【読書】還暦クラス会

還暦と言うんだからちょうど私の年のころの人たちの話。
重松が浮かんでくるようなほっこりした感じ。
田舎から東京に出てサラリーマンがんばり,ついにある程度の会社の社長に上り詰めた主人公。
順風満帆かとおもいきや,一人娘がサーフィンの最中に事故で頭を打ち,すべての記憶を失ってしまう。
記憶ばかりか感情の起伏もなくなり,寝たきりではないがただ食べて寝るだけの…。
何とかリハビリで記憶を取り戻そうとするのだが,全く効果なし。

そんな時に,田舎の友人から同窓会やるから帰ってこいとの連絡。
今までは無視していたが,今回は還暦という区切りだし,お前の社長就任祝いもやるから,お前が来れる日に合わせると。
ここまで言われたら帰らざるをえなくなり,色々考える事はあったが当日を迎える。
その会には,昔好きだった女性も来るという事を聞いた。
その女性とはあるトラブルから縁遠くなってしまって卒業以来ずっと会ってはいないが,
気にはなっていたし,機会があれば謝りたいと考えていた。

会が始まり自己紹介の時,社長になった事よりも自分の娘の病気の事を話す。
会が終わり自宅に戻ったら,幹事から連絡が。実はその初恋の女性の息子が音楽をやっていて,それで過去の記憶を取り戻す治療的な事をやっていっぱい成功しているから,興味があるなら受けてみないかと…。
こんな感じで淡々と進み,最後は何も解決するわけではないが,前を向いて進もう…とスタートする話。主人公が今までは大事にしていなかった人間関係や地域との関係,縁,社会貢献などを大事にしなければ…と思い始める心の変化が心地良い。

還暦クラス会

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?