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商品開発秘話

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商品開発にかける切っ掛けや、情熱とちょっとしたドジ話 取り巻く環境や人と人を繋ぐお話などをつらつらと書き綴っております。
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記事一覧

春の広葉樹の収穫

春の広葉樹の収穫

林業用語に『藪漕ぎ』という言葉があります。

山中の道無き道を進むときに腰鉈で藪を払いながら進む時のことを山師達はそう呼びます。

私の蒸留用の集材現場は今は誰も作業していない作業道の先なので道脇の草が日光を求めて覆い被さる様に道側に繁茂して道が半分くらい埋まり始めています。

私はそんな道草を分けつつ尖った大きな落石を軽トラのタイヤで踏まないように慎重に慎重に進みます。

そして、目当ての樹を見

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森づくりと収穫

森づくりと収穫

近自然森づくりというものがある。

『それは何?』と聞かれても『近自然森づくりというものはこういうものでこういうことです。』と答えた瞬間に違うものになってしまうような不思議なものです。もしかしたら私の先生ならばちゃんと答えられるかもしれませんが私にはまだ説明は無理なので書きません。

でも、これはもしかしたらそれに沿った仕事の内容かも?と思ったことが昨日あったのでここに書いておきます。

今回の表

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なんとか形に。〜カマド制作第4歩目〜

なんとか形に。〜カマド制作第4歩目〜

打ちひしがれて自宅に帰った3歩目の昨日でした。

家に帰って『あ〜、もうどうしよう...。』こんなに時間も体力も予算も使って作ったけれどなんと設計図と間違えて作っちゃった。
レンガ積みを壊して、三度目の正直と言ってまた、一から組み直すか、それともそのまま続行するか...

機能、性能、美性とを重視するならぶっ壊してモルタル買い直してまた一からやり直すしかない。そうしたらしっかり長く愛せるカマドにな

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カマド制作日記3歩目

カマド制作日記3歩目

現場へ向かう車中。
写真では少し見えにくいけれど右手の広く開けた空に朝一から虹がかかっている。
これはきっといい日になるに違いない♡と思い、昨日入れたモルタルの下地どんなふうに乾いてるかなーなどとルンルンワクワクしながら現場へ向かう。

その時は、泣きながら家に帰ることになるまさかの大惨事が待っているとはつゆとも知らず。。。

現場に来ると下地で作ったツルツルのモルタルに何やらついてる。
ん?動物

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カマド作成計画2歩目

カマド作成計画2歩目

耐熱レンガってどんな感じなのかと道具は大体どんなのが必要なのかが解ったところでいよいよ正確な図面起こしをしてみることにした。(え?まだここ?)
以前ならテキトーな図面でいそいそと製作し始めて後でうぎゃーってなっていただろうが今回ばかりはちょっと違いますよ。ええ。違いますとも。
なので先ず最初に作ったのはこの図面。

1段毎に必要なレンガの数を数えるためにクロッキー帳に描いたもの。

この後、方眼紙

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カマド作成計画最初の一歩

カマド作成計画最初の一歩

カマドを作ると決めてから数日間、ネットでカマドの作り方の動画を見まくる。
プロフェッショナルからアマチュアからプロ並みの手際のアマチュアと色々な人がいる。(羽釜でカレー作って食べたらうまかった〜!みたいなのとかも。)

しかし当然のことながらカマド飯とかカレーとかBBQ様でまさかの蒸留釜にしようとしている人は勿論居ないわけで。。。

いいもん。
参考にはなった。
こっから先は自分で考えよー。ってこ

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ユニークな作業にぴったりの既製品なんてない

ユニークな作業にぴったりの既製品なんてない

私の精油の蒸留機は銅製のアランビックという種類のもの。
蒸留所を開設するにあたってどうしてもその蒸留機で精油を作りたかった。

IHヒーターを使って蒸留するステンレスの釜は価格も安く、タイマーもあって致命的な失敗にはあまり至ることはない。

が。

なんというか、不揃いであるがためのドキドキワクワク感がない優等生。

『製品を作っているのだからドキドキとかそんなの要らないでしょ。』

と、普通なら

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野生の植物を集材する

野生の植物を集材する

これはスギ以外の広葉樹カナクギノキの集材をしている写真です。
ここはかなりハードな林道の奥深くまで行くために現場の方々が一緒に行ってくださったときの写真。(普段は一人なのでこういう写真が撮れません)

この写真を見て

わあ♡
森に精油の材料を取りに行くのですか!?
素敵ですね!私もお手伝いに行きたい♡!!

