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書評

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#書評

【読書】未必のマクベス

【読書】未必のマクベス

早瀬 耕

朝日新聞の書評での紹介があまりにもすばらしく、普段はこんな本買わないのだが(笑)←ハヤカワ文庫、思わず買ってしまいました。
一言で言うと、私はこのタイプはダメ。でも面白いことは面白い。究極の恋愛小説的に読めば感動するのかもしれない。

とにかく人が簡単に死にすぎるし殺しすぎる。その部分が全くリアリティが感じられないし共感もできず、なんか宇宙人が出てくるSFみたいな感じになってしまう。あ

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【読書】女帝 小池百合子

【読書】女帝 小池百合子

この本を読むまでは,ここまでとは思っていなかった。
しかし読みながら不思議と怒りとかは湧き上がってこずに,「哀れさ」のみ感じるようになった。
もちろん,その哀れな人に指揮を取られている東京都は悲惨である。
まあ自分たちで選んだのだから,それはそれで仕方ないし,甘んじて小池都政を満喫して欲しい(笑)

幼年時代から高校までは,半グレ的政治ゴロな親父に振り回される。
しかも彼女の目の下には,母斑があり

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【読書】寄り添うツイッター

【読書】寄り添うツイッター



実を言うと私は,ある企業でtwitterの中の人をしている。それ専属というわけではないが,俗にいう「アクティブサポート」に関しては,twitterが出来たのが2008年らしいので,多分2010年頃からやっている。(といっても10年か…)

個人のアカウントもちょぼちょぼやってはいたが,ある時あるネタで盛り上がってしまい,5万リツイートという素人では考えられない金字塔を立ち上げた事もある(笑)。

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【読書】苦海浄土 石牟礼 道子

【読書】苦海浄土 石牟礼 道子



私は大学時代は,水俣病を社会学的に研究してらっしゃる丸山定己教授の下で学んでいたので,身近に水俣病という言葉が飛び交っていた。
当然授業にも出てきたし,先生の手伝いで水俣病に関わっている色々な人たちとの出会いもあった。
それなので,当然一般の人よりも興味関心は持っていたし,詳しくもあったはずなのだが…。どうしてこの本を今頃読んでるのか…。
もっとあの時読んでいれば,勉強の力の入れ方も変わってい

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ブックチャレンジ

ブックチャレンジ

Facebookで流行っているブックチャレンジ,とりあえず7冊の本だけ紹介しておきます。

①奥田 英朗 延長戦に入りました
∟この人のセッセーは最高です。小説も最悪・邪魔・無理など面白いものばかり。でもイチオシはこの延長戦に入りました。日常のちょっとしたことを書いてあるエッセイ集なのですが,もう笑いっぱなしと言っていいほど笑います。こんな面白い事を書く人がね小説ではシリアス…というギャップもたま

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【読書】働くおっぱい

【読書】働くおっぱい

primeで無料の本を探していて、たまたま目について購読。
紗倉 まなとは、有名AV女優だそうだが、残念ながら私は見たことがない。
ただ高専に通っている最中にデビューしたということで騒がれたらしい。

で、この本なんだが、理屈抜きに面白いというかすごい本だった。
結局AV女優をこなしながら、雑誌ダヴィンチの毎月のコラムを書いていてそれをまとめた本なのだ。そもそもダヴィンチとか読んでる人は相当本好き

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【読書】還暦クラス会

還暦と言うんだからちょうど私の年のころの人たちの話。
重松が浮かんでくるようなほっこりした感じ。
田舎から東京に出てサラリーマンがんばり,ついにある程度の会社の社長に上り詰めた主人公。
順風満帆かとおもいきや,一人娘がサーフィンの最中に事故で頭を打ち,すべての記憶を失ってしまう。
記憶ばかりか感情の起伏もなくなり,寝たきりではないがただ食べて寝るだけの…。
何とかリハビリで記憶を取り戻そうとするの

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【読書】死の淵を見た男 〜吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日(1)

今公開されているFukushima50の原作本。
映画を見てすぐに読んだが、この本と映画はマジに日本国民全員が見て読んでほしい。あと義務教育のどこかで必須教材にしてほしい。

知覧からの特攻隊や人間魚雷で犠牲になった人たちに対して、「あなたたちのおかげで今があります。ありがとうございます」的な感想をよく聞くが、あれは「国家による殺人」「無駄死に」であり、アレがなくても(無謀な突撃をしなくても)戦争

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【読書】死の淵を見た男 〜吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日②

この本読んで、いろいろ整理できたことがある。
まず、今回の福島原発事故の原因は、「電源が失われた事」に尽きる。
「停める」「冷やす」「閉じ込める」が非常事態の原発の鉄則なわけだが、その「冷やす」が出来なくなるわけだ。電源がないと。ただ東電も馬鹿じゃないので、ちゃんと停電の際のバックアップの自家発電機能は備えてあるわけだが、その自家発電の装置のある場所が「想定外の津波」で水没してしまい使えなくなった

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【読書】死の淵を見た男 〜吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日③

菅さんと同じく,班目さんもいろいろ避難をされたが,これも致し方ない…と言わざるを得ない。というのは,ほとんど情報が上がってきていない中で,たまたま上がってきた情報だけを材料に判断するわけで,そりゃあ無理というモノ。

例を挙げると,班目さんは,津波で自家発電機能が失われた…という事を聞いていないのだ。だから現場では必死に何とかして冷やそうとしているのに,そんなことやる前にもっと重要なことがあるだろ

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【読書】エアー2.0

【読書】エアー2.0

工事現場に住み込んで日雇い的に暮らしている主人公。たまたま同僚のおっさんが馬券を買ったまま辞め、その際に「もし当たったら換金してくれ」と言われ、当てにしたなかったら5千万くらい当たってしまい(笑)、しかもそれが正式な窓口ではなく暴力団が仕切るノミ屋から買ってたため、命がけで引き換え、逃げたところでそのおっさんと再会。

そのおっさんはホテルのスイートで優雅に暮らしているのだが何故工事現場で働いてい

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