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「介護に備える」①介護のことを知る。

 介護について、いろいろなことを書いてきました。初めて読む方は、ここをクリックしていただければ、私の経歴の概略や、どんなことを伝えようとしているかも、理解していただけると思いますので、もしよろしかったら、読んでいただければ、ありがたく思います。

 私も家族の介護をしていました。いろいろあって仕事を辞めざるを得なくなり、介護に専念している時間の中で、こういう状況にこそ、気持ちのサポートをしてくれる専門家が必要ではないだろうか、と思うようになり、介護を続けながら、臨床心理士の資格を取り、介護者への個別の心理的支援も始めることができました。

 このnoteも、家族介護者の支援につながれば、と考え、家族介護者の方だけでなく、介護に興味がある方や、介護の専門家へも向けて、いろいろと伝えようとしてきました。

 ただ、それだけでなく、まだ介護をしていないのだけど、介護に興味を持つ方々も当然ながら多いのではないか、という印象も持つようになりました。このシリーズでは、そうした「介護に備えたい」方々へ向けて、何回かに分けて、お伝えしようと考えています。この内容は、今まで書いてきたことと重なってしまうこともあるのかもしれませんが、少しでもお役に立てるようにしたいと思っています。

介護に備えたい方へ

 このnoteで書き始めて、今は介護をしていないけれど、でも、介護について備えたい、という方々も、実はかなり多く、でも何をしたらいいのか分からない、という方も、同様にたくさんいらっしゃるのではないか、と思うようになりました。

 そうした方に対しては、介護を少しでも「体験」したような気持ちになる本をおすすめしたこともあります。

 もし、時間の余裕があれば、こうした本を読むことは、とても有意義な介護への備えになるとは思うのですが、もしも、時間がない場合は、次に進んでいただければ、と思います。

家族介護を知ること

 今、こうして、ここまで読んでいただいただけでも、すでに「介護に備える」ことは、始まっています。

 介護に備える。ということを考えた時に、よく目にするのは、「〇〇円必要」といったお金の話や、「この老人ホームがベスト」みたいな話題だと思いますし、それは確かに必要かもしれませんが、資金については、実は以下のようなことが本当だと思います。

いくらかかるかではなく、いくらかけるか。    
介護費用は高くも安くもできる。

 介護が始まると、とにかく目の前のことに対処する、ということの連続で、何をしたらいいのか分からない状態で、だけど、決断をしなくてはいけないことが続く場合が多くなります。

 いくら資金があっても、足りないかもしれませんし、介護が始まる前に選んでいた「老人ホーム」も、介護が必要な家族の状態によっては、そのホームに入れないこともありえます。

 だから、今回は、資金などのことは別として、今から「備えられること」を紹介したいと思っています。何回かに分けて紹介する予定ですが、まず、「介護に備える」ことに有効と思われるのは、なにより「介護を知る」ことだと考えています。

介護が始まると、どんな気持ちになるのか?

 実は家族介護といっても、100人いれば、100通りといわれるほど、違いがあります。だけど、それでも共通点はあって、今、まったく介護に縁がない場合は、その介護について想像するのも実は難しく、介護をしている人を知っていたとしても、外からみるのと、自分が「介護の中の人」になるのは、全く違う体験だと思います。

 とはいっても、少しでも知ることで、介護に関して「気持ちの備え」はできると思いますので、もし、できたら、「家族介護者の気持ち」については、それぞれいろいろな段階があって、そのことについては書いたことがあります。これについては、他ではあまり触れないようなことが少なくないと思いますので、もし介護が始まったら、どういう気持ちになるのか?に興味があれば、お手数ですが、興味がある記事だけでも、読んでもらえたらと思います。

 そして、こうした記事を読まれることで、さらに興味を持ったことや、疑問に思ったことなどがあれば、いっぺんでなくてもいいので、さらに何かを調べていく、ということの一つ一つが、「介護に備える」ことにつながると思います。

