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自分との対話

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#看護師

冗談、ではなく本当の話

冗談、ではなく本当の話

彼と寝ることはなかった
でも
彼と寝たかった

「ここで一緒に寝るか?寝ててもいいぞ」

彼が亡くなってからもう15年近くも経つのに
いまだに思い出す。

「○○ちゃん、今日も夜の女かい?大変だね」

当時は20代前半
3交代勤務で月の3分の2は夜勤か遅番
日勤は月に7日もなかったと思う
まさに「夜の女」であった

彼は60代、肺がんで抗がん剤治療を受けていた。

既に進行、転移があり、手術による

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「やさしさ」は「つよさ」があってこそ

「やさしさ」は「つよさ」があってこそ

世間では看護師といえば「やさしい」という形容詞で語られることが多い。
また、「人の世話をするやりがいのあるいい仕事」というイメージもあるだろう。
確かにやりがいがある仕事だと自身は感じているがそれは全てではなく、一部である。
よいイメージが強調されると、交代勤務の厳しさや医療事故などのリスクと隣合わせの現実は薄らいで見えてしまう。
一部が全体のイメージを構成してしまうことに違和感を感じるのである。

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「落ち着け〇〇、落ち着け!」発言から考えたこと

「落ち着け〇〇、落ち着け!」発言から考えたこと

「看護師にはパッション、熱いこころも必要だ。
けれども、それ以上に冷静なこころも必要なんだよ。」

ある日、主任と一スタッフの話し合いがヒートアップし、お互い主張を譲らず、言い争いへ発展した。
周りのスタッフは口を挟めずにいたところ、診察室でやり取りを聞いていた先生が放った一言である。
まさに鶴の一声、お互いバツが悪そうに黙ってしまった。
「頭を冷やせ」ということなのだが、こうしたことは日常的によ

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医師と看護師の日常の一コマから「信頼関係」について考える

医師と看護師の日常の一コマから「信頼関係」について考える

とある冬の日の帰り道
横断歩道にて信号待ちをしていた時である。
ふと今来た道に目を向けると、ひとりの人が手を振る姿が見えた。私に手を振っているんだろうか?
周りを見渡してみたが、私しかいない。でも…誰??

「おーい、オレだよ、俺。やっと気付いたか。手を振ってもキョロキョロして、私知りませんみたいな振りして、可笑しかったな〜」
「オレだよオレ、なんて言われて、オレオレ詐欺かと思いましたよ!まさか先

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「表現する」ことは「カミングアウトする」こと

「表現する」ことは「カミングアウトする」こと

好きなことや思いついたこと、考えたことなどを記録しておく自由帳のように使ってみよう、と思ったのが、noteを始めたきっかけである。
また、自分の日常とは離れた場で自分を表現してみたかった、というのもある。
なので、詳しいプロフィールはあえて書かずに、発信し始めた。

看護師であることも名乗るつもりはなかった。
というのは、世間の看護師に対するよくあるイメージ、
いわゆる3K (もはや死語?今は9K

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「カルテを読む」ことから「文章を書く」ことについて考える

「カルテを読む」ことから「文章を書く」ことについて考える

時代はペーパーレスであらゆるものの電子化が進んでいる。病院も然りで、電子カルテが主流であるが、紙カルテも根強く存在する。

医師のみならず、看護師も看護記録を記載する。看護師の場合、記載にあたっては決まり事がいくつかある。まず書き方の型式や使ってもよい略語、正式名称で記載しなければならない用語、長々と書かないこと、簡潔明瞭に誰が読んでもわかるように書くこと、などなど事細かい決まり事がある。病院によ

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