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星月渉「ヴンダーカンマー」読書感想文
この物語は、読者の平和ボケした脳みそに、日常の中の非日常が、これでもかこれでもかと、あらゆる角度から「ガーン」という衝撃を、ぶち込まれて行きます。安心して下さい!予定調和ゼロです!
読み出しは、ちょっとダークな青春群像劇なのかと思いきや、いきなり異空間に投げ出される感覚の繰り返しです。これでもかこれでもかと、人間の多面性がリアルに表現されています。
読者は、終わりのないジェットコースターに乗っ
さすがに誰にもオススメできない ― 星月渉『ヴンダーカンマー』
なんとなく読み始めたら、ひさびさに「私はとても楽しく読んだし大好きだけど、さすがに誰にもオススメできないな!!!」という小説で、止まらなくなって一気読みした。
まったく予想がつかない展開!ではなく、地方都市を題材にしたイヤミス・ホラーを嗜む人間には「うわぁ……コレ絶対こういうことじゃん……」と予想可能なエグい展開が、次から次へと積み重なっていく厭さ。そこへ更に、予想が追いつかないエグさと感情が追
『ヴンダーカンマー』の着想の源になった「つやま自然のふしぎ館」について
『ヴンダーカンマー』の着想の源になったのは「つやま自然のふしぎ館」です。私としては『津山科学教育博物館』の名前の方がなじみ深いです。2004年に名称を変更したようなので、それは自分で納得しました。その頃はもう津山にいなかったので。私たちは小学校でも中学校でも高校でも恐らく全部で三回以上この現「つやま自然のふしぎ館」に訪れました。小学生の私は「赤ちゃんが瓶に詰まっている」あの部屋は怖い。という
『ヴンダーカンマー』が発売されました。
14年前、夫の仕事の都合で東京から姫路に引っ越した私は孤独でした。現在中学三年生の娘はまだ〇歳で、育児の合間に自分の既読のマンガや小説を読んでいました。娘がすくすくと育って、三年保育のこども園に入ると私は完全に時間を持て余していました。もう自分が持っているものは読みつくしていました。
そのころはいわゆるケータイ小説がテレビで話題になり始めていました。要するに大ヒット作が出て、話題になっていた