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心身の新陳代謝_小説家の「片づけ帖」#21

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■脳の新陳代謝

今週も、まる1日昏々こんこんと眠り、目覚めたら寝具を丸ごと取り換えてサブサブ洗濯する、というルーティンで始まりました。
以前「#12 ロングスリーパーの脱皮」で書いた通り、その様子はまさに「脱皮」のようです。

「1分でも長く眠っていたい」と言いながら、毎日したいことが山ほどある私は、気づけばエネルギーをスカスカに使い切るまで走り続けてしまう性格のようです。

エネルギーが枯渇すると、まるで刈り取られたかのように、ほぼ記憶がないまま眠り続けます。目覚めると生き返ったかのように意識がまっさら。心身ともに明るいエネルギーに満ち溢れています。
長時間にわたるので心底「時間がもったいない」と思うのですが、このリカバリーの波には逆らわないようにしています。

ストレスやダメージを受けて「落ち込んで寝込んでしまう」とか「泣き寝入り」をする、といった状態ではなく、そんなふうに精神状態が乱れるよりもだいぶ先に、スイッチが切れるのです。

睡眠はまるで、川底のとろのよう。
そこで液体とも固形ともいえない状態で細胞をひとつひとつ洗っていく。
そんなふうに寝ている間に、脳内が整理されているのでしょう、目覚めたときに思いつくことがあったり、夢の中で経験した物語をそのまま小説にすることも珍しくありません。そして、刈り取られる前の現実は、すっかり遠い過去になっているのです。

要らないものはぜんぶ布団が吸い取ってくれて、シンプルに必要なものだけを持って、川底から浮上したような気分です。
私にとり本当に必要なものって、そんなに多くはないのです。

■モノの新陳代謝

我が家では毎年5月と9月の連休に「祭り!」と称して大掃除をするので、年末は日常の掃除程度で済んでいます。
とはいえ、もともと片づけ大好きな人間なので、世の「大掃除」ムードに感化され、使わないモノを目にすると、普段よりも気軽に手放しています。

今週は、今まで着ていた白いTシャツを、同じブランドの同じモデルで10枚新調し、クローゼットの手前にセット。今年着ていた分は、来年の自宅用インナーとして、1列後ろに下げました。今年、自宅用として着ていた分は感謝をこめて、ごっそり手放しました。

ここで適当なサイズに切りそろえてウエスにする人もいるのでしょうが、私にその手法は合いませんでした。
結局は服の束が何週間も放置されるだけで、さらに切り揃えたところでウエスを使う機会などさほどないのです。現在は、水洗して何度か使うことができる使い捨ての紙ウエスを使っています。管理のしやすさからいって、私の暮らしにはこの製品が最適解だと思っています。

私の場合、背伸びして執着しているうちは、モノが部屋の中を移動するだけですが、決心して手放せば、この瞬間にスッキリ片づく。しみじみそう思ったのは数年前、3か月ちかくも放置していたショッパー入りの手作り布ウエスを丸ごと捨てた瞬間でした。

こんなふうに、我が家ではクローゼットの中が一列ずつ新陳代謝を繰り返していきます。

■青森ヒバと、その精油

使っていないモノがあれば一度、日常生活に組み込めるよう工夫してみて、それでも使わなければ思い切りよく手放すことにしています。

たとえば、我が家には「青森ヒバ」という香りの高い樹木のチップを詰めた手のひらサイズの袋がいくつもあって、クローゼットの引き出しや靴棚の中に置いてあります。これとは別に、掃除用に使っている青森ヒバの精油も持っていて、オイルは残りちょっぴりになってきました。

チップは香りがだいぶ弱まって、鼻を近づけてようやくほのかに香る程度。そこで、靴棚に入れていた袋は全て捨てて、クローゼット用の袋を移動。その際、精油を全部チップに垂らしてみました。三が日が明けたら、靴棚のほうの袋も捨てようと思います。

青森ヒバの精油は、拭き掃除の際、環境に配慮した万能粉せっけんを溶かしたバケツの中に数滴たらしていました。これで部屋を隅々まで拭き終えると、ヒバのいい香りが広がって、どこかちょっといい旅館に泊まりに来ているような気分を味わうことができました。これはとても清々しいので、今後また購入することでしょう。

■小説家の片づけ

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