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~将来家族との時間を大切にするために果樹農家という選択を大都会から長野県の田舎へ大学卒業後単身移住した23歳の挑戦~


草刈りをする乾さん


プロフィール
乾真緒 近畿大学国際学部卒業 
現在 長野県下伊那郡松川町地域おこし協力隊果樹研修生

みなさんは農業にはどのようなイメージを持っているだろうか。かつては,「きつい、汚い、稼げない」という3Kというイメージを農家は持たれていた。旅人である私は、旅先で様々な農家さんのもとで一緒に作業をし、とれたてのおいしい野菜や果物を食べ、家に泊めていただき、熟睡する日々をおくっていた。現場を見て思ったことは、農家さんカッコいい!!ということと、とても豊かな暮らしをしていることであった。よく食っぱくれのない仕事を選ぶようにと言われたことはないだろうか。農家こそ自分で食べ物を作っているからこそ食っぱくれはない職業だと私は思う。そこで、私は農的な暮らしへの憧れを抱き始めた中、友達に農業に興味のある知り合いがいると紹介してもらってある女性にであった。その方が、今回紹介する乾さんだ。大都市大阪で育った彼女が、大学を卒業してすぐに長野県下伊那郡松川町という地方へ地域おこし協力隊果樹研修生として移住し、果樹農家を目指すため日々奮闘している。そんな彼女になぜ農家を目指そうとしたのか農業の魅力についてインタビューし、みなさんにお届けする。


         ~農家には多様なスキルが必要!?~

SS(スピードスプレイヤー)

乾さんは、最初から農家に良いイメージがあったわけではなかったという。 彼女が農家へ抱いていたイメージが2つある。1つ目は、3Kのうち1Kの(稼げない)というイメージが強いということ。農業の平均所得(個人経営と法人経営を含む)は125万4000円(2021年農林水産省データより)という。しかし、農家さんを特集したYouTubeで、がっつり稼いでいる農家をみて、やり方によっては、稼げないわけではないと考えたようだ。たくさん稼がなくても必要な分だけ稼げる方法を模索することで稼げないという考えは撤廃できたという。2つ目は、農家はずっと同じ作業をしていているため飽きそうだというイメージである。たしかに一年間で見れば同じ作業をしていると思われるかもしれないが、季節ごとや日々行っていることは違うという。冬頃には剪定(枝を切ること)を、草が生い茂る時期は草刈を、果実がなり始める頃には収穫を、という季節ごとに行うことが全然違うという。実際に果樹研修生1年目を終え、彼女の感じたことは次のようになる。

乾ー
果樹農家という職業はとても面白いよ。果樹は1年に一回しか実ができない、でも、季節ごとに色々な作業ができし、色々な職業になれる。例えば剪定の時は自然の散髪屋、剪定の仕方を録音するときは解説者、収穫物を選別するときはサイズごとに落ちてくるものを大きさごとに入れる箱を変えるからサッカーのキーパーの練習、草刈り機(モア)は重機にのるからマリオカート、販売をするときは好きなものを売るショップ店員、 りんごの木の病気を治療するときに木を彫るからこれは彫刻家、治療しているということはドクターになっているのよ(笑) 

   ~暮らしをベースとする働き方を~

  松川町の景色

では、どうして都会育ちの彼女が農家を目指すようになったのだろうか。そこには、彼女の理想とする人生プランの中でバリバリ仕事をするいわゆるOLというイメージがなかったこと、農業には様々な働き方があることを知ったことであったという。その背景には、子供の頃に家族との時間をもっとほしいと感じていたことや、学生時代のアルバイト先で出会った主婦の方々との対話の中にあった。

乾ー
将来を考え、子供ができたとしたときに子供といる時間や子供に何か会った時にすぐに駆け付けられるようにしたいと思っていた。そうなったときに暮らしをベースにして働きたいと考え、その時に浮かんだのが主婦と選択と農という選択だった。
あとは、農家にはゴールがない。例えば役職的な面では、会社の中で務めていたらゴールが社長や課長になることかもしれない。定年退職の年齢もある程度決まっているが、農家は年齢的なゴールがほかの職業よりも長い。知り合いの研修生では60歳の人もいるからね。そして、働き方も経営方法も多種多様で、会社経営、個人経営、家族経営、少量多品種栽培や米一本で勝負する人もいるからそこも面白いところだねー。

一見農業は長時間労働で休みがないように思えるかもしれないが、そんなわけではない。作業自体はほとんど太陽が昇り、沈む手前まで。夏場は、暑すぎる日中は作業をせず、夕方ごろからする。太陽が沈む前には作業を終えているため、自分の時間や家族との時間を大切にしやすい職業なのかもしれない。個人経営であれば自分で休暇も調整できる。そのため、子供に何かあったときもすぐに駆け付けやすい。農業を目指すきっかけは色々あるようだが、やはり暮らしが大切だと彼女はいう。

今回の彼女のインタビューで、みなさんは農業という職業にどんなイメージを抱いたのだろうか。現在果樹研修制度の3年間のうち、1年目を終えた彼女。2年目は、次は自分の栽培したい分野の果樹に特化して個人農家で研修をしていくようだ。食に興味があり、暮らしをベースに働いてみたいと方の選択肢の一つとして農業という職業を生き方の選択肢に入れてみても面白いと私は考える。単身で移住し果樹農家を目指す彼女を、今後も密着し、取材していこうと思う。

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