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アイデアにカタをつける_小説家の「片づけ帖」#22

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■島田荘司先生による「丘の上」の続編を執筆中

12月27日に突然、長編小説「湖面にたゆたう」の連載を始めたので、通知を見て驚いた方もいらっしゃるかもしれません。

今までは「小説家の『片づけ帖』」スタンダードプランの特典として「本の間の文」というマガジンに読み切りの短・掌編小説をアップしていました。今後しばらくはこの枠を、長編「湖面にたゆたう」を書き下ろすスペースとして使わせてください。

とはいえ、まだ書きたい掌編のアイデアが6つほどあるので、時々また掌編を公開させていただくこともあろうかと思います。

そもそも「湖面にたゆたう」は、2021年の5月頃にSNSで配信された音声ドラマ「丘の上」(作:島田荘司『網走発遥かなり』 刊:講談社)に、ソウルメイトである役者の早瀬マミちゃんが出演したことでご縁をいただきました。

3日連続で行われた生配信を聴衆として聞いていたところ、ひょんなことから感想を求められ、思いの限りを話しているうちに、気づけば「丘の上」の続編を書かせていただくこととなりました。

確か、こんな感想を話しました。
「思考の停止した大人というのはこんなにも愚かであるのかと、内臓が腐るような思いでした」とか、

「友子が突発的に誘拐に走ったのは、鬱屈した人生の突破口だった感じました。だって、この人が自分の意志で何か行動したのって、これが初めてですよね」とか

「これって結局は何も解決してませんよね? 場所を変えただけ。また同じことを繰り返す気がします」
「小説は終わっても、彼らの人生は続いていきます。”夢だった”と片づけられた里美少年の今後の人生を思うと、そちらの方が怖いです」とか。

同年8月頃にはプロットも完成し、プロローグまで書き上げていたのですが、そこでピタリと筆が止まっていました。

理由は単純。数日間の連休が終わって忙しい日々に戻ったことと、すでに書き上げていた、別の長編小説の手直しに時間を使っていたら、あっという間に1年以上がたっていたのです。

その間、また別の長編を思いついて書き始めたり、今年(2022年)の8月にはこのメンバーシップを思いついてローンチしたり、短・掌編小説をこつこつ書き溜めたりと、毎日何かしら書いてはいながらも、頭の中の少なくないスペースに鎮座しているこの小説に、なかなか手が届きませんでした。

今になってみると、すでに頭の中で完成しているイメージを、1度忘れるために必要な時間だったのだと思います。

*島田先生にはご承諾いただき済み。現時点ではあくまで私的なプロジェクトとなります。

■アイデアを片っ端から形にする

私にとり、部屋の片づけは心の整理整頓につながります。
同時に思考の整理整頓にもなります。

8月以来こつこつ短・掌編小説を書いてきたことは、まるで頭の周辺をひゆひゆ泳いでいる金魚やら色彩豊かな熱帯魚やらを、パッと捕まえて光に変えることでした。

具体的に言うと、浮かんだまま放置しているいくつものアイデアを片っ端から形にして行く作業です。

そんな中、12月26日の夜「今月の掌編は何を書こうかな」と思いながら眠りにつくと、ふと「湖面にたゆたう」に思い当たったのです。

部屋で例えるなら、なんとなく意識してはいながらも、すっかり周辺の家具に溶け込んで見過ごしていた。そして「いつか片づけよう(書こう)」と思ったままになっていた大事なもの。

朝になるとベッドを飛び起きて、すぐ島田先生にご連絡をしました。

「まだ1章しか書けていない」こと、「完成までの間、私のnoteメンバーシップの特典として、連載形式で公開」し、「毎回一部を無料公開。本日から2回分、さっそく公開」させていただきたいこと--。

先生はご多忙でありながら、この唐突な連絡を快諾してくださいました。

そこで、その日のうちに原稿を微調整し、noteをはじめとするSNSに第1回(#1)を公開したのです。
原稿以外には何の準備もしていなかったので、みなさんへのご報告が遅れてしまいました(掲示板にだけ現在進行形でちょこちょこ書いていました)。

現在、3回(#3)まで公開中です。1回は全文無料公開しています。2回(#2)以降は一部無料公開となりますが、是非ご覧いただけますとうれしいです。

実は、プロローグを書き上げていたので、ストックとして2か月分くらいは持つかな、と目論んで余裕に構えていました。しかし、第1回を全部無料公開してみると「高い月額料金を払ってくださっている方にフェアな状態にしなければ」と気づき、合計3回分を公開したところストックが切れてしまいました。やはり、今後もお尻に火を灯しながらこつこつ書き進めるしかないようです。

2023年も引き続き、身の回りを片づけながら、頭の中に溢れてはそのままになっている映像にもカタを付けていきますね。
どうぞ、お付き合い頂けましたら幸いです。

(メンシプ限定公開は、下に続きます)

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