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貿易- HANA

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輸出管理、為替、国際物流に関して書いた記事をこちらにまとめています。貿易に絞ってご覧になりたい方はご活用ください。
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三菱電機ロジスティクス買収、電機メーカーの物流子会社はM&Aで狩りつくされる

三菱電機ロジスティクス買収、電機メーカーの物流子会社はM&Aで狩りつくされる

2024年6月18日、三菱電機ロジスティクスの買収が報道されました。
買収者はセイノーHDです。

https://www.seino.co.jp/seino/media/pdf-lib/20240618-01.pdf

少し前にセンコーHDに買収されるデマが流れていましたが、セ違いかよ!とツッコミたくなりました。
あながち間違いでは無かったようです。

572億円で買収された同社ですが、売上高、

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NVIDIA、対中国半導体輸出規制により中国AI半導体市場への参入困難に

NVIDIA、対中国半導体輸出規制により中国AI半導体市場への参入困難に

AI関連の米国株、物凄い勢いで上がっています。
先日、NVIDIAは株式分割で買いやすくなりました。
私もブームに乗り、NVIDIAの株を少しだけ保有しています。

今回は、安全保障輸出管理の視点からNVIDIAについて調べました。
恥ずかしながら、個別株を買う前に把握できていませんでした。

米国の対中国半導体関連の輸出規制強化米国の対中国半導体、スパコン関係の規制強化が行われている事はご存じで

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ブラック企業で輸出管理が崩壊していた話 教育編

ブラック企業で輸出管理が崩壊していた話 教育編

以前書いた話の番外編です。

会議招集ある日、役員から輸出管理に関する会議に出るよう呼び出されました。

何故担当ではない私がと聞くも、詳しい事は会議でと濁されます。

当時、輸出管理をフォローしていた同僚は鬱病で失踪。
輸出管理に詳しかったという前任者も既に退職していました。
そこで、貿易実務を知っている私が呼び出されたようです。

貿易実務と輸出管理は、範囲が全然違います。
聞かれても答えられ

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STC Legal Expert(2024年)受験結果と学習フロー

STC Legal Expert(2024年)受験結果と学習フロー

準Legal Expertで合格でした。無念。

法令編の学習方法は大体掴めたので、再挑戦は貨物・技術編も含めたExpertで受験しようと思っていますが、暫く時間を置く事にします。

あと数点加点するのに何が必要だったのか。
再挑戦に備え、分析をしました。

また、Legal Expert初学者の方は、何から手を付けたら良いか困っていると思います。
私の学習フローを赤裸々に書きました。
試行錯誤の

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取引先との該非確認、マナー違反をしていませんか

取引先との該非確認、マナー違反をしていませんか

他社製品を輸出する時、製造元の該非判定結果を取り寄せます。
その時、マナー違反をしていませんか?

実はCISTECのホームページに控え目にガイダンスが載っています。
あまりに控え目なので知らない人も多いのではと思い、内容を抜粋して見ていきます。

https://www.cistec.or.jp/service/gaihitool/index.html

依頼は時間の余裕をもって行うこと これは

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STC Advanced(第19回)受験記録と勉強法

STC Advanced(第19回)受験記録と勉強法


2024年1月24日、STC Advanced認定試験を受験しました。
22/25点で無事合格し、3月に合格証が届きました。
マイナー試験という事で、他のメジャー試験よりネットに情報が少ないです。私が行った勉強法を共有します。
今後受験される方の役に立てばと思います。

使用教材CISTEC(一般財団法人 安全保障貿易情報センター)公式テキスト・問題集

STC Advanced過去問 (CIS

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「みなし輸出管理の明確化」における民間企業の負担増加への愚痴

「みなし輸出管理の明確化」における民間企業の負担増加への愚痴


みなし輸出管理の明確化とは「みなし輸出管理の明確化」とは、2022年5月1日法改正により導入された技術管理の強化のことです。

これまでは非居住者への技術提供が役務許可申請の対象となっていましたが、本改正により、下記の特定類型とされる居住者に対しても、役務許可申請が必要となりました。

<特定類型>
①外国政府や外国法人等との間で雇用契約等の契約を締結し、当該外国政府や外国法人等の指揮命令に服す

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為替概況を報告しろと言われて困っている方へ見てほしい

為替概況を報告しろと言われて困っている方へ見てほしい

ピンポイントな方への情報共有です。

以前、商社で為替予約及び為替管理を担当していました。当時は日々、商材の仕入れ、販売に伴う為替予約をバンバン入れていました。
今回は当時参考にした、為替概況の情報源のお話です。

