記事一覧

無題

 苦労人とはどのような人のことを指すのだろうか。  ネットを参照して言えば、「【苦労人】今までに多くの苦労をしてきて、世事・人情に通じている人」のことらしい。  …

砂羽
2か月前
3

岩手旅記

 二十歳になる冬、私は一人で岩手に行った。  ずっと、私は二十歳になるのが嫌で嫌で仕方がなかった。満足できない、好きでもない今の自分が大人の仲間入りをするのが怖…

砂羽
3か月前
9

リトル・バレリーナ

 幼い頃、私はクラシック・バレエを習っていた。  三歳頃から小学校四年生の頃、つまり十歳くらいまでは続けていたと記憶しているから、大体七年ほどバレエをやっていた…

砂羽
4か月前
3

初心

 「初心忘るべからず」という言葉がある。  誰もが知っている格言である。しかし、何をもってスタート地点となり、何をもって初心とするのだろうか。    「決心したと…

砂羽
5か月前
1
無題

無題

 苦労人とはどのような人のことを指すのだろうか。
 ネットを参照して言えば、「【苦労人】今までに多くの苦労をしてきて、世事・人情に通じている人」のことらしい。
 その定義にどれくらい当てはまっているか分からないが、概ね、自分は苦労人なのではないかと思う。

 二十年前、私は東京で生まれた。そして、私が小学一年生の時に母の故郷である熊本に移り住んだ。理由は、父親がサラリーマンを辞め、母の父(つまり私

もっとみる
岩手旅記

岩手旅記

 二十歳になる冬、私は一人で岩手に行った。

 ずっと、私は二十歳になるのが嫌で嫌で仕方がなかった。満足できない、好きでもない今の自分が大人の仲間入りをするのが怖くて、このまま自分が何らかの未来を歩んでいくのがおそろしくて、たまらなかった。私が生まれたのが父親が二十歳の時で、父が父(それもロクデナシの)になった歳を追い抜くのも、憎らしかった。私にとって、大人は醜くて、複雑で、難解だった。絡まって解

もっとみる
リトル・バレリーナ

リトル・バレリーナ

 幼い頃、私はクラシック・バレエを習っていた。

 三歳頃から小学校四年生の頃、つまり十歳くらいまでは続けていたと記憶しているから、大体七年ほどバレエをやっていたことになる。年数で表すと結構だが、別にバレエに陶酔していたという訳ではなかった。バレエのことは好きだったような気もするし、特段好きではなかったような気もする。正直、自分がどのような気持ちでバレエをしていたのかを、よく思い出せない。幼い私は

もっとみる
初心

初心

 「初心忘るべからず」という言葉がある。

 誰もが知っている格言である。しかし、何をもってスタート地点となり、何をもって初心とするのだろうか。
 
 「決心したとき」があらゆることのスタート地点なのではないかというのが(少なくともこの文章を書いている現時点での)私の結論である。自分が始めると決心しないと、物事は何も始まらないと思う。恣意的に点と点を打って、それらを矢印でつないで、過去と今を表現す

もっとみる