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きのう、なに読んだ?

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日々読んだ本や長文記事などの、読んだ部分について紹介と感想をメモします。
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日本語と英語、日本社会とアメリカ社会 | 『不機嫌な英語たち』(吉原真里)イベント | きのう、なに読んだ?

日本語と英語、日本社会とアメリカ社会 | 『不機嫌な英語たち』(吉原真里)イベント | きのう、なに読んだ?

旧友の吉原真里さんの著書『不機嫌な英語たち』刊行記念イベントのモデレーターをつとめました。めちゃめちゃ刺激的で面白かった!せっかくなので印象に残ったところを簡単にメモしておきます。

吉原さんはハワイ大学教授で専門はアメリカ研究、日本エッセイストクラブ賞を受賞した『親愛なるレニー』の著者です。学生時代からの旧友でして、今回のモデレーター役も大喜びでお引き受けしました。

『不機嫌な英語たち』は、日

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「良い形で本に出会えれば、人は読む」という暗黙の前提(Beloved by Toni Morrison) | きのう、なに読んだ?

「良い形で本に出会えれば、人は読む」という暗黙の前提(Beloved by Toni Morrison) | きのう、なに読んだ?

トニ・モリスンの代表作 Beloved を読んだ。

内容紹介を日本語版のAmazonページより引用させていただく。

元奴隷のセサとその娘は幽霊屋敷に暮らしていた。長年怒れる霊に蹂躙されてきたが、セサはそれが彼女の死んだ赤ん坊の復讐と信じ耐え続けた。やがて、旧知の仲間が幽霊を追い払い、屋敷に平穏が訪れるかに思えた。しかし、謎の若い女「ビラヴド」の到来が、再び母娘を狂気の日々に追い込む。死んだ赤ん

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レナード・バーンスタインと家族ぐるみで付き合った無名の日本人 | きのう、なに読んだ?

レナード・バーンスタインと家族ぐるみで付き合った無名の日本人 | きのう、なに読んだ?

読み終えた瞬間、スタンディング・オーベーションしちゃった本。家族がいて、拍手はちょっと小さくなっちゃったけど。これです。

本書の主題は、レナード・バーンスタイン。音楽を、人を、人生を全力で愛した、20世紀を代表する音楽家。残した膨大な資料は、米国議会図書館に寄贈された。そこにあるのは、例えば、妻フェリシアからの手紙がフォルダー3つぶん。バースタインから妻への手紙もフォルダー3つぶん。著者は、資料

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アメリカの高校生は授業で「文学」をたくさん読まされる(Beloved) | きのう、なに読んだ?

アメリカの高校生は授業で「文学」をたくさん読まされる(Beloved) | きのう、なに読んだ?

2019年8月5日、トニ・モリスンが亡くなった。1993年にノーベル文学賞を受賞した、アメリカの作家だ。黒人を主人公にした作品が多い。

トニ・モリスンは、小説のほかにもエッセイや詩も書き、人種問題、人権問題について積極的に発信してきた。その発言は知性と良心とあたたかさにあふれ、「ならぬことは、ならぬものです」という強さも感じさせた。たとえば、こちら。

In this country Ameri

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日系アメリカ人俳優、ジョージ・タケイの強制収容体験(They Called Us Enemy) | きのう、なに読んだ?

日系アメリカ人俳優、ジョージ・タケイの強制収容体験(They Called Us Enemy) | きのう、なに読んだ?

アメリカのマンガ「They Called Us Enemy」を読んだ。ジョージ・タケイが太平洋戦争中に経験した、日系アメリカ人強制収容のことを中心にした回顧録だ。

著者のジョージ・タケイは、日系アメリカ人の俳優だ。私の世代の人なら、テレビシリーズ「スタートレック」のスールーだと言えば分かるだろうか。宇宙船エンタープライズ号のパイロットだ。ウィキペディアには、日本語吹替版では役名は「カトー」になっ

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学び続けることについて(Ex Libris/ニューヨーク公共図書館) | きのう、なに読んだ?

学び続けることについて(Ex Libris/ニューヨーク公共図書館) | きのう、なに読んだ?

「ニューヨーク公共図書館」を見た。先に上映していた岩波ホールは混んでいたので諦め、その後上映が決まった渋谷アップリンクで。

誰にとっても、生涯学び続けることは素敵だ。必要でもある。本を読むことだけが学びではない。絵や図案から学ぶ。音楽の生演奏と解説をきいて学ぶ。お年寄りのダンス教室も、学びだ。もちろん、小学生の補習も。学びの場は、地元に溶け込んで日常の一部になっているのが望ましい。ネット上の情報

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