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ルソー『社会契約論』を読む

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過去に執筆した記事のうち、『社会契約論』の紹介をした記事がまとめてあります。
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2022年3月の記事一覧

ルソー『社会契約論』を読む(最終回)

ルソー『社会契約論』を読む(最終回)

 これまで、本編を14回、号外を2回と、計16回もの間にわたって『社会契約論』を読んできました。いよいよ今回が最終回です。さっそく内容を読みましょう。

本題に入る前に この「市民宗教について」と題された章は、事実上、『社会契約論』の最終章といって良い位置づけになっています。厳密に言えば、「結論」と題された章がこの次に続きますから、最終章ではないのですが、そうした形式的な意味ではなく、この章の内容

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ルソー『社会契約論』を読む(14)

ルソー『社会契約論』を読む(14)

 さて、今回からは第四篇。『社会契約論』もいよいよラストスパートです。さっそく読んでいきましょう。

一般意志は破壊できない ここで言われる意志、それは「一般意志」です。この点はもう大丈夫でしょう。ここまでルソーを読んできた人なら、わかるはずです。

 一般意志だけが支配する国家。そこでは、国家のあらゆる原動力は活気に満ちて単純で、国家の格率は明快であり、光り輝いています。そこに利害の対立や矛盾は

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ルソー『社会契約論』を読む(13)

ルソー『社会契約論』を読む(13)

 さて、今回で第三篇も終わりです。さっそく読んでいきます。

従来の社会契約説との違い 市民は、「すべての人がなすべきことを、すべての人が命令することができる」といいます。

ここで言われる権利とは、まさしく、主権者が政府を設立するにあたって統治者に与える権利のことであって、すなわち「執行権」です。
(執行権について詳しくはコチラ)

 しかし、この「執行権」をめぐって、ルソー以前の社会契約論者と

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ルソー『社会契約論』を読む(12)

ルソー『社会契約論』を読む(12)

 今回は、「主権を維持する」ということについて、解説をしていきます。第三篇第十二章以降の議論です。

人民集会 主権者は、立法権以外になんらの力も持ちません。法によってしか行動できないのです。また、法とは、一般意志の真正の行為以外の何ものでもありません。なので、主権者は、人民が集会したとき以外は主権者として行動しえません。この「人民集会」についての議論は、この『社会契約論』のなかでものすごく重要な

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