![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141157524/rectangle_large_type_2_3836b7736ebc7eb4efb1a03a14cdd212.png?width=1200)
アメリカが海外企業の制裁に本気を出すらしい
前回の記事で触れた「コンプライアンスノート」の米国財務省OFACの章の話です。
この資料に掲載された刑事罰の事例ですが、海外企業が容赦なく制裁を食らっているのが衝撃でした。
原文は長いので抜粋しています。
財務省OFACの制裁方法
・特定の個人の財産凍結
・特定地域の取引の制限
・貿易禁止や特定の経済セクターに関連する制裁
・特定の国全体に対する取引禁止等
財産凍結とは、米国の管轄下にある資産や他の財産を凍結することを指し、その財産に関するあらゆる種類の移転や取引を一律に禁止する。
OFAC規定に違反すると、取引が制限されたり、アメリカにある資産が凍結されたりします。
対象者
〇米国人
米国人はOFACの規制を遵守しなければならず、米国市民と永住権を持つ外国人は彼らがどこにいても、米国内の全ての人物、米国に法人を設立している事業体とその海外支店は全て規制を遵守しなければなりません。
〇非米国人
非米国人もOFACの一部の禁止事項に従う必要があります。例えば、非米国人は、米国人に故意にまたは無意識に米国の制裁を違反させることや、米国の制裁を回避する行為をすることが禁止されています。
日本人でも、アメリカ人に違反をさせるような事をしたらアウトです。
刑事罰の対象行為
• 取引文書において、制裁対象者や管轄区域の関与を隠蔽または省略し、米国人が金融取引に関与する事。
• 米国人を誤導して、最終的に制裁対象の管轄区域に商品を輸出させる事。
• 禁止された取引を米国または米国の金融システムを通し、その結果、米国の金融機関がOFACの制裁に違反して支払いを処理する事。
ここで注目したいのは2つ目で、金融取引だけでなく「輸出」に関しても刑事罰の対象となっている事です。
OFACにはイラン制裁に関する許可権限があることから、輸出管理にも関わってきています。
刑事罰の事例
①2022年4月、Toll Holdings Limited(「Toll」)
事業:オーストラリアに本社を置く国際的な貨物輸送および物流会社
罰金:$6,131,855
違反内容:
北朝鮮、イラン、シリアにおける米国の資産凍結者との取引。
②2021年7月、Alfa Laval Middle East Ltd.(「AL Middle East」)
事業:UAEからのタンククリーニングユニットの輸出
罰金:$415,695
違反内容:
最終目的地がイランである事を隠蔽。
米国製品を調達し、イランへ商品を輸出しようとした。
③2023年6月、Swedbank Latvia AS(「Swedbank Latvia」)
事業:スウェーデンに本社を置く国際金融機関の子会社
罰金:$3,430,900
違反内容:
Swedbank Latviaのイーバンキングプラットフォームを使用し、米国の対応銀行を通じて制裁対象地域に位置する人々に支払いを実施。
①は国際物流企業で、金融取引に関して制裁されています。
②がイラン輸出に関する制裁事例です。
事例はまとめられた資料が少ないので、参考になります。
①③の金融取引の罰金に比べ、②イラン輸出の罰金は一桁少ないですね。
感想
タイトルの通り、海外企業へ警告する意図を込めて、コンプライアンスノートが作られたのだと思います。
日本は友好国ですが、OFAC規則に違反すれば制裁が課されるはずです。
輸出、金融取引において、取引先が米国制裁リストに載っていないか要注意です。
私は輸出管理部門なので、輸出取引は審査することができますが、当社の金融取引はどこで審査されているのでしょうか。
気になったのでGW明けに聞いてみるとします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?