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エッセイ

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#エッセイ

After you

先日新幹線に乗っていて、降車駅に近づいてきたので席を立ってドア付近にいた。
すでに人が数名いたので、最後尾に並んだ。
私が立っていたのは、開くドアとは反対側のドア付近だった。
ドアが開いて、人々が降り始めた。
私は続いて降りようとしたけれど、客席側から人が出てきたのを見て先を譲ることにした。
人々は黙礼をして降りて行った。

前に在来線に乗ろうとホームに立っていた。
2列で並べと書いてあるので先頭

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音楽を聴くこと

ビバラロック2024で、初めてUVERworldのステージを見た。
前に映像でライブを見たことがあって、
ライブが上手い人達だなあと思っていたので、
一度見てみたいと思っていた。

実際に見てみて、想像を遥かに超えてライブが上手いと思った。
客に対する愛情表現がストレートで、
全部包み込もうとする。
それを心地良くも感じる。
すごいなと思った。

完全に飲み込まれたので、今もその中にいるのだが、中

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ポライトネス

ポライトネス

長い年月の悲しみを吐露する人を目にして、
文字通り卒倒しそうになった。
私は座っていたけれど、壁にもたれていたから良かったようなものだ。

悲しみが怒りになり、怒りが醸成され、視野が狭く狭くなってゆき、誰からの優しさも受け取れない。
受け取らないことがその人の心の中では正義となっているように思った。
小さな優しさ、何気ない優しさ、軽い優しさ、人が人に持つポライトネスをすっと受け取れない状態になって

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夢を聴いてくれる人

夢を聴いてくれる人

夢を語る、その夢を聴いてくれる人がいた。
そんなことを歌っている曲が耳に残った。
昔からよくあるテーマなのだろうと思うけど、
だいたい夢を語っているのは男性で、聴いているのはその恋人だった人だ。

自分はどうだったかなぁと考えたが、私の場合も、夢を語っているのは恋人で、私自身は誰かに夢を語っていることはなかった。若い人も、ある程度の年齢の人も、夢を語ってくれた。私はそれを聴いてきた。

なんでそん

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深呼吸

朝は、一旦外へ出ることにしている。
ベランダで空を眺め、グラデーションに驚き、
もう2度とこの空を見ることはないのだと、
いつも思う。
万華鏡を覗き込む時と同じ、
胸の高揚。儚く頽れる、いや常時変貌していく景色への痛み。
今日も朝を迎えた、起き上がることができた。
と思う。それは喜び。

まずは大きな喜びからの気持ちの変容も忙しないのが私の朝だ。
休日は心が落ち着くまで椅子に座っている。
平日もそ

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朝起きて

朝起きて

朝は、起きるとまず窓を開ける。
そしてベランダに出る。
何度も深呼吸をする。

そして、空を見ている。
朝焼けの空。
青い空。
白い空。

鳥の声が聞こえる。
虫が昨日と同じ場所に止まっている。

鳥が飛ぶ。

おばあちゃんがゆっくり歩いて植物の前で立ち止まり、
水やりをしている。
おじいちゃんが背筋を伸ばして散歩をしている。

私はベランダの椅子に腰掛けて、朝を見る。
鳥が生きている。
何かが生

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ライブに行くこと

今年ももう11月。
去年、友達に訊かれてやってみたやつ、
「私が何を見に行っていたのかを振り返ってみる」を、今年もやってみたいと思っている。

今年もたくさんライブを見たり演劇を見たり映画を見たりした。

私は学生時代はさておき2021年までエンタメとは無縁でひたすら仕事に邁進してきたので、
自分がこんなにライブに行くようになるとは思ってもみなかった。

人生はよく分からない。

佐藤正午に『ジャ

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胸が痛い

胸が痛い

「胸が痛む」という言葉を辞書で引くと、
心配や悲しみ、あるいはやましさを感じるなどしてつらさを感じること。心配して深く思い苦しむこと。というような説明がある。

私もこれまでそのように慣用的にこの言葉を使って来たのであるが、
今週はただただ現実的に胸が痛かった。
胸の真ん中、みぞおちあたりが痛かった。

気候の変動についていけていないのか、
睡眠障害が悪化しているためなのか、
情緒も安定しなかった

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27歳

びっくりして…しまったなぁ。
27歳だったのか。
早い。
でも、27歳だったんだな。
悩んでいたんだろうなぁと思った。
生まれてから元気を元気だと気づかないぐらいに走り切ってきて、ふと立ち止まるのが、
27歳なのかなぁと思っている。
いろんなことをやってみて、立ち止まる時。

私はどうやって越えたのかなぁとぼんやり振り返った。
私はその頃ブログを書き始めたように思う。
もう閉じちゃったけど、そのブ

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よしなしごと。

よしなしごと。

仕事を休むことになり、しばらく寝たきりの日々が続いた。
健康のために歩くことを勧められて、25分ぐらい歩いて帰宅する。そして寝る。
という日々を送った。

歩ける日もあれば、歩けず寝ていることもあった。
当初は文字が読めなかったため、また電車に乗っていると胸が圧迫されるような思いがしたため、出かけたことを後悔したこともあった。
ただ、その時観劇した『フェイクスピア』は、一生忘れることはないだろう。

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登場人物Aの考え

登場人物Aの考え

言葉の受け取り方というのはさまざまだなぁと思わずにはいられなかった。そして「なんだかなあ」と思った。

言葉の受け取り方が決まっていることを平等に学べるのは学校である(別に塾やフリースクールでも良いんですが。子どもの頃に勉強や人間関係の構築を知る場の例という意味です)。数学には数学の解き方があり、理科にも理科の解き方がある。「公式」という便利なものまである。
「国語」も受け取り方が決まっている。小

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普段しないことをして。

普段しないことをして。

文字が認識できなくなって、ちょっとずつできるようになってきて、食事や生活用品の買い物掃除では使わない脳を使う練習をすることになり、私は外国語を毎日眺めている。計算ドリルを解いたり、漢字を書いたりする人もいるようだ。私は午後になると、普段使わない外国語を眺める。声に出して読む。とても分かる時と、全く分からない時があるのは不思議だ。分からない時は、やはり?と思い、分かる時は、良かった!と思う。分からな

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忘れる

忘れる

去年姪と話をしていて、日記帳が欲しいと言うので、姪の分を買うついでに、自分用に5年日記というのを買った。

今、書いているページをめくるのは2回目ということになる。去年のこの日にこのアーティストを見たのかと気づきしばし感動することもあるし、去年と同じだな(私、ずっと調子悪そうだな)と思うこともある。

全く違うこともあって、人との関係が1年でこんなに変わるもんかねと驚いたりもする。

去年の今日の

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