【読書】死の淵を見た男 〜吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日②

この本読んで、いろいろ整理できたことがある。
まず、今回の福島原発事故の原因は、「電源が失われた事」に尽きる。
「停める」「冷やす」「閉じ込める」が非常事態の原発の鉄則なわけだが、その「冷やす」が出来なくなるわけだ。電源がないと。ただ東電も馬鹿じゃないので、ちゃんと停電の際のバックアップの自家発電機能は備えてあるわけだが、その自家発電の装置のある場所が「想定外の津波」で水没してしまい使えなくなったのである。

その津波の規模に関しては、前々から国会などでも「危険性があるのではないのか」と追求された議事録が残っているらしいが、「まああり得ないだろう」という根拠のない自信から対処されていなかったのだ。

原発を扱うなら、想定外のことが起きました…では話にならない。しかも僅か9年前にその想定外(と言いつつ、完全なサボタージュ・手抜き)による地球的規模の災害を引き起こしているのだ。だったら何処まで推定すれば良いのだと反論する人がいるかもしれないが、その推定に対応できないなら原発は扱うべきではない。

今、再稼動を始めた原発も本当に何が起こっても大丈夫だという保証は全くないと思う。OK出した組織や個人は本当に何か起こった時に責任が持てるのだろうか。

あと原発事故の時の、菅総理の行動がよく非難される。
・菅さんのおかげでベントが遅れた
・菅さんが東電に怒鳴り込んで撤退したら東電は潰すとわめいた
などいろいろ言われているが、この本読むと、確かにそんなことはあったが、もっと大きな悪意がうごめいていたことがわかる。悪意というのとはちょっと違うかもしれないが、とにかく緊急非常事態で、情報も混乱し、その情報を流すルートもよく定められておらず、決定すべき人達に正しい情報が届いていなかったのが真実である。それに加えて、東電の若干の隠蔽はあったであろう。

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