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23.派遣会社に登録して編集者になった

2つのバイトの掛け持ちで疲れ切った私は友人に勧められるまま派遣会社に登録しました。
すると、うまい具合にすぐに仕事がみつかったのです。
敬遠していたフルタイムの会社員のような働き方になりますが、背に腹は代えられません。


人材派遣とキャリア

この時点で留学から戻って10ヵ月ほどになります。
本当は1年に1回はイタリアへ行きたいとなんとなく思っていたもののそんな余裕は全くありませんでした。

そしてこの年の年初に「来年こそイタリアで働く!」と、またも無謀な自分計画を立てたのでガッツリ稼げる仕事をしてお金を貯めることにしたのです。
11月半ばまで3ヵ月ほどの契約で編集者として働くことになりました。

レストランや船着場で働いたあとです。
なじみの場所に戻ってきた感じがしてとても楽だったのを憶えています。
キャリアを生かさず、無謀な冒険をしたバカさ加減は自分でも驚きです。

この時点での私にできることは少なかったけれど、マスコミ業界に関しては広範にわたるキャリアがあったわけで、なぜ最初からそれを生かしてお金を稼ごうとしなかったのか。
そうするには、正社員になるしかないと思い込んでいましたが派遣という選択肢があったのです。

キャリアを切り売りできる派遣というシステムに、このあとイタリアへ移住するまで助けられることになります。

あこがれの編集の仕事

こうして高校生のころからあこがれていた職種に就けることになりました。
アラフォーになって20年越しの夢がかなったのです。
編集という仕事に強いこだわりがあって派遣登録したわけではありません。
私のキャリアを見た派遣会社のほうからのオファーでした。

ところで編集なのに派遣、しかも期間が決まっている、というのが不思議だなと思ったのですが、季節労働者のような出版カテゴリーというのがあるのをこの時まで私は知りませんでした。
それは、就職情報専門誌。
新卒で就職する学生に向けた情報だけに特化した媒体です。

良い人材を確保したい企業と就職したい学生とをつなぐメディアになります。
そのため就活シーズンに合わせての発行となり、通年で動く編集部にはならないのです。
ベースになる業務は正社員がさばき、発行時期に合わせて瞬間的に増える業務は派遣社員がやるというまさに理にかなったシステム。

私の仕事は、取材スケジュールを組み原稿を完成させ、それをページに落とし込み入稿データにするまででした。
いくつかの企業を担当しての同時進行の作業になります。

取材先の企業担当者と打ち合わせ、ライターやカメラマンを手配し取材に同行し、出来上がった原稿と写真のチェックをしつつクライアント確認を取り、印刷用とウェブサイト用のデータに落とし込みます。
全体的なコントロールをするという点で広告代理店時代の仕事と同じだったので働きやすかったです。

派遣社員って楽しい

私は担当したら相手を深掘りするタイプなので、この仕事を通してまた新しい世界を知ることができて楽しかったです。
しかも派遣なので、予算を気にしなくて良いし、時間外の接待も必要ありません。

同じ派遣仲間には、長期で休みが取れることを前提に自分のやりたいことをしている人たちが多くいました。
旅行がしたくて派遣でしか働きたくないという人もいれば、長期的に続く人間関係が苦手なので正社員としては働きたくない人とか。

派遣だとお昼時間もキッチリ取れるので、ランチをしながらそうした人たちとお喋りするのも楽しかったです。
正社員のときはランチを取れるだけマシ、昼抜きで夜中まで仕事、なんてことも多々ありましたから。

節約のためお弁当を持って行ってました。たぶんこれは冷やし中華
焼きおにぎり、フリッタータ、ピーマンのおかか和えにフルーツ

そして、週末や夜の時間には細々とながら料理教室も続けていました。
このルーティンは最高です。
収入は安定していて、決まった時間だけ働けば良くて、好きな料理教室もできる……何なら今からでもあの頃の生活に戻るのもアリかと思うぐらいです。

それなのに。
またしても私は安定を捨て、自分の好きなほうの道を突き進むことになります。
二股に出たところでそのまま続く平坦なアスファルトの道ではなく、山あり谷ありカーブありの砂利道を行くようなイメージです。
その先に何があるかも分からないのに。

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