認知症について知ること

 知らないことは不安を大きくしますが、同時に、その不安を小さくすることができるのは、その本人が知ろうとして、納得していく行為だけだと思います。特に、認知症に関しては、もし周囲に認知症の方がいらっしゃらなくて、知らないままでしたら、いくら認知症という言葉を聞いていたとしても、怖くなるのも、自然なことだと思います。

 そうした場合、認知症の専門医の第一人者であり、現在は当事者でもある医師の著書↓は、貴重であると同時に、「認知症を知る」ための、最初の一冊として適しているとも考えられます。

 また、今はインターネット上にも情報が多く、中には不安をあおるものも少なくありませんし、当然ですが、すべてが正しいとも限りません。そういう意味では、「認知症の人と家族の会」のサイトは、家族介護者の集合知も記録されている貴重な場所とも言えそうです。


 ただ、認知症に関しては、知れば知るほど、知らないことが増えて、かえって不安が増す可能性がありますし、誠実な人ほど、そうなるかもしれません。

 そういう方は、基本的には認知症に関して、完全に理解している人はいないと思ったほうがいいのかもしれません。それがわかれば、もっと治療方法が確立しているはずですから。

 それに認知症といっても、その症状は、ひとくくりには出来ず、人によってその変化は千差万別ですから、すべてを理解すること自体が、ほぼ不可能なことで、それを前提にしていただければ、と思います。その上で、分かることだけ、少しずつ分かっていければいいのでは、とも思っています(私も家族介護者として、そうでしたし、支援職を細々と始めている今も、同じような状況です)。

 さらには、もし、ご家族が認知症と診断されるようなことになっても、当たり前ですが、別人になるわけではありません。これまでの、その方から見たら、時として別人に見える時もあるかもしれませんが、すべてが違う人になるのではない、と思います。そんな断絶はないと考えたほうがいいのではないでしょうか。

介護のボランティア

 介護の施設について、知っておくのも大事かもしれません。
 地域包括支援センターという場所は、必ず、どの地域にもあります。
 お手数ですが、お住まいの地域名と、「地域包括支援センター」で検索すれば、連絡先はわかるかと思います。

 すべての地域包括センターで可能かどうかは分かりませんが、まだ介護を始めていなくても、介護が必要になりそうなご家族がいる場合は、そうした場所で、「もし介護が始まってしまった場合」について、聞けるかもしれません。介護が始まる前に、聞けたら聞いたほうが、「介護に備える」ことが出来そうです。

 さらに、特別擁護老人ホームや、介護老人保健施設など、見学が可能な場合は、見ておいたほうがいいかもしれません。これも、地域やタイミングによって可能かどうかは分かりませんが、地域包括支援センターなどで問い合わせて、(まだ介護に直接関係していない場合は、断られる可能性はありますが)、そういう見学について聞いてみてもいいかもしれません。

 そうした機会があり、可能であれば、いくつか施設をみることができれば、施設によって違うことも実感できると思います。もしも介護が必要になり、在宅では難しい時に施設へ、という場合に、どこなら入所したいか、と思いながら、見学ができれば、そういう施設がどういう場所かを、より具体的に知っておくこともできますから、将来への漠然とした不安は減る可能性があります。


 そうした問い合わせなどで見学が不可能だった場合、それでも、介護を知りたいのであれば、ボランティアを経験するのが、もっとも近道かもしれません。

 どの地域でも社会福祉協議会があると思います。
 そこには、高齢者関係のボランティアの募集はしていることが多いと思いますので、そうしたボランティアの経験をすることは、介護に関しても、他では得られない様々なことが分かるはずです。介護に関する有用な情報も得られるかもしれません。

 いま現在ボランティアとして貢献できるだけでなく、将来あるかもしれない「介護に備える」という目的も果たせるので、介護関係のボランティアは、一石二鳥ともいえると思います。

 今回は以上ですが、この「介護に備える」は、これから毎週、何回かに分けて続ける予定です。次回は、「介護に備える」②(リンクあり)です。


(他にも介護のことを、いろいろと書いています↓。読んでいただけたら、うれしいです)。


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