【半導体関連】2023年度の世界半導体市場の統計の振り返りと2024年度の世界半導体市況の見通し
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本日のアナリストは、香港🇭🇰を拠点に活動している、ウィリアム・キーティング氏です。
自己紹介
キーティング氏は、半導体とテクノロジーのリサーチ&コンサルティング会社であるIngenuity (Hong Kong) Ltdの創立者兼CEO。
半導体業界において重要性の高いニッチなテーマを専門。
主に、インテル、AMD、サムスン、アップル、マイクロン等の企業や、ASML、AMAT、キヤノン、ニコンなどの主要機器サプライヤーの製品、ロードマップ、技術に焦点を当てたリサーチ、並びに、コンサルティング・サービスを提供。
Ingenuity設立前は、1992年から2014年までの20年以上に渡りインテル・コーポレーションに勤務。
当初はAIシステムのスペシャリストとして採用。
その後、同社の最先端の300mmファクトリー・ネットワークをグローバルにサポートするファクトリー・オートメーション・システムの責任者に就任。2000年には、インテル社内にITコンサルティング組織、「IT Flex Services」を設立。
500人規模のグローバル・チームに成長させ、現在もインテルのIT部門の中核を担っている。
2005年には、アジア太平洋地域、並びに、中国・日本地域担当のITディレクターに就任。これの地域のインテルの全てのオフィスと製造施設のITシステムの責任者を担当し、現在に至る。
最新のレポート紹介
【半導体関連】2023年度の世界半導体市場の統計の振り返りと2024年度の世界半導体市況の見通し
半導体 / 4019文字 / 所要時間8分程度
サマリー
半導体の売上高は8.3%減と予想の10%減を上回ったが、PCの出荷台数は予想以上に減少した。
PCとスマートフォン市場は、AI対応デバイスの台頭により、2024年には5%成長すると予測している。
サーバー出荷台数は2024年に10%増加すると予想し、AIアクセラレーションサーバーが成長を牽引すると見ている。
2023年度の世界の半導体市場に関して
23年第4四半期の決算シーズンもいよいよ終盤に差し掛かり、2023年度の主要指標予測を振り返る一方で、2024年度の予測を発表する時が来た。
まず、2023年度の振り返りから始めたい。
最近の記事で取り上げたものもあるので、2023年度の振り返りにはあまり時間を割かないことにする。
半導体(Semiconductor Sales)の売上高は、私の10%減の予想に対して8.3%減と、ほぼ予想通りの結果となった。
WFE(Wafer Fab Equipment / 半導体前工程製造装置)部門は、私の予想(あるいは他の誰の予想)よりもはるかに好調な着地となっており、これは主に、中国顧客による下半期の支出急増によるものである。
この予想外の押し上げが実現しなければ、20%減という予想はかなり正確だったと思う。
シリコンウェーハ出荷面積(Silicon Wafer Area Shipment)は、予想の10%減に対して14.3%減となった。
これは、昨年のメモリー(Memory)部門がいかにひどかったかを反映していると考え、私たちの予想では20%減だったが、36%減の着地となっている。
TSMC(TSM)等のファウンドリー(Foundry)は8.8%減と、予想の10%減をわずかに上回る着地であった。
PC出荷台数(PC Shipments)は前年比14.8%減と、予想の10%減に対してかなり悪化した。
しかし、スマートフォンの出荷台数(Smartphone Shipments)は予想の10%減に対し3.5%減と、上振れしている。
最後に、サーバーの出荷台数(Server Shipments)は前年同期比20%減と、予想の10%減に対してかなり悪い結果となっている。
注:この結果はOMDIAによる最近の投稿から引用している。
興味深い点は、少なくともIDCによれば、出荷台数の急激な減少にもかかわらず、2023年のサーバーの売上高は実際にはわずかに増加していることである。
注:上記のコメントは23年第3四半期に限定したものであるが、IDCの年間チャートは通年にも当てはまることを示している。
出荷台数が20%以上減少しているにもかかわらず、売上高が横ばいである理由については、汎用サーバーに比べて平均販売価格が20倍以上になる可能性のあるAIアクセラレーションサーバーの出荷台数が大きく伸びたという事実に答えがある。
2024年度の世界の半導体市場に関する見通し
では、2024年におけるこれらの主要指標に関する予測を発表し、今年の進捗についての考察を紹介したい。
