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【退職エントリ】新卒で入社したコンサルティングファームを退職し、シンガポールでパーソナルトレーナーになることにしました。

タイトルの通り、3年勤めたコンサルティングファームを退職し、2019年秋からシンガポールでパーソナルトレーナーをしています。
経緯としては、「転職しよう」というのが先にきて、転職活動を始めた頃に偶然パーソナルトレーナーの求人を見つけ、応募したらご縁があったのでお世話になることにしました。

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最初に言っておくと、新卒でコンサルティングファームに入ったことは正解だったと今でも思っています。
基本的なビジネス思考や多少のシステム知識、大企業で働くという経験と経歴を身につけられたことは大きいです。
給料も大学の同期の間では一番もらえていたと思います。コンサルティング業界トップには劣っていましたが、スキルや業務内容に対してはもらいすぎなのではないかと思うこともありました。

【新卒でコンサルティングファームを選んだ理由】

そもそもコンサルティングファームに入った理由は、やりたいことが特になかったからでした。
就活の際に自分の無知を思い知り、
「いろいろな世界に触れる中でそのうちやりたいことができたら転職しよう、いろいろな業界に関われそうだし転職にもプラスになるだろうからコンサルでも受けてみよう」
という感じでした。

念のため断っておくと、前職が嫌になって辞めた訳ではありません。
人も含めて全く嫌いではないですし、あの組織で上手いこと生き場所を見つけられるのであればそれに越したことはないと思っています。

新しいPJにアサインされる際は今までの経験から判断されることが多く、
自身に“海外PJができる奴”や“いつも面白い事業に関わってる奴”等のブランドがつけば、同じ系統のPJをどんどん任せられ、雪だるま式に自分の得意分野で勝負できるのも魅力でした。

【転職に至った理由】

転職に至った理由は主に6点あります。

前職や自分の働き方に対するネガティブな面が3点
現職や自分の人生に対するポジティブな面が3点です。

ネガティブ面
・大量採用によるソルジャー化
・コンサルティングビジネスの限界
・日本人の働き方に不安を覚えたから
ポジティブ面
・「楽しいこと」に人生の時間を使いたかった
・「何者」かになりたかった
・得意なこと/好きなこと/必要とされること

以下、詳細をお話していきます。

 ネガティブ面①大量採用によるソルジャー化


コンサルティング業界は、景気に業績を大きく左右されるビジネスモデルの一つです。特に、近年は世界的に景気がよく、平均株価は空前絶後の勢いで上昇を続けています。日本もその煽りを受けており、その影響でコンサルティングファームの業績は軒並み伸びています

伸びているのに何故辞めるのかと思われるかもしれないですが、これにはきちんとした理由があります。
コンサルティング業界の今の流れから将来を予測すると、

景気がいい
→大企業の業績が上がる
→大企業は内部留保金を増やすより、効率化に投資するようになる
→コンサルティングファームの受注が増える
→コンサルの人員が足りなくなる
→大量採用(イマココ!)
→コンサルタントのコモディティ化、人材の質が下がる
→景気の落ち着きも相まって、コンサルティングファームの需要が落ちる

という流れになると踏んでいます。
「風が吹けば桶屋が儲かる」のような理屈ですが、市場原理や平均回帰を用いて考えてもこの流れは避けられず、近い将来に厳しい状況に身を置かれると直感的に感じました。

事実、2016年に新卒入社した同期は100名台中盤でしたが(今残っているのは100名弱だと思われます)、2020年新卒入社は300名を予定しているといいます。
中途採用も積極的に行っています。金融やSIerからのいわゆる「ソルジャー枠」が中心で、連結従業員数は右肩上がりに増えていきました。

コンサルといっても、実際やってることはSIerに近かったりするんですよね。
このご時世、ITなしでのイノベーションやソリューションは非常に難しいといえます。
収益性の観点からも、必然的にシステム案件が大半を占めてきます。
世間では高級派遣と揶揄されることもあるようです。

