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創作物

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思いを込めた、思いつきでできた、小説や詩などが連なっています。
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#恋愛小説

恋愛システム

恋愛システム

朝の学校。涼しい風が吹いた快適な教室に、誰よりも早く入った。

誰もいないせいか、教室のすべての窓を開けると、吹き抜ける風が気持ちよかった。スカートがめくれても気にしなくていい。一応、中にスパッツを履いているので心配はないが、大胆にスカートがめくれているのは恥ずかしい。さらに言えば、大きく両手を広げていることも恥ずかしいことだ。しかし、こんな快適空間でこれをやらずにはいられない。

「おい、どうし

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ちょっと変な結婚式

ちょっと変な結婚式

「それでは、新婦の入場です!」

啓太の声でドアノブのついた扉が開き、私は啓太の元へゆっくりと歩いた。

「新婦の薫さん、すごくきれいですね。見れば見るほどうっとりしてしまう、そんな美貌を持ち合わせています」

啓太は扉のすぐ近くで私を迎え、会場を盛り上げるための言葉を連発している。自分の恋人に向かってそう言われるのはとても恥ずかしい。いや、この人が自分の旦那だと思うと、すごく嬉しくなった。

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隣のナナコさん(後編)

隣のナナコさん(後編)

ここで、一つ問題があることに気づいた。俺はナナコさんを、どう呼べばいいんだ? これまでにナナコさんの名前を、本人に向かって呼んだことがない俺が、どう呼ぶのが正解なんだ? ナナコ、ナナコさま、ナナちゃん、ナナコさん。君にいろんな呼び方があることは知っている。しかし、自分にちょうどいい加減の呼び方は知らない。

「ナナコ。ナナコ」

俺の後ろで声が聞こえた。一瞬、体が反射的に震えたが、俺に対して話しか

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隣のナナコさん(前編)

隣のナナコさん(前編)

今、俺の右には女神がいる。女神の名前は相川奈々子さん。同い年だが、さん付けしたくなる。黒板を見ようと思えば、ナナコさんの横顔を見たいという気持ちと葛藤し、少なくとも4秒間は、その美しさに目を奪われてしまう。白い肌をベースに均整のとれたつぶらな瞳と高い鼻、少し外国人チックでもありながら、日本的なおしとやかさも兼ね備えている。チラチラと見れば見るほど、緊張感が増してくる。誰にも邪魔されずにナナコさんと

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