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「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」㉔「家族会」と「認知症カフェ」

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 初めて読んでいただいている方は、見つけていただき、ありがとうございます。

 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。家族介護者の心理的支援を仕事にしています。

家族介護者の負担

   コロナ感染対策の緩和が言われるようになりましたが、ご高齢者に関わることが多い家族介護者の方にとっては、それほど不安の大きさが変わっていないかもしれません。それに、もともと、介護が始まってから、いつ終わりが来るか分からない毎日が、ずっと続いているかと思います。

 その気持ちの状態は単純ではなく、説明しがたい大変さではないかと推察することしかできないのですが、それでも、ほんの少しでも負担感や、ストレスを減らせるかもしれない方法は、お伝えする努力はしていきたいと考えています。

 時間的にも余裕がなく、どこかへ出かけることも出来ない場合がほとんどだと思いますが、この「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズでは、お金も時間も手間もなるべくかけずに、少しでも気持ちを楽にする方法を考えていきたいと思います。


家族会

   介護の大変さを、やわらげる。

  そうしたテーマでしたら、おそらくは真っ先に挙げられてもおかしくないのが、家族介護者のための「家族会」です。

  例えば、自分が住んでいる「地域の名前 介護 家族会」という言葉を入れただけで、すぐに「家族会」が出てきます。人口が多い地域であれば、「介護家族会」という名前で、30カ所以上の「家族会」が提示される場合もありますが、残念ながら、現在ではコロナ禍のために「休止」しているところも少なくありません。

(これは東京都世田谷区ですが、どの地域でも、このようなサイトは存在すると思います)。

 そういう状況であっても、介護をされていると、地域包括支援センターや、もしくは、介護の専門家に「家族会」への参加をすすめられた人は多いと思います。

ためらい

 ただ、そこですぐに行ってみる、という選択肢を選ぶことも難しいかもしれません。まず、時間をかけることを考えると、ためらってしまうのも仕方がありません。

 また、介護を続けることによって、もしかしたら、生活も狭くなり、人と会う、ましてや知らない人と会うこと自体に、気持ちが二の足を踏んでしまうようになったとしても、それは自然なことだと思います。

 だから、家族会の参加をすすめられたとしても、すぐに行くことができないとしても、それは、ある意味で当然ですが、それでも、最初は嫌だと思っていても、そのうちに、「参加してみようかな」と思う時が来るかもしれません。

 その時には、手間と時間は必要ですが、一度は顔を出してみるのがいいのではないか、と思います。

参加した場合

 そんなに厳密な定義ではないのかもしれませんが、「家族会」というのは、通常は、実際に介護をされている方々が主体になっています。ですから、「自助グループ」「セルフヘルプグループ」と言っていいのだと思います。

 その利点は、やはり、当事者が中心(場合によっては、当事者のみ)の会ですから、気持ちが分かり合える可能性が高くなります。さらに、会の運営によって、多少の違いはありますが、この会の中での発言は否定されることはありませんし、そして、ここでの発言は参加者は守秘義務があるので、その会が終わったら、他の場所で話されることはありません。

 そのことで、家族会は安心できる場所になっているはずです。

 そこでは、基本的には何を話してもよく、それが共感を持って受け止められ、場合によっては理解された上での労いもされるわけですから、それは気持ちが楽になることだと思います。

 ですから、時間と手間をかけることになりますが、参加することで、とても得るものが多いはずです。

マイナスな時

 ただ、家族会もいい時だけではありません。

 誰が悪いわけでもないのですが、参加して、なんとなくモヤモヤする場合もあります。

 例えば、同じ家族介護者といっても、違いはもちろんあります。

 介護をされている相手(要介護者)の方が配偶者の時と、親の場合。親でも、実親と、義親でも違うと思います。また、介護をされている方(要介護者)の症状によっても変わってくるはずです。

 さらには、身体介護が必要なのか、認知症なのか。同居なのか、別居なのか、施設入所の後なのか。その介護状況が違ってくると、共感の度合いが減るのは仕方がありません。

 家族会によっては、その介護状況が、なるべく同じ人たちが集まれるような工夫をしているところもありますが、多くの場合は、そのようなことは少ないようです。

 もしくは、同じ介護状況であっても、その場所が居心地が良くなるかどうかは、そこでも人間関係が発生することを考えると、やはり「相性」としか言えないこともあるので、参加してみて、なんとなく合わないと思ったら、静かに次回は行かない、という選択もできます。

参加しないと分からないこと

 ただ、無責任な言い方になり申し訳ないのですが、家族会は参加してみないと、自分に合うかどうかが分かりません。それは、どれだけ前もって調べても分かりにくいことですので、もし、興味があれば、参加してみることをおすすめします。

 その上で、例えば、どうしても居心地が悪い。もしくは、傷ついてしまいそうだ(そこまでのことは、なかなかないとは思いますが)と感じられた時は、途中退席も認められているはずです。

 どんなことでも、いいことばかりではありませんが、「家族会」で出会った方と本当に分かり合える可能性もあります。

 さらには、これはなかなか実行するのは気持ち的には難しいことですが、地域に複数の家族会がある場合は、一ヶ所が合わなくても、別の家族会が居心地がいい場合もありますので、複数の場所を試してみる、という方法も不可能ではないと思います。

認知症カフェ

認知症カフェは、認知症のご本人やご家族、認知症に関心のある地域の方が、認知症の有無にかかわらず、気軽に集い、楽しい時間を過ごしながら、仲間づくりや情報交換、専門スタッフに相談ができる場です。

 「認知症カフェ」という名前をよく聞くようになったのは、ここ10年ほどの印象があります。「オレンジカフェ」と言われることもあります。

 認知症当事者や、家族介護者のための居場所として設けられている場所で、「家族会」が主催していることもありますが、多くは、社会福祉法人や、市町村や、NPO法人が運営していて、参加費も、お茶代の数百円ですので、気楽に参加はできます。

 そこには介護の専門家がいることもあるので、情報を得ることもできますし、何より、そこには家族介護者がいらっしゃっていることも少なくないので、話ができる仲間に出会える可能性もあります。


 東京都町田市では、スターバックスで「Dカフェ」と名づけられた「認知症カフェ」が開かれたりしています。

 もし、ご興味があれば、お住まいの地域の「地域包括支援センター」に問い合わせていただくか、「地域名 認知症カフェ」で検索していただければ、見つかると思います。

 そして、参加してみて、これも誰が悪いというわけではなく、人によって居心地は違うと思いますので、よかったら、続けて参加してみて、違和感があったら、次は参加しない、ということでいいのではないか、と思います。



 どちらにしても、現在、「家族会」や「認知症カフェ」に興味があり、まだ参加されたことがない方は、一度は参加されるのがいいのでは、と思っています。ただ、無理はされず、繰り返しになりますが、参加して、なんとなく違うと思われた時は、そっと行かなくなるという選択をすればいいのだと思います。

 今回は、以上です。



(他にも、いろいろと介護のことを書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。





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