新卒とソルジャー枠が現場でゴリゴリ頑張り、そのしんどい競争から抜け出した一握りの人間がマネージャーになるという構図ですね。
そのマネージャーも、急に増える人員と日々の業務、日進月歩で変わり続けるビジネスの世界に挟まれてかなり忙しそうです。

しんどいことを乗り切った先にもしんどいことしかない、20年後30年後の自分がこの業界で仕事をしているビジョンが見えなくなっていました。

もちろん本当に優秀な人間であれば、どこの会社だろうと景気がどうであろうと重宝されるが、マクロで見ると人材のコモディティ化は避けられないでしょう。

このあたりのことは入社二年目あたりから考えていましたし、このエントリは内定が出た7月から書き溜めていたものだったのですが、最近日経でもそんな感じの記事が出ていました(謎のマウンティング)。


 ネガティブ面②コンサルティングビジネスの限界


前職はかなり風通しの良い会社でした。
普段の業務であるプロジェクトの枠を超えて若手がチームを組み、新規ビジネスの創出や社内交流活動の企画、資格取得の推進活動などを行なうことができます。
しかも、その活動で残業代を申請することもできるのです。人材が唯一の資源とはいえ、ここまで若手の育成を手厚く支援してくれるのは本当にありがたかったです。

私もその活動には積極的に参加している若手の一人でした。活動自体は楽しかったのだが、新規ビジネス創出活動をしているときに、大きな壁にブチ当たりました。

大企業やベンチャー企業に新規ビジネスを提案しても、コンサルティングファームが入りこむ余地がないのです。
もっと言えば、他社に提案をしたとしても、我々がフィーをいただくほどの付加価値を作れませんでした。
仮に受注が通ったとしても、コンサルティングフィーという無駄な出費(つまり、自分たち)を削ることが一番やるべきコンサルティングになってしまいます。

とあるベンチャー企業に訪問したときの話です。
新規ビジネスの提案で、ベンチャー企業の社長にプレゼンする機会がありました。しかし、我々が業後や休日にリサーチし関係各所と打ち合わせをして必死で考えたアイデアを、彼らは当然のごとく水面下で進めていました。

「実現可能性はどれくらいありますか?予算はいくらで、何年で回収できますか?」

瞬殺でした。日々プロジェクトの駒として働いていて、モノを売ったことのない我々には全く答えることができない質問です。
ちょっと考えてみればわかることですが、「様々なリスクを取って起業し、一日十数時間をかけてコミットしている人たち」に、余暇時間でちょろっと考えたアイデアが勝てる訳がないのです。
何がコンサルタントだ。完全なる驕り。自分がただの雇われサラリーマンだということを痛いほど思い知らされた瞬間でした。


 ネガティブ面③日本人の働き方に不安を覚えたから

これは蛇足ですが、日本の一般的な働き方に疑問を覚えたという面もあります。
スーツ文化、満員電車、年々上がる社会保険料、遅刻にはやたら厳しいくせに平気で残業させるなど、考えてみても非効率なことばかりです。
20年後には、「昔の人たちってわざわざスーツを着て電車に乗って会社に行ってたらしいぜww」なんて言われているかもしれない。
常識なんて、刹那的なものに過ぎません。

意識が高いと思われるかもしれない。でも、自分自身もこれを読んでいるあなたも、その日本人の一人なのです。
周りを見ていても、文句を言う人に限って、外のことを知らないし行動もしない。外から見たら、何もしないのは賛同しているのと同じ。そうはなりたくありませんでした。
だからこそ、外の世界を知ってみたくなったのです。

前職は、いわゆる老害や窓際族などはほとんどいませんでした。
部長クラスでも若手と建設的なコミュニケーションを取り、「自分たちからはフレッシュなアイデアなんて出ないので若い君たちがどんどん声を上げてくれ」という態度でした。これを社外の人に話すと非常に羨ましがられます。
しかし現場レベルになると、クライアントの実益よりもPJの契約や長年の付き合いが大事だったり、会社のメソッドに沿って分割された作業を行いそれを管理職がマネジメントするなど、なんだかんだ日本企業なのだと思わされることも少なくありませんでした。