って思いませんか?
ちなみに私は思いました。笑

春や秋の気持ちの良いお天気なだらかな道

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森の入り口で森の出口を考える。

森の入り口で森の出口を考える。

なんだかんだと言いつつも、それでも蒸留自体は楽しいものです。

銅の蒸留機の中が”コーーーーーーーーー....”という音を発しながら沸騰をし始め辺りにはスギの枝葉の良い香りが漂い始める。

途端に周りを飛び交っていた血を吸う虫が去っていく。
風向きによって風除けの位置を動かしたり、薪の火力を調整しながら時間を計り、水量をチェックし、蒸留水の排水量や冷却水の水量を調整する。
そして、製品はどんなパッ

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ワイルドすぎる蒸留現場

ワイルドすぎる蒸留現場

ということで本間製作所さんの農業用などによく使われている簡易カマドをコメリさんで購入して精油を蒸留してみることに。

本当は煙突とかのついたもう少し立派なものが良かったのですが、この竈門を購入した時期が悪かった。
時は7月。
カマドを購入するには最も適していない時期だったせいかコメリにはこの一択しかなかった。
アマゾンで購入する手もあったけれど、送料とかが馬鹿馬鹿しいほど高くつくのでポチれなかった

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木材は太陽エネルギーの塊り

木材は太陽エネルギーの塊り

『海外の化石燃料使わないで木材という天然太陽エネルギー使いなよ。』

林業会社代表S氏のこの一言から薪火の蒸留が始まった。

私は”直火”とは決めていましたがまさかの薪火は流石に考えてはいなかった。

火力は確かに強いのですが薪を割る作業が出てくるし、火力の調整がなかなか難しい。そして、アロマに致命的な煙臭さが移らないかも心配でした。
しかし、職人さんたちは私の心配などどこ吹く風。
トラック半分ほ

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『森と海と生き物としてのわたし達』
〜森づくりから見えてきた世界〜

『森と海と生き物としてのわたし達』 〜森づくりから見えてきた世界〜

【aromatopia167号】
一年間の予定で始まり結局二年間に延長し連載をさせて頂いた森づくりコラムの最後の執筆でした。(次号ではインタビューを受けてます)

当初お話を頂いた時、『執筆などしたことないのにちゃんと務まるかしら?』と、とても不安ながらに始まった連載でした。
そして思いかえせばこの二年間
『森と海と生き物としてのわたし達』〜森づくりから見えてきた世界〜
毎号4ページのこのシリーズ

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私がFORESTERCHICKSになったわけ。

私がFORESTERCHICKSになったわけ。

私が広葉樹を使った化粧品開発を始めたばかりの
3年前のある日のことでした、森の先生は林道に車を止めて
『あの対岸にある木々の足元がどんな風になっているかわかりますか?』
と、谷の反対側にある遠くの森を指さしました。

その時の私にはこの風景は日本中で少し田舎に行けばどこでもみられそうなスギの植林地にしか見えませんでした。
それでも私は一生懸命に考えましたがその時は結局答えは見出せませんでした。

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直火蒸留 Vol.1 初めての火入れ

直火蒸留 Vol.1 初めての火入れ

どうせやるなら徹底的に。

ってことで直火を選んでしまう辺りが死にそうに自分の嫌いなところかも。。。

QUSUYAMA LLC.が蒸留所用に間借りしているこの三股の事務所の敷地裏には、こんな美しい沢と豊かな広葉樹の森があって、いつでも涼しい風がそよそよと吹き抜ける。(写真はすこし下流の方にある長田峡)

とはいえ、真夏の宮崎。
外気温30度。

こんな季節に日向でガンガンに焚火を炊くなんて通常で

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