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三菱電機ロジスティクス買収、電機メーカーの物流子会社はM&Aで狩りつくされる

2024年6月18日、三菱電機ロジスティクスの買収が報道されました。
買収者はセイノーHDです。

https://www.seino.co.jp/seino/media/pdf-lib/20240618-01.pdf

少し前にセンコーHDに買収されるデマが流れていましたが、セ違いかよ!とツッコミたくなりました。
あながち間違いでは無かったようです。

商号 三菱電機ロジスティクス株式会社
設立 昭和33年7月1日
資本金 17億3,500万円
売上高 1,366億円(2022年度実績)
社員数 998名(2024年3月31日現在)
当社グループ総社員数
(当社社員含む) 2,811名(2024年3月31日現在)

https://www.mdlogis.co.jp/company/outline/index.html

572億円で買収された同社ですが、売上高、社員数を見ると物流子会社としてはかなりの規模です。
記事タイトルの件ですが、他の電機メーカー子会社はどのようになっているのか調べました。

他の電機メーカー

以下の電機メーカーを見ていきます。

日立
パナソニック
ソニー
東 芝
NEC
三菱電機
三洋電機
富士電機
富士通
コニカミノルタ

旧物流子会社

日立物流 (ロジスティード)
パナソニックロジスティクス
ソニーサプライチェーンソリューション
東芝ロジスティクス
NECロジスティクス
三菱電機ロジスティクス
三洋電機ロジスティクス
富士物流
富士通ロジスティクス
コニカミノルタ物流

電機メーカーといえばセットで物流子会社を持っています。
この中では日立物流が上場子会社で、売上高は頭一つ抜けていました。
ただし、今回の三菱電機ロジスティクス買収により、ここに掲げた物流子会社は全て買収等された事になるのです。

買収動向

①日立物流 (ロジスティード)
・2022年 米投資ファンドKKRが買収
・現社名:ロジスティード

②パナソニックロジスティクス
・2014年 日本通運が買収
・現社名:NX・NPロジスティクス

③ソニーサプライチェーンソリューション
・2015年 三井倉庫が買収
・現社名:三井倉庫サプライチェーンソリューション

④東芝ロジスティクス
・2020年 SBSホールディングスが買収
・現社名:SBS東芝ロジスティクス

⑤NECロジスティクス
・2013年 日本通運が買収
・現社名:日通NECロジスティクス

⑥三菱電機ロジスティクス
・2024年 セイノーHDが買収
・社名がどうなるかは不明(西濃〇〇になりそう)

⑦三洋電機ロジスティクス
・2012年 三井倉庫が買収
・現社名:三井倉庫ロジスティクス

⑧富士物流
・2010年 三菱倉庫が買収
・社名はそのまま

⑨富士通ロジスティクス
・2005年 エクセルジャパン(現DHLサプライチェーン)が買収
・現社名:DHLサプライチェーン

⑩コニカミノルタ物流
・2013年 DHLサプライチェーンに事業譲渡

日立物流だけは元々独立独歩で進んでいた上、米投資ファンドに買収されているので状況は違いますが、他10社は物流会社に吸収される形です。

物流子会社の役割の変化

上記10社の中では富士通ロジスティクスの2005年が最も古く、2024年までの約20年掛けて買収が進められてきました。

日本の物流子会社の多くは、物流需給が逼迫していた高度経済成長期に設立されたと言われています。
現在は安定輸送を担う役割は失われて、メーカーが自前の子会社ではなく、物流会社へアウトソーシングする流れと変化してきました。
その動向としてメーカーが物流子会社を売却し、電機メーカーに限っては殆どの企業が手放したことになります。

これからの買収動向に絡んでくるのが2024年問題です。
ドライバーの労働時間に制限が入ったことにより、各社配送網の見直し、積載の見直し等で対応をしています。
先月、アルプス物流がロジスティードからTOB決定を発表し、その中で業務提携により2024年問題対応強化の説明もありました。

この買収を皮切りに、2024年以降も物流業界再編は続いていくのではないかと思われます。

電機メーカーの次は、どの業界の物流子会社の再編が進むのか気になるところです。

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