私が最も長く関わったのは銀行のPJでしたが、
そもそも自分たちの仕事が
Excelで様々な成果物を作り、それを印刷し、資料名を記入して印鑑を押し、外協に手渡しする(それは別フロアの銀行の部署に持っていかれる)
という業務でした。

まずその業務フロー改善からコンサルしろよ、というのが最初の感想でしたが、PJの管轄外ということでそこはタブー化されていました。
基幹システムから印刷した資料に書き込みをし、それをPDF化してExcelに貼り付けて送ってくるみたいなことも日常茶飯事でした。今思い出しても頭がクラクラしてきます。

昨今は銀行の経営層の意識も変わり、RPAによる自動化や不要な業務の削減など、業務改革が盛んに行われています。
しかし現場レベルになると、日々の業務に追われていてなかなか腰が動かない。
部長や課長クラスは、今までの方法で成功して今の地位におり、業務を改革することは過去の自分を否定することになるので簡単には動けないのだろうということも頭では理解できます。

頭では理解できるが、コンサルティングって何だっけ?そもそも自分のやりたいことってこれだっけ?と思わざるを得ないことが度々ありました。
そんなこともあって、一旦業界の外から俯瞰してみること、そしていずれは組織に依存せずに働ける道を探したいと思うようになったのです。


 ポジティブ面①「楽しいこと」に人生の時間を使いたかった

コンサルティングの仕事はやりがいもあったし給料も悪くなかったですが、「毎日サイコーに楽しいか?」と聞かれたら答えはノーでした。
一日の労働時間を8時間としても、週に40時間、月に160時間、年に2,000時間、一生に80,000時間。
「つらい仕事を耐えるからこそ余暇が輝くんだ」というタイプの方もいると思いますが、どちらかというと私は違いました。
できれば、仕事の時間すらも「楽しい」と感じることで人生を過ごしたい。

昔からスポーツに関わる仕事がしたいという想いがありました。
小学生の頃、誰もが将来の夢を書かされたと思います。周りの友達が「プロ野球選手」や「日本一野球が上手い先生」になりたいと書く中、私は「野球に関わる仕事」がしたいと書いていました。

そもそも「プロ野球選手になることは難しいので野球に関わる仕事がしたい」もだいぶませた子供ですね、、、
その頃から、「周りと違うことがしたい」と考えるのが私の癖だったようです。

しかしなぜ最初からスポーツ業界を目指さなかったのか。
「プロ野球選手になることは難しいので野球に関わる仕事がしたい」が、いつの間にか「スポーツ業界は給料が低いから普通の仕事に就こう」になっていました。
オトナになると失敗がこわくなる。

ちなみに前職はスポーツ系のコンサルティングもいくつかやっていて、そういったPJを志望していたのですが、収益性がそこまでない割に志望者が多く、なかなか茨の道でした。

27歳という年齢を考えると、最後のチャンスかもしれないと思ったのも事実です。
普通に3年くらいサラリーマン生活を送っていて、仕事に対してなんとなく物足りない感があった中で、フィットネスという世界に賭けてみようと思ったのです。

友人からは「好きなことを仕事にするってなかなかできないしすごい」と言われますが、自分ではまだあまり実感がないので、目の前のことを精一杯やろうと思います。

そこらへんにあるただのジムなら応募しなかったでしょう。新しい土地で、新しい仕事をするにはタイミングと勢いが大事なのだと思わされました。

 ポジティブ面②「何者」かになりたかった

前述のベンチャー企業での経験はかなり衝撃的で、自分が「何者」でもないことを再認識させられました。
自分の得意なことに没頭し、自分の武器を見つける。一刻も早くそういう仕事に取りかからなければ、いつの間にか何もできないおじさんになってしまう。そんな危機感が芽生えていました。