また、AIを搭載したPCとスマートフォンのコンセプトと、それらが2024年の出荷台数をどのように混乱させるか(あるいは混乱させないか)についても考察する 。
まず、主要指標における2024年の私の予測を以下の通りである。
これらの指標のうち、最初の5つの指標については、以前のノートですでに予測結果をお伝えしているので、ここではそれらを読み飛ばして、PCとスマートフォンの出荷台数について説明したい。
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両指標とも、直感的にはゼロ成長を予想したいところである。
しかし、ここでは、AIに対応したPCとスマートフォンという新たな要素を考慮する必要がある。
PCの出荷台数
AIに対応したPCに関しては、私は以前から懐疑的であると宣言してきたが、いまだに理解できない。
一例として、私が持っている2020年発売のMac MiniにはアップルM1プロセッサーが搭載されている。
これには、いわゆる「AIタスク」を処理するための16個のプロセッシングコアを持つニューラルエンジンが内蔵されている。
このニューラルエンジンが実際に何をするのか私にはわからないし、それが何かをすることに特に気づいたこともない。
しかし、これは今や「AIに対応したPC」に分類されるだろう。
この見解に対抗するのは、インテル(INTC)、AMD(AMD)、そして彼らのPCエコシステム・パートナーによる、AIに対応したPCをモノにしようという決意である。
彼らの立場からすれば、これは理にかなっている。
PC市場は、パンデミック(世界的大流行)以前に成長率が横ばいになっていた。
パンデミックは2020年と2021年に市場に新たな息吹を与えたが、それは今や遠い記憶となった。
要するに、今後販売されるPCのほとんどが「AIに対応したPC」として販売されるようになるということだ。
その意味で、「AIに対応したPC」市場は絶対に存在し、急速に成長するだろう。
しかし、PC市場全体はどうだろうか?AIに対応したPCの結果、市場は成長するのだろうか?
最近のIDCのレポートによると、2024年の世界のPC出荷台数は前年比2%増になると予測している。
今年は2%の成長を見込んでいるだけでなく、2028年までの年平均成長率も2.4%と予測している。
しかし、私は、IDCは間違っていると見ている。
実際、PC出荷台数は今年2%以上増加する可能性があると私は考えているが、その成長は次の年にはなくなると考えている。
なぜか?
なぜなら、今年はインテルに代表されるPCエコシステムが、現在存在する一般的なAIマニアに後押しされ、「AIに対応したPC」の販売を促進するためにマーケティング、プロモーション、ディスカウントに多額の投資を行うからである。
しかし、AIに対応したPCに関連するキラーアプリやキラー機能がない限り、AIに対応PCへの熱意は冷め、PC出荷台数は年間ベースで横ばいから減少するという、より正常な軌道に戻ると見ている。
そのため、2024年のPC出荷台数は5%程度成長すると考えており、これが私の正式な予測である。
スマートフォンの出荷台数
スマートフォンの出荷台数に関しても、似たようなものである。
実は、AIに対応したスマートフォンの方が、PCよりも多くのユースケースが考えられる。
例えば、リアルタイムの言語翻訳が可能になり、異なる言語を話す2人の間でシームレスな対面会話が可能になるというのは、説得力のあるユースケースである。
アプリは、Google翻訳など、今日すでに存在している。
しかし、AIを加速させるハードウェアを追加使用することで、おそらく改善できるだろう。
最近のギャラクシーS24の発表で、サムスンはフラッグシップ携帯のAI対応機能に大きく傾注している。
そして、サムスン電子のTM Roh社長兼モバイルエクスペリエンス事業部長は下記の様に述べている。
そして、この最近のレポートは、S24がすでに昨年のS23をかなりの差で上回っていることを示唆している。
まだ始まったばかりではあるが、スマートフォンの販売台数は今年、PCの販売台数と同じように5%程度増加すると見ている。
サーバーの出荷台数
最後に、サーバー市場を見てみよう。
先ほど紹介したIDCのチャートによると、出荷台数は前年比10%弱の成長を見込んでいる。
ASPEEDの最新データを見ると、2月は前月比20%減という予想外の落ち込みがあったものの、1月と2月の売上高は前年同月比でかなり好調のようである。
2024年においても、AIアクセラレーション・サーバーの売上が汎用サーバーの売上を共食いすると予想されるが、その程度は昨年ほどではないだろう。
従って、私はサーバー出荷台数の成長率予想は10%に据え置くことにしたい。
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