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お酒

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#ほろ酔い文学

小説・2023年GW前半、京都への「旅?」

これは「旅」なのか? 2023年4月28日ふと窓の外を見て、乗っている新幹線が新横浜駅のホームから離れていくその刹那、男は「子供ばんど」の「WALKIN' AWAY」という曲を思い出した。
約30年前、まだ20歳代前半だった男は、ウォークマン(曲名にかけてみたが、この名称は正しくない。「ウォークマン」はソニーの製品名で、男は当時、もっと安価な、おもちゃみたいな「ポータブルカセットプレイヤー」を使っ

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君知るや名酒泡盛

君知るや名酒泡盛

2022年5月30日~6月3日に朝日新聞夕刊で短期連載された記事『泡盛に乾杯』の中に、「君知るや名酒泡盛」という言葉を見つけた。

記事によると、泡盛とは『タイ米を原料に、黒麹菌を使う独特の製法によって生まれる』酒で、現在『酒造所は本島と八つの離島に46カ所ある』という。
『かつて首里(那覇市)に集中していた酒造所は(第二次世界大戦による)沖縄戦で壊滅』し、泡盛を造る材料も無く、『米軍から配給され

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2022年5月27日~28日 酒。読書。観劇。それだけ

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2022年5月27日~28日にかけて……

2022年5月27日18:30 ブロードウェイミュージカル『RENT』 @シアターオーブ

2年間待ち望んだ公演である。
2020年は、『RENT』のJapan Tourだけでなく、シアタークリエでの日本人キャ

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2022年4月23日土曜日 酒。読書。観劇。それだけ

2022年4月23日土曜日 酒。読書。観劇。それだけ

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2022年4月23日……

10:15 映画『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』 @新宿武蔵野館上映期間延長に感謝。
前日の時点で私が最初のネット予約客だったので心配したが、とんだ杞憂で、この時間の上映にも関わらず、多くの観客が

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再びの『それからの大阪』

再びの『それからの大阪』

以前の拙稿『スズキナオ著『「それから」の大阪』片手に「まん防」解除後の大阪を歩く』で、行き付けだった心斎橋のおでん屋さんが(4月22日に)閉店すると知り、「閉店前にもう一度来ようと決めて、普段通りに店を出た」と書いた。
2022年4月中旬、最後のおでん屋に行くために、再び大阪へ向かった。

1日目 2022年4月16日 土曜日08:09 東京駅出発

朝から早速、ビールを飲む。一気に旅気分になる。

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スズキナオ著『「それから」の大阪』片手に「まん防」解除後の大阪を歩く

スズキナオ著『「それから」の大阪』片手に「まん防」解除後の大阪を歩く

スズキナオ著『「それから」の大阪』(集英社新書、2022年。以下、本書)は、東京から移住した著者がコロナ禍の大阪のあちこちを実際に訪れ、見た状況や感じた想いなどを綴ったものだ。

本書を読了して暫く経った2022年3月22日、ようやく全国的に「まん延防止等重点措置」(以下、「まん防」)が解除された。
以前から大阪に行く計画を立てていた私としては、正直ホッとした。

1日目 2022年3月25日10

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週末の夕方、「ハッピーアワー」のある飲み屋に入ってみた話

週末の夕方、「ハッピーアワー」のある飲み屋に入ってみた話

一人で飲み屋に入る週末の夕方、定時で仕事を終えた私は、ふらりと立ち寄った本屋の近くに「ハッピーアワー」の看板を見つけ、吸い寄せられるように居酒屋のドアを開けた。
さほど大きくはないお店。入り口手前がカウンター。奥にあるテーブル席から賑やかな声が聞こえてくる。ハッピーアワーだからか、若い人たちが多い。

8席あるL字のカウンターの端に、私と同じようなスーツの男性が一人。
反対側の端では、恋人どうしと

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8月の終わり、感傷に浸るビール

8月の終わり、感傷に浸るビール

毎年8月の終わりが近づくと、切なくなる。
社会人生活の方が圧倒的に長くなった今でも、「夏休みが終わってしまう」という子ども時代の感傷から逃れられないのである。

大人になってから「夏が去っていく」という感傷(というか言い訳)で思い立つのは、「ビールを飲みに行こう」ということである。
大人の、特に酒飲みの夏と言えば、やはり「ビールに枝豆」である。それ自体は一年中楽しめるのだが、その組み合わせが似合う

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