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こちら合成害獣救助隊 6
承前「あんた、一体どこのだれ…」
答えを待たず、重サイバネ男はあたしの両脚を逆手で掴み直す。戦慄したあたしの視界はぐるりと周り、そのまま地面へ叩きつけられた。舞い上がる土と草。そしてすぐにまた振り上げられ、叩きつけられる。
振り上げる。叩きつける。振り上げる。叩きつける。振り上げる。叩きつける。あたしはただひたすらに頭を守り、歯を食いしばって衝撃に耐える。視界に入る限り、眼を見開き重サイバネ男
こちら合成害獣救助隊 ライナーノーツ
「こちら合成害獣救助隊」のセクション1は例の逆噴射小説大賞に応募した作品だ。ありがたい事に二次審査を通過している。今も逆噴射先生はまだ立っている256篇のパルプと正面から殴り合い、1vs1の決闘の形になるまで全員ブチ倒しているのだろう。願わくばうちの子達も一太刀浴びせてから倒れて欲しいと思う。
ここまで書いて来た逆噴射投稿作品の続編は、大なり小なり人や化け物や神話存在が死ぬ話だった。パルプの定義
強襲、阻止限界点。 1/5 #こちら合成害獣救助隊
晴れてゆく視界の先には、泥と草花で出来た高い天井が見えた。ここはどこだろう。
綺麗な花だ。草いきれが香る中で視線を少し動かせば、天井に立つ生き物が見えた。器用だな。
猿のような毛並みに逞しい体躯。上腕は翼で、頭はカマキリ。合成害獣(キメラ)だ。
ーーーキメラ?
瞬間、身体中に痛みが走り、あたしは一気に覚醒する。世界がぐるりと回り、自分が高い梢の上から真っ逆さまに落下中だと認識した。なに?あ
強襲、阻止限界点。 2/5 #こちら合成害獣救助隊
前回
落石だ。
俺は最初そう思った。
巨大な岩塊が転がり落ちてきたのだと。
だがそれは岩ではなく甲殻だった。カニとかエビとかの、アレだ。トゲのある甲殻に覆われた、恐ろしく巨大なクマだ。
奴の足元に目をやれば、重機のようなものがしがみついている。救助隊のパワーローダーだ。フォークリフトに手足をつけたようなシロモノだが、パワーは折り紙つきだ。あれが捕獲したキメラを運んでいくのを何度も見た。それが
強襲、阻止限界点。 3/5 #こちら合成害獣救助隊
前回
クマ型キメラに組み付いたあたしは回想する。今日のミッションについてだ。
そこまで危険なミッションじゃなかった。
通報を受けて出動したあたし達は、順調に救助作業を進めていた。あのカマキリ頭もそのうちの1頭。残す区画はあとひとつとなった時、チームの誰かが悲鳴をあげた。想定を超えた大型のキメラ、それがこのクマ型だ。狙われたのは防御兵装を持たない記録員。とっさにあたしが庇えたところまでは良かった
強襲、阻止限界点。4/5 #こちら合成害獣救助隊
【前回】
『取り直しだッ!』
ARGHHHHHHHH!!!!!!
甲殻クマ型キメラは猛然と突進してくる。瞬きひとつさせてもらえないまま、クマの顎門があたしを眼前に迫る。クマ本来の俊敏さは少しも損なわれていなかった。
あたしは目を離さない。
臆せば、死だ!退くもんか!
飛び散る唾液が空中で静止する。その牙が身体を貫く寸前であっても、あたしの身体はイメージ通り動いてくれた。顎門を裏拳でいなす
強襲、阻止限界点。5/5 #こちら合成害獣救助隊
【前回】
がっちりと装甲に喰らい付いたキメラの顎門。ヘルメット内が悲鳴で満たされる。牙の貫通こそ免れたけど、その衝撃がもたらす激痛だけで、あたしの思考は恐怖に塗りつぶされた。
かろうじて無事な右手を、めちゃくちゃにキメラの鼻にぶつける。キメラは意にも解さない。狩られる獲物のいじましい抵抗。ただそれだけなのだ。
圧が増す。
やだ。
因子解放。
だめ。
集中出来ない。
だめ。
やめて。
あぁ。