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彼らは、アスターになった。

雨の影響で20分程遅延した電車。登校日の憂鬱な朝に追い打ちを掛ける様に、雨音は大きくなっていった。この所為で一限目に行く予定だった生物基礎の授業は間に合わない事が確定して、僕と同じ様な人達が「どうしてくれんねん!」と嘆いていた。その時にふと見覚えのある顔を目撃した。それは僕が高一の10月に退学した高校で一緒にバンドをしていた同級生のMさん(女)だった。Mさんは小学生の頃から偶に話す程度でそこまで仲良くは無かったが、別に悪くも思っていないぐらいの関係性だった。Mさんと自分の家の距離が近かったので何回かMさんの家に遊びに行った事もあった。当時からずっとベースを弾いていて、バンド結成時のベースのレベルはプロ並みに上手かった。そんなMさんが今僕の隣で僕の知らない4人の女の子と一緒にiQOSを吹かしながら話しているのを目撃した。すっかり髪の毛を金色に染めて、まるで「あの頃の私とは違う。」と見せびらかし、それを変色した髪の毛で表現している様だった。本当は何も変わっていないのに。一度Mさんの事は忘れて、本当は電車の中で見るはずだった螺旋(複数人で1人ずつラップをするレッドブルの人気企画)のインタビュー記事を読み始めた。今回の4人は皆僕の好きな人だったので、「この楽しみを電車の中で消化しよう」としていたが、予想以上に遅延した為我慢が出来なくなり、読み始めてしまった。一瞬で読破した。おもろい。自分の好きなエンタメを消化する時の時間は本当に早く感じる。(螺旋動画を貼っておくのでまだ見てない人は、是非見て下さい。個人的にはsweetyのラップは以前螺旋に出ていたEASTAのラップと同じ様な衝撃を受けました。)

そして、螺旋を見終わった後にまた駅の方を見るといつも通信なのに制服で来る女の子を目撃した。この子は通信という私服至上主義学校に通っているにも関わらず、いつも可愛い制服で電車に乗っているのをよく見かけていた。通信の中にも数人制服で来る人がいるが、彼らは昔普通に高校に通っていたが、僕みたいに途中で辞めて自ら「青春」を一度捨てたが、彼らはまだ「青春」を諦めてなく、今しか着れないあの頃の制服を着て通信のいつも褐色がかった空気を吸いに来るのだ。彼らもMさんと同じ様に絶対あの頃と同じ様な生活は出来ないのに、少しの変化で気持ちを高めている。僕にはそんな事出来ない。だって何も変わらないって分かっているから。

バンド名は「アスター」
確か結成日の誕生花だったから。
花言葉は
「変化、同感、美しい追想、信じる心」
彼らは、アスターになった。
僕は一生なれないけど。


追記
突然処女作の「膜を通して。」を削除して申し訳ございません。なんか改めて全文読んでみたら「全然面白くないな。」と思ったので衝動的に削除してしまいました。その代わりに今週土曜日10月26日に週一小説+「膜を通して。改」を投稿するので是非お楽しみにしておいて下さい!!失礼しました。

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