コンサルティング業界のトップオブトップ人材はビジネス界でも屈指の優秀さを誇ることは間違いない。書店にはコンサル出身者の著書が並び、転職市場ではマルチなスキルを持ち知見が深いとして重宝されます。
確かに社内で求められるドキュメンテーションやロジカルシンキングのレベルはそれなりに高いものでした。

しかしあくまでコンサルティングファーム出身の人材は「コンサルティングサービスの経験がある人材」です。
その人はコンサルティングサービスに秀でているかもしれませんが、「営業経験のある人材」や「システム導入経験のある人材」とベクトルが違うだけだと思います。

「コンサルが圧倒的成長をする」というのは、
「優秀な人材が厳しい現場で昼夜問わず圧倒的に働く」からこそ得られる結果であって、
「要領の良い人間がホワイトな環境でそこそこ働く」のでは
「そこそこコンサルティングサービスがわかっているビジネスマン」にしかならないのです。

ここで何の実績もない私が「これからの時代は個人のスキルが~」などと語っても説得力の欠片もないでしょう。
ですが、私は一人の人間として、「何者」かになりたかった。毎日心から楽しいと思えることをして、夢を追いかけたかった。

「誰でもできることを、誰にもできないくらい続ける」というのも「誰にでもできないこと」だと思います。これは私の好きな言葉でもあります。

フィットネスに関しては、努力が苦じゃないんですよね。

筋トレも、食事制限も、専門用語の勉強も、それを人に教えることも。
「筋トレに行くのがつらい」「鶏むね肉は食べたくない」「難しいことを勉強したくない」という人が多い中で、これがあまり苦じゃないというのは一つの才能なんじゃないかと思うことがありました。
そしたらそれを活かす道があるのではないか、という気持ちになってきたのです。

 ポジティブ面③得意なこと/好きなこと/必要とされること

転職にあたって、いろいろな人の文章を読みました
書籍を読んだときもあったし、いわゆるインフルエンサーの文章や、一時期流行った退職エントリを読んだこともありました。

(いっぱい貼っちゃいましたが全部バチクソに面白いので是非。)
↑掲載終了。こちらで書籍化済

その中で私が感じたのが、
得意なこと/好きなこと/必要とされること
を分けて考えることの大切さでした。

頭を使うことは苦じゃなかったし、プレゼンや資料作りは「得意」でしたが、コンサルティングの仕事は「好き」ではなかった。
その仕事が世間から「必要」とされていることは感じたが、必ずしも僕がやる「必要」はあまり感じられませんでした。

3年経って得たものは、仕事の進め方やドキュメーションなど”How”の部分であって、それらを磨くのは3年経ったら頭打ちのような感覚がありました。
現場のプレイヤーとして「この業界のこのお客さんにこのソリューションを提案するときには~等」の”What”を7~10年ほど積み重ねてから、管理職になって改めてマネジメントやネゴシエーション等の”How”が活きるのだとしたら、その道は私には果てしなく遠く見えました。

なので、自分の「得意」なことが「好き」な分野で「必要」とされないだろうかと考えたのです。
そうすると、フィットネス業界「ビジネス的な観点」「ロジック」という私の「得意」が入り込む余地があるのではないかと思えてきました。

実際、そのあたりを評価していただき採用に至ったのだと理解していますし、ボスからは「パーソナルジムという形に囚われないサービスを一緒に考えていこう」というお話をいただきました。

【終わりに】

今後のことですが、考えていません

「就職したい企業ランキング」なんて10年前は銀行がトップ、20年前はメーカーがトップでしたけど10年後どうなってるかわからないですからね。
来年のことを言うと鬼が笑うどころか、10年後20年後なんてマーク・ザッカーバーグでも孫正義でもわからないわけです。

なので、
目の前にある楽しそうなことをやる!
というのが今の自分が出した結論です。

10年後には1億総筋トレ社会になっているかもしれませんし(ならない)。

幸いいろんなことに挑戦したい人たちが集まっている職場なので、早くトレーナーとして一流になって、フィットネスを軸にいろんなことをやっていこうと思います(曖昧)。

皆さん、シンガポールに来る際は声かけてくださいね。



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