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子供の頃

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三歳の七五三

三歳の七五三

着物は知り合いの方からのお下がりだったが、白地に赤い模様の鮮やかな晴れ着だった。髪の毛はおかっぱに大きな白い飾りを付けられた。

初めての着物は窮屈だった。足袋も草履もいつもと違う履物に嫌々感がMAXだった。その格好で1キロ以上も商店街の続く道をお寺まで歩かねばならなかった。三歳の七五三は辛かった思い出として今でも覚えている。

長い長い商店街のちょうど中央辺りに銀行があって、その辺りから頭に付け

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悩みとの遭遇

悩みとの遭遇

まだランドセルを背負っていた小学5年生の忘れもしないある日。校門から校舎へと向かう広い校庭の真ん中辺りで突然

「つまずちゃんは悩みないの?」

と聞かれ、悩み悩み悩みと悩んでいると

「つまずちゃんは悩みなくていいね!」

と飽きれられた瞬間の友達の顔と、もう一人の友達は薄ら笑いを浮かべていた表情が目に焼き付いた朝だった。

その朝こそ私の中で悩みという悩みが誕生したネガティブ思考の始まりとなっ

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パグとの出会い

パグとの出会い

1986年の映画「子猫物語」の子猫、チャトランの相棒役がパグのプースケだった。

子供だった私はそのパグのプースケの鼻ペチャで愛らしい姿の虜となった。

ある日商店街の裏道を歩いていた時に、どこかで見覚えのある犬がスラリとした女性と一緒に歩いていた。

『うそ!まさか!あの犬は!!!』心の中がざわめいた。

その女性と犬が通り過ぎその後ろ姿に悶絶した。

『プースケだぁぁぁぁぁぁ!!』

心の中は

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ミヒャエル・エンデの本

私は全く読み書きが出来ない子供だった。

母はそんな私を『このまま漢字が読めない、書けない子に育ったらどうしよう』とかなり心配したらしい。

頻繁にあった漢字テストはいつも赤点。多分クラスで一番漢字の宿題をこなしていた位、漢字が苦手だった。読めない、書けない、覚えられない。何度も何度も練習しても出来なかった。

だから本は大嫌いだった。なのに読書感想文の宿題が多かった。朝読み、夕読みという読書タイ

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黄金の葉っぱ

横浜の桜木町駅方面へと両親と歩いていたイチョウの並木道。

キラキラキラキラ幼い頃の私の目にはイチョウの葉が輝いて見えた。キラキラキラキラ。

手が届きそうで届かないイチョウの葉っぱにもどかしい気持ちを抱きながら一生懸命歩いていた。

それはもう夢心地の並木道で、西に傾き始めたイチョウは陽に照らされて輝きを増していた。

あそこのイチョウは届くかなと試してみるけど届かない。

お父さんでも届かない

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