日本総研 為替相場展望結論を後伸ばしにするブログは嫌いなので、先に言います。独断と偏見ですが、ここのレポートが一番分かりやすいです。

月一回、前月の為替相場概況のレポートが掲載されま

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アメリカが海外企業の制裁に本気を出すらしい

アメリカが海外企業の制裁に本気を出すらしい

前回の記事で触れた「コンプライアンスノート」の米国財務省OFACの章の話です。

この資料に掲載された刑事罰の事例ですが、海外企業が容赦なく制裁を食らっているのが衝撃でした。

原文は長いので抜粋しています。

財務省OFACの制裁方法OFAC規定に違反すると、取引が制限されたり、アメリカにある資産が凍結されたりします。

対象者日本人でも、アメリカ人に違反をさせるような事をしたらアウトです。

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輸出管理システム化のニーズはあるはず

輸出管理システム化のニーズはあるはず

聞いてください。当社の輸出管理部門、未だにエクセル台帳で管理しているんです。

入社当初、台帳をみてマジかと思いました。

令和の時代にシステム化されていないのはいかがなものだろうか、ということで安全保障輸出管理のシステムについて調べました。

【悲報】輸出管理システム、選択肢が全然ない
輸出管理のシステムを調べた結果、3社しか見つかりませんでした。

私は以前在籍していた会社で、貿易実務システム

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該非判定における「対象外」「非該当」の違い

該非判定における「対象外」「非該当」の違い

該非判定を初めて学んだ際、この違いが分かりませんでした。

該非判定の区分該当

輸出令別表第1及び2の規制対象品目であり、かつ令で定める仕様に該当するもの。

非該当

輸出令別表第1及び2の規制対象品目であるが、省令定める仕様に該当しないもの。

対象外

輸出令別表第1及び2の規制対象品目がなく、規制の対象とならないもの。

例 輸出令別表1-7項(1) 集積回路集積回路を該非判定する場合、

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【銀行業務検定 外国為替3級】金融マンではない私が勉強して役に立った事

【銀行業務検定 外国為替3級】金融マンではない私が勉強して役に立った事

商社に勤めていた時に取得しました。
その時の勉強方法、役に立った事をお伝えします。

勉強期間勉強期間はおよそ2ヶ月です。

当時残業が100時間程あり、平日は寝る前に30分テキストを読むくらいしか出来ず。
休日は残業の疲れから、試験1ヶ月前までは無勉、残り1ヶ月になって1-2時間やるペースでした。

まとまった時間が取れる人は、1ヶ月でも可能だと思います。

金融マンのブログで2週間で一発合格!

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ブラック企業で輸出管理が崩壊していた話

ブラック企業で輸出管理が崩壊していた話

営業からの書類ある日、営業から仲介貿易の輸出審査書類の提出がありました。

添付書類を見ると、少し前の日付の輸出用インボイス、そしてAWBがセットで提出されていました。
輸出審査なのに、なぜAWBがついているのか。

出荷状況について営業に確認します。
すると既に得意先へ納品済みとの事。

社内審査を行わず、仲介貿易取引が行われていたのです。

事後対応となった社内審査書類審査を大至急行います。

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通常兵器キャッチオール規制の強化に経産省が動き出している件

通常兵器キャッチオール規制の強化に経産省が動き出している件

現在、安全保障貿易管理小委員会で日本の輸出管理について、様々な見直しが行われています。
その中の一つ、通常兵器キャッチオール規制の見直しに注目しました。

現在の通常兵器キャッチオール規制大量破壊兵器を除いた通常兵器キャッチオール規制は、仕向地に応じて以下のように許可申請の要件が定められています。

①輸出令別表第3の2の地域(国連武器禁輸国)向けの場合

規制要件
・インフォーム要件
・客観要

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