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舞台『ふくすけ2024 歌舞伎町黙示録』(ネタバレ?)

新宿・歌舞伎町にある全ての建物を見下ろせるビルに、本当にコズマ三姉妹が立つ日が来るとは! 『ふくすけ2024 歌舞伎町黙示録』(松尾スズキ作・演出。以下、今作、過去作を含む作品自体を本作と記す)の初演は1991年。以降、1998年、2012年に再演され、今作が四演目となる。 歌舞伎町で一番高い(2024年時点)ビルに併設された劇場で上演される今作、信じられないかもしれないが、「作品上の主役」がエスダ夫妻からコオロギ夫妻に変わっている他は、初演からストーリーの大枠はほとんど変

    • 「今、ここにいる自分」を肯定してくれる物語~映画『あとがき』~

      何故、始めてしまったのだろう。 何故、辞められないのだろう。 映画『あとがき』(玉木慧監督、2024年。以下、本作)の前半部分を観ながら、ずっと考えていた。 要するに、俳優、ミュージシャンを夢見る若者2人が出会い、共に夢を追いかけつつも上手くいかず岐路に立ち尽くしてしまったとき、それぞれがどんな選択をするか、という物語だ。 俳優・ミュージシャンとも「夢追い人の希望と挫折」的な物語の典型的な主人公ではあるが、本作の舞台となっている東京・下北沢はまさに演劇と音楽の街であり、リ

      • 日常と共にある読書~宮崎智之著『平熱のまま、この世界に熱狂したい』~

        宮崎智之著『平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版』(ちくま文庫、2024年。以下、本書)を読んで、「やっぱり、読書は日常と共にあるのだなぁ」と思った。 「人生」なんて大袈裟なものではなく、日常のほんの些細なことに対しても、「あの本のこの文章」を想起してしまう。 酒を飲むときだって、「酒に飲まれる」自身に言い訳するように文学者を引き合いに出す。 文学青年だった著者は、酒乱で知られる詩人・中原中也を自身に重ねる。 そして遂に著者は、アルコール依存症に陥り、それが遠因とな

        • いっぱい笑って、少し痛い~映画『お母さんが一緒』~

          CSのホームドラマチャンネル開局25周年記念として製作されたドラマが再編集され映画化された。松竹製作の「ホームドラマ」なのに、タイトルは『お母さんが一緒』(ペヤンヌマキ原作・脚本、橋口亮輔監督、2024年。以下、本作)。 ”と”ではない。ポスターもちゃんと”が”が赤字で強調されている。そして、メインタイトルにも拘わらず、「お母さん」は出てこない。 しかし、観終わればちゃんと、何故”が”なのか、その理由がわかる。 ”が”である理由は幾つもあるが、その一つを端的に言えば「『親孝

        舞台『ふくすけ2024 歌舞伎町黙示録』(ネタバレ?)

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          2025年東京サンシャインボーイズ 「30年の充電」から一時目覚める

          2024年7月11日付「ステージナタリー」配信記事によると、1994年に「30年の充電」に入った三谷幸喜氏率いる人気劇団「東京サンシャインボーイズ」が、30+1年後の2025年、限定再集結するとのこと(もちろん、2009年に限定特別集結した際に「新しい仲間」と紹介された吉田羊さんも出演)。 私は、2022年12月に上演された『ショウ・マスト・ゴー・オン』(三谷幸喜作・演出)の感想文にこう書いた。 本文で、「東京サンシャインボーイズ」に間に合わなかった、と書いたが、実は一度

          2025年東京サンシャインボーイズ 「30年の充電」から一時目覚める

          「プログラミング」とは?~ダニエル・ヒリス著『思考する機械 コンピュータ』~

          プログラミング教室。 これまでの、主に子どもやシニアだった対象者は、近年国が推し進める「リスキリング」によって、プログラミングに縁がなかった(或いは業務や日常生活で必要がなかった)社会人にまで広がっているようだ。 そういった教室に行ったことがないので、どういうことを教わっているのかわからないが、ただ指定のプログラミング言語で、例題に挙げられた動作ができるようなプログラムを作るだけでは、プログラミングについての理解は深まらないのではないか、と素人考えながら思ってしまう(だから

          「プログラミング」とは?~ダニエル・ヒリス著『思考する機械 コンピュータ』~

          2024年6月28日~7月7日 酒。読書。観劇。それだけ

          私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。 たとえば、2024年6月28日から7月7日にかけて…… 2024年6月28日ブレイディみかこ著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』(新潮文庫、20204年)読了。 18:30 紀伊國屋書店 間宮改衣著『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房、2024年)を購入。 19:00 ラッパ屋公演 舞台『七人の墓友』@紀伊國屋ホール

          2024年6月28日~7月7日 酒。読書。観劇。それだけ

          舞台『逃奔政走』

          2024年の東京都知事選。続投を目論む小池百合子現都知事が出馬表明する前に、蓮舫氏が出馬表明し、事実上、女性都知事の椅子を賭けて一騎打ちの状況を呈しヒートアップする東京のど真ん中、ここ三越劇場では、一人の女性が『"都知事"じゃありませんよ、"県知事"ですよ』と聴衆(観客)を軽く笑わせながら選挙演説をしていた。 女性の名は、小川すみれ(鈴木保奈美)。 舞台『逃奔政走』(冨坂友脚本・演出。以下、本作)の主人公だ。 本作は基本的にライトコメディーで、自責・他責によって次々降り掛か

          舞台『逃奔政走』

          ナイロン100℃公演 舞台『江戸時代の思い出』(ただのデタラメ)

