っていく
       終了時刻1時間前だったら出動しない

築地2日目(7月22日)
F:選手村に行った!!
  オリンピックスタジアムの近くに行った
D: 3組8人乗せた
L:英語通じない人多い
  オリンピックスタジアム周辺の警備は怖い

築地3日目(7月24日)
K:洗車でもいいからなにか役に立つならやろう
  次も築地場外でご飯を食べよう
P:すごく待った
  車に乗れなかった
T:予定時間よりも数時間早く入ろう


築地4日目(7月25日)
Y:朝早く築地入りした(けど待った)
  聖火ランナーのトーチ持った
  2組3人乗せた
W:オリンピックスタジアムの入り方めんどくさい
  フランズ人に英語通じない
T:オリンピックスタジアムに行くときは慎重にしよう
  明日はミライ(水素自動車)に乗ろう


築地5日目(7月26日)
F:ミライに乗れた!!フィーリング良い!!
  スーパーアリーナに行けた(しかも日本女子バスケの勝利)
D:1組1人乗せた
  給水素してみた
L:ミライ運転しやすい、早い
  さいたまスーパーアリーナ周辺の様子がわかった

築地6日目(7月28日)
K:5組5人載せた、次回もたくさん載せよう
  各虚偽上周辺を楽しもう
P:スマホホルダーが調子悪かった
  カーナビがトラブった
T:スマホホルダーを手で抑えてあげよう
  次も効率よく載せよう

築地7日目(7月29日)
Y:4組6人乗せた
  困っている女性を指示なしでも判断して乗せた
  はじめて英語でたくさん話した
W:システムが改善されていた、トヨタさん凄い
  困ったときには下手な英語でも通じる
T:次回はもうちょっと遊ぼう

築地8日目(7月30日)
F:選手村前を探検した。
  タイの大学の人からバッジもらった
D:はじめて予約客を乗せた
   3組3人乗せた
L:選手村入り口の塀は全国の木材でできている

フリートカーのミライ


築地9日目(8月1日)
K:明日も懲りずにミライだ!!
  今日も3人3組 次回もたくさん載せよう
P:途中で水素が不足してパニック
T:給水素は計画的にしよう

築地10日目(8月2日)
Y:記念品のスウォッチもらった!!
  今日もミライに乗った
  1組3人乗せた。はじめて最後までシステムの指示に従った
W:フランス人負けたから不機嫌
  あいかわらずミライは運転して楽しい
T:次回は閉会式の日、スタジアムに行ってみよう
  ラスト近いのでミライに乗ってばかりでなくちゃんと働こう

築地11日目(8月8日)
Y:今回は1人だけ乗せた、
W:待機ばかりだった、閉会式の日は暇
T:もう一回頑張ってみよう

築地12日目(8月10日)
F:オリンピック活動日最終日なので感動
  最後に仕事できた
D:最後に帰国する1組2名を乗せた
L:車いす用の車の扱い方学んだ
  めちゃくちゃ荷物持ってきてる。ギターケース????


ここからは晴海選手村オフィスに移ってNOCの活動になりました


晴海1日目(8月23日)
F:クロアチアの選手おもしろい
  色々なボランティアの人(IT屋も居た)と話をした
D:ひたすら待った、様子見た
L:晴海オフィスの様子、ボランティア同士で中が良い
  NOCの仕事の仕方
  ここでは選手との交流もある

晴海2日目(8月27日)
K:次も頑張ろう(今日はチュニジアの人を乗せた)
P:競技場と練習場を間違えた
  1回しか活動できなかった
  あまりステークホルダーと話ができなかった
T:道を間違えないように事前準備しておこう
  もうちょっと話しかけよう

晴海3日目(8月28日)
Y:エジプトのステークホルダーを3人運んだ
  シャトル便(駐車場間のドライバー輸送)の運転手をした
  ガソリン入れた
  選手村の前を見学
W:スタッフは色々大変だということ
  東京国際フォーラムの警備も厳重
  全国からバスマニアも集まっていることがわかった
T:次はちょっと早めに行こう
  今日は話せなかったのでもっと話そう

晴海4日目(8月29日)
F:水上の森近辺を探検した
   ブラジル人のプロドライバーさんとたくさん話した
D:イスラエルの男性一人を水上の森に運んだ
  ガソリン入れた
L:オリンピックで働いているプロドライバーさんの話を聞けた
  なかなかセキュリティゾーンには入れない

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スタジアムのロボット

晴海5日目(9月4日)
F:オリンピックスタジアムの見学できた!
  スリランカの人とも話した!
D:スリランカの人を夢の島アーチェリー場まで送った
  つぎにオリンピックスタジアムに運んだ
  そこから二人選手村まで運んだ
L:ロボットの活躍を見た
  オリンピックスタジアムの様子を見た

晴海6日目(9月5日)
Y:イランのステークホルダーにプレゼントをあげた
  フランスのマラソンの銀メダリストと写真を取った
  選手村のゲートに集まっている子供たちにプレゼントあげた
W:今日僕は働いてない
T:今度は働こう


銀メダル



晴海7日目(8月6日)
F:アルジェリアのステークホルダーからジャージ、Tシャツをもらった  
D:車のステッカーはがしをした
  個々に来て初めて知り合いになった人にバッジをあげた
L:ボランティアやってよかった
  晴海に来てからあまり働いていない


前半の築地での活動時は次回はもっとたくさん載せようと毎日真面目にふりかえっていましたが、パラリンピックの晴海では毎日FDLでした。

全体の総括としては、楽しかったです
あと記録を取るのはいいですね











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