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考え方

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自分にとって、好き嫌い、支持不支持、善悪などの評価如何にかかわらず、考えさせられた、新たな視点を学んだ、考えるに値する重要さがあったと感じた記事を記録しておく場所です。この記事リ…
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#政治

論文紹介 現代の安全保障環境で最も警戒すべきは既成事実化の戦略である

論文紹介 現代の安全保障環境で最も警戒すべきは既成事実化の戦略である

2014年2月、ロシアはウクライナ南部のクリミア半島に部隊を送り込み、これを支配下に置いた上で、一方的に併合することを宣言しました。クリミア半島がウクライナの領土の一部であることを認識した上で、それが事実上、ロシアの支配下にあるという既成事実を作り出し、それを根拠に自国の勢力を拡大する戦略は既成事実化戦略と呼ばれていますが、最近まで十分に検討されていませんでした。

ダン・アルトマン(Dan Al

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メモ 「東洋的専制政治」とは何か、なぜ地理と関連するのか?

メモ 「東洋的専制政治」とは何か、なぜ地理と関連するのか?

東洋的専制政治(oriental despotism)とは、ヨーロッパの政治学史で古くから使われてきた政治体制の類型であり、被支配者の恐怖心、暗黙の同意、そして奴隷的な無権利状態に依拠する「東洋的」な政治体制を指して使われます。この類型を使って地理が国家形成に与える影響を論じた研究として、カール・ウィットフォーゲルの主著『オリエンタル・デスポティズム(Oriental despotism)』(19

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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(4)

共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(4)

中国は、昔から「科挙」で選抜された受験エリートが皇帝直属の官僚となり、広大な領土を直轄統治してきたのです。「科挙」に受かったエリートたちは、自らの知力と正当性に圧倒的な自信をもっていました。日本の世襲の役人による地方自治的な封建主義とはそこが違うのです。日本ではそのことによって多様な地方文化が花開きましたが、中央集権の直轄統治を可能にしてきた「科挙」(その実態は腐敗していたかどうかは、余り重要では

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