アーユルヴェーダをはじめる|第9話
42歳の夏。冷えとり健康法を始めてまもなく、高熱を出して1週間寝込み、3キロ痩せた私(第8話)
元の生活に戻っても、体重は増えるどころか、少しづつ減りはじめた。
新しい自分になる本(※1)を読んで、2ヶ月あまり。白湯飲みと冷えとり健康法の効果が思ったよりも早く出たことに、私は満足していた。
だが、ある本との出会いをきっかけに、さらに3つめの方法を始めることになる。
その結果、身体だけでなく、心も急速に変わっていく。そして、半年でさらに12キロ痩せることになるのである。
ある本との出会い
ある休日。私はいつもの書店にいた。
「次は何の本を読もうか」
と思いながら、店内を歩く。いつもの週末の過ごし方だ。
少し前までは、冷えとり健康法の本を次から次へと読んでいた。
だが、激しい好転反応を経験し、あとは本腰を入れて実践するだけという気持ちだった。
新しい出会いを求めて、棚を見る。すると、一冊の本が目に留まった。『朝は「毒出し」からはじめなさい』という本(※2)である。
よく見ると、著者は、新しい自分になる本(※1)に登場していた、アーユルヴェーダ医師の方だ。
タイトルの上には、「からだとこころを整える健康習慣」と書いてある。健康法の本のようだ。
アーユルヴェーダとは、インドの伝統医療のこと。
その先生が、なぜ、健康法のような本を出しているのか。不思議に思った私は、手に取った。
アーユルヴェーダへの想い
アーユルヴェーダと言えば、額に温かいオイルを垂らし続けるトリートメント(シロダーラ)が有名だ。
私も、新しい自分になる本(※1)を読むまでは、そのイメージが強かった。だが、それはとても断片的な理解だと知った。
アーユルヴェーダは「生命の科学」という意味。エステのようなものではなく、心も含めた、完全な健康を手に入れるための知識体系なのだ。
中でも、人間はもともと完全な存在で、生まれつきの体質バランス(プラクリティ)に近いほど健康になる、という考え方に興味を持った。
そのバランスが乱れると病気になるが、本来のプラクリティの状態に戻すことで良くなるという(シロダーラも、そのための施術の一つ)。
本来の体質や現在の状態は、本によく載っているチェックリストで、大まかに調べられる。自分で行えるオイルマッサージもある。
だが、クリニックでないと受けられない診療やトリートメントが多い。保険もきかない。
私にとって、白湯飲みや冷えとり健康法に比べるとハードルが高く、そのままになっていた。
アーユルヴェーダをはじめる
だが、このときに出会った毒出しの本(※2)は、少し趣が違った。主に自分でできることが書いてあるのである。
この本では、心と身体を整え、健康に生きるには、早寝早起きと朝のデトックスが大切だと説いている。
そのためのデトックス法(※3)と、質の良い睡眠を促すための過ごし方(※4)が書いてあるのだ。
アーユルヴェーダの知識に基づいており、続けることで、人生が好転するのだという。クリニックの患者さんの実話も出てくる。
数が多く、すべてを行うことは大変だが、全部できなくても良いようだ。
「気になったもの、やってみたいなと思ったものから、ひとつでもよいのでトライしてみましょう」
と書いてある。
そこで私は、朝に舌の掃除をすることと、夕方にリラックスタイムをとることから始めてみることにした。どちらも、簡単なのに、とても快適だ。
ひとつひとつは何でもないことに見える。だが、バタバタと起き、忙しさに追われて日々を過ごすのに比べると、ずいぶん違う。
意識的に1日をはじめ、終えることで、心も身体も整っていくのが実感できるのだ。
「自分を大切にする」のは、難しいことではない。こういうことから始めれば良いのだと、心から思える体験。
だが、私は結局、アーユルヴェーダのクリニックで診療を受けると決めた。それには、ある理由があった。
つづく
写真:本田織恵
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