          ナイロン100℃ 結成30周年記念公演 第二弾『江戸時代の思い出』(以下、本作)で、劇団の主宰者であり作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)がそう語る作品に、何か云おうという私自身に対して、ナンだかなぁと思う(それは単に私個人のことであることに留意)。 そもそも『江戸時代の思い出』というタイトルで、江戸時代の人が数百年後の21世紀を「思い出」として語るという設定の物語は、既に何かを語る/考える上での「前提」を決定的に欠いていて、だから本作について何かを書く

          ナイロン100℃公演 舞台『江戸時代の思い出』(ただのデタラメ)

          ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』(ただの感想)

          名作『ダブリンの鐘つきカビ人間』(後藤ひろひと脚本、ウォーリー木下脚色・演出。以下、今回上演版を今作、過去作を含めた作品全体を本作と記す)がミュージカル化されると聞いた時、跳び上がるほど嬉しかったが、反面、不安にもなった。 あの『イカ焼きポンポン』は、『ラブ・ミー・テンダー』は、そして何より『群馬水産高等学校校歌』は…… 「ヘンな人形」は、「妙な笛」は……そして何より「馬」は…… 本作、後藤ひろひと(大王)座長時代の遊気舎で1996年に初演されたものを、2002年「PARC

          ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』(ただの感想)

          わからなくていい~映画『渚のシンドバッド』~

          1995年公開時に映画『渚のシンドバッド』(橋口亮輔監督。以下、本作)を観たが、よくわからなかった。 それは、当時忌避されていた男同士の恋愛感情(当時の言葉で云えば「ホモ」)だとか、レイプだとか、田舎出の若い私には唯々センセーショナルで、頭と感情の整理がつかなかったのだろう。 約30年後、50代になって改めてスクリーンで観て、やっぱりわからなかった。 「やっぱり」わからなかったというのは、しかし当時と違っていて、「他人を恋愛的に好きになる」そのこと自体がわからなかったのだ。

          わからなくていい~映画『渚のシンドバッド』~

          映画『初めての女』

          久しぶりに静謐で叙情的な映画を観た気がする。 映画『初めての女』(小平哲兵監督、2024年。以下、本作)は、『芥川賞の選考委員を創設以来46年間務めた俳人・小説家である瀧井孝作が晩年に執筆した私小説「俳人仲間」(日本文学大賞受賞作品)の中でも、様々な人と出会い、青年の成長を描いた「初めての女」を映画化』したものである。 瀧井孝作の故郷である飛騨高山でオールロケされた本作は、全体的にモノトーンで陰翳のある画作りで、当時の近代日本文学が"発見"した「私小説」の魅力を余すところ

          映画『初めての女』

          埼玉は翔ばない~映画『そうして私たちはプールに金魚を、』、『蟹から生まれたピスコの恋』~

          2024年に『そうして私たちはプールに金魚を、』(長久允監督、2016年)を映画館で観られるとは! きっと「埼玉県民よ、目を覚ませ!」というメッセージに違いない。 『翔んで埼玉』(魔夜峰央原作、竹内英樹監督、2019年,2023年)が大ヒットし、埼玉を知らない日本国民どころか当の埼玉県民までが『翔べる』なんて勘違いしちゃってる今だからこそ、この映画が公開される意義がある。 『そうして私たちはプールに金魚を、』書いていて思い出した。 勘違いして調子にノッてしまったのは、埼玉県

          埼玉は翔ばない~映画『そうして私たちはプールに金魚を、』、『蟹から生まれたピスコの恋』~

          舞台『スジナシシアター・私の彼はすずが好き』(ただの感想)

          2024年6月30日に「なかのZERO 大ホール」で上演された『私の彼はすずが好き』という二人芝居。 出演は、笑福亭鶴瓶と広瀬アリスで、二人は作・演出も兼ねる……というか実はこれ、「台本なし、打ち合わせなし」の「完全即興ドラマ」である。 物語は「師匠にペースを握られるのが怖かった」という広瀬が終始攻めていき、押された師匠が受けに回る展開となる。 広瀬は、ガラケーを手に「マッチングアプリ」と口走ってしまった師匠に容赦なくツッコミ倒し、フラれた彼氏が好きな「清楚系芸能人」として

          舞台『スジナシシアター・私の彼はすずが好き』(ただの感想)

          今泉力哉監督作品オールナイト上映 @テアトル新宿(『退屈な日々にさようならを』『街の上で』『サッドティー』)を観て思った取り留めもないこと…(感想に非ず)

          2024年6月29日夜から明け方にかけて、テアトル新宿で今泉力哉監督の特集上映会が行われ、満員の観客の前で、映画『退屈な日々にさようならを』(2017年)、『街の上で』(2021年)、『サッドティー』(2013年)(上映順)が上映された。 各映画上映前には今泉監督自身の挨拶とサイン会が行われた。ただし、今泉監督は急用のため、午前4時半に映画館を出なければいけなくなり、舞台挨拶で予定されていた質疑応答を止め、サイン会に時間を割いていたのが今泉監督の人柄を表していた。 というこ

          今泉力哉監督作品オールナイト上映 @テアトル新宿(『退屈な日々にさようならを』『街の上で』『サッドティー』)を観て思った取り留めもないこと…(感想に非ず)

          ラッパ屋公演 舞台『七人の墓友』

          日本人にとって「お墓」とは何だろう? 本人は死んで「お骨」になっていて、(現代の科学至上主義の世の中においては)自身としての感覚も思考もないのに、その「お骨としての自分」が「眠る」場所を生きているうちから気にしてしまう。 ラッパ屋公演『七人の墓友』(鈴木聡作・演出。以下、本作)は、創立40周年を迎えた劇団と、共に年を重ねてきた観客にとって、身につまされる物語となった。 本作は2014年に俳優座に書き下ろしたもので、物語背景はコロナ禍を経験しておらず、また、東日本大震災当時

          ラッパ屋公演 舞台『七人の墓友』