先輩転がし。
会社の後輩が可愛くて仕方ない。
おっちょこちょいではあるが、懐に入るのが上手い男。
よく怒られてるのを目にする。
でも、飲み会ではスポーツ、音楽、お笑いの話ができる。
男が好きなものばかりだ。
そりゃ好かれるわ。
かくいう僕もその一人。
彼がいると雰囲気が良くなる。
もう可愛くて可愛くて仕方ない。
可愛すぎて、下の名前で呼んでいるくらいだ。
なんていうかもう、洗ってあげたい。
先日、彼の仕事を手伝うことになった。
最初は少しだけの予定だったのだが、気づけばガッツリ手伝わされた。
割と遅い時間までやっていたと思う。
僕のちょっと不服な態度を察した彼は
「手伝っていただいたおかげで、今日は帰れそうッス!」なんて言ってきた。
それ言ってりゃいいと思ってんじゃねぇよ。なんて一瞬思ったが、
「しょーがねーなオイ!」と笑顔で返事をしていた。
不思議とイヤな気はしなかったのだ。
そう思わせるのも彼の魅力のなせる技。
あの発言が計算だったのか、本心だったのかは分からない。
でも、上手いこと言える精神が大事なのだ。
うまいなー!!
先輩ころがしがうまいよ!!
結果、終電ギリギリまで一緒に作業した。
まんまと乗せられたことになる。
仕事のできるできないなんて関係ない。
「しょうがねぇな」と思われる人間でいることが大事なのだ。
しかも彼は転がすだけではない。
後輩から見れば頼れる先輩なのだ。
弊社にインターン的なバイト君が来たときの話。
「先輩、彼に昨日やってもらった作業教えてあげてくれませんか?僕いま手が離せなくて」と言われた。
「ごめん、昨日のは急いでたから詳しく覚えてないのよ」なんて返す僕。
すると彼は、トーンを1つ落としてこう言った。
「先輩、確かに昨日のことはよく覚えていないかもしれない。でも、先輩が分からないって言ってしまったら彼はもっと分からないですよ」
そう。
正式に怒られたのである。
僕の両肩に手を置くようなトーンだった。
しっかりしてんなーーー!!!
転がすのが上手なうえに、後輩にとっては頼れる先輩ってか!
思わず笑ってしまった。
もう可愛くて仕方ないな。
今度、寿司でも奢ってあげよう。
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