好機を生かすには
人生には必ずチャンスが巡って来るものである。この巡り合ったチャンスを生かし切ることが大切である。ただし、行動を起こすに当っては、三つの「利」をしっかりと見定めて掛からないとせっかくの好機到来も水泡に帰することになるのである。その良い例が本能寺の変における明智光秀の失敗といえよう。光秀は「三つの利」が最高の状態ではなかったことを読み違えたのである。
三つの利とは、「天の利」・「地の利」・「人の利」である。天の利は確かに光秀にあった。信長は僅かな小姓たちを供として、無防備ともいえる寺を宿舎としていたのである。しかも主だった武将たちは遠隔の地に出陣していたのである。地の利もあった。信長の命令を受けての出陣の途中であったため、容易に本能寺へ達することができたのである。しかしながら、「人の利」という点において、光秀は判断を誤ったのである。信長を屠ったものの、天下取りに向けての行動には予定していたほど同調者が得られず、あっけなく秀吉に討たれるはめになったのである。
「場を迦さぬ所ばかりを仕覚えたり」という上杉謙信の言葉は、この三つの利が揃うタイミングを計り、時機到来と確信したときに行動に移れば勝利に結びつくということを数多く修羅場を掻い潜ってきた経験から語っているのである。
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