四五千円

そうです

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記事一覧

テレビ、指向性、雑音

 つい最近のことである。 引っ越しをした。 約8年ほど住んだマンションの一室を出て山に近い一軒家に移った。 段ボール箱の量が凄まじかった。 元々住んでいた家の荷物…

四五千円
8か月前

攻殻機動隊と斎藤緑雨

 未だにこういう文章の文体に迷ってしまう。  口語のようにくだけた文体で書いていいのか、それとも丁寧な文体で書いた方がいいのか。いや、そんなことはどうでもいい。…

四五千円
9か月前

非行防止会社

 ある日、母と買い物に出かけた。上り坂の果てに建つ家のため、行きは長い坂を下るのである。道中三人の親子に出会う。どこかの小学校の制服を着た二人の娘とその母であっ…

四五千円
9か月前
4

僕と須尾君と「わかった!」

友人と飲み屋にて……  僕の通っていた小学校では変わった文化があってね。文化とは言っても大したものではないんだけど。それがね、学年のみんなで夏に映画を見るという…

四五千円
10か月前
3

アイマス最高

 前回書いたものから少し時間が経った。週一回のペースで更新しようと思っていたが、その思惑も早々に打ち破られてしまった。  この度は日記のようなものも書こうと思う…

四五千円
10か月前
4

少年よ、神話にはなっても伝説にはなるな

 「生ける伝説」という言葉がある。偉大な記録をうち当てたアスリートや大人気の作品を書いた小説家などとにかく非凡な才能を持つ存命の人を形容する際に用いられる言葉で…

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11か月前
1

少年のしりとり

扉が開き中から袋から米が流れ落ちるように人がホームへ降りていった。それが途絶えると今度は逆に中へと人が流れ込んでくる。  先頭は4人の親子だった。まず乗り込んでき…

四五千円
11か月前
1

テレビ、指向性、雑音

 つい最近のことである。

引っ越しをした。
約8年ほど住んだマンションの一室を出て山に近い一軒家に移った。

段ボール箱の量が凄まじかった。
元々住んでいた家の荷物に加え、母の仕事場に置いてあった道具類が新居に置かれることになったため、とりあえず箱を押し込んだ家の中は足の踏み場はもちろんないし1m79㎝の高さの視界も箱で塞がっていた。

引っ越し初日というのは本当に疲れる。ひたすら箱を開いて中の

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攻殻機動隊と斎藤緑雨

攻殻機動隊と斎藤緑雨

 未だにこういう文章の文体に迷ってしまう。
 口語のようにくだけた文体で書いていいのか、それとも丁寧な文体で書いた方がいいのか。いや、そんなことはどうでもいい。少なくとも今日の本題はそれではない。

 既に先週のことですが、10月15日東京Brillia HALLで行われたVR能の攻殻機動隊を観劇しました。
 ストーリーはオリジナルのものでしたね。時系列としては少佐がいなくなった後であり、押井守監

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非行防止会社

 ある日、母と買い物に出かけた。上り坂の果てに建つ家のため、行きは長い坂を下るのである。道中三人の親子に出会う。どこかの小学校の制服を着た二人の娘とその母であった。娘たちが下校してきたのでそのまま一緒に買い物に行くということは容易に想像できた。
 
 
 我々が同じ小さな階段を下っていると後ろから娘の一人の声が聞こえた。

「私ねえ、お母さんと一緒にお出かけできて幸せだよー。」

 普段いちゃつい

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僕と須尾君と「わかった!」

僕と須尾君と「わかった!」

友人と飲み屋にて……

 僕の通っていた小学校では変わった文化があってね。文化とは言っても大したものではないんだけど。それがね、学年のみんなで夏に映画を見るというものなんだ。そこまでだったら普通かもしれないけど、その映画のセレクトというのが変わったところなんだ。
 それが見る映画が毎回、金田一耕助シリーズなんだよ。いや、吉岡秀隆版じゃなくて。うん、古谷一行版でもなくて。渥美清でも、長谷川博己でも、

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アイマス最高

アイマス最高

 前回書いたものから少し時間が経った。週一回のペースで更新しようと思っていたが、その思惑も早々に打ち破られてしまった。
 この度は日記のようなものも書こうと思う。
こうなると本来であれば個人の机上の日記帳から逸脱する必要のない日記をわざわざネット上にさらす意味は何だという疑問が湧いてくるが、それはおそらく例え日記といえど創作と言えるような行為を一つでも行い、それを少ない人数でも他人の目に触れさせ

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少年よ、神話にはなっても伝説にはなるな

 「生ける伝説」という言葉がある。偉大な記録をうち当てたアスリートや大人気の作品を書いた小説家などとにかく非凡な才能を持つ存命の人を形容する際に用いられる言葉である。
 
 「生ける」という言葉がわざわざつけられているのは日常生活においても、もしくはフィクションの世界でも、「伝説」という言葉は主に既にその人物が亡くなっているということが前提にあるからである。私がパッと思いつく限りでは映画「I am

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少年のしりとり

扉が開き中から袋から米が流れ落ちるように人がホームへ降りていった。それが途絶えると今度は逆に中へと人が流れ込んでくる。
 先頭は4人の親子だった。まず乗り込んできたのは母親で、彼女はまだ歩けそうにもない赤子を抱え、さらにもはや荷物を載せる台車と化したベビーカーを押していた。それに続くのは父親で、彼の引くキャリーバッグには4歳ぐらいの息子がまたがっていた。
 彼らは乗降口の向かい側のドアに立った。キ

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