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高井宏章 雑文帳

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徒然なるままに。案外、ええ事書いてます
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2020年3月の記事一覧

ウイルス禍から救われるべき「弱者」を知る 青木雄二『ナニワ金融道』

ウイルス禍から救われるべき「弱者」を知る 青木雄二『ナニワ金融道』

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言する事態に発展した。

本コラムでは前回(3月3日)、細菌やウイルスに関する基礎テキストとして『もやしもん』(講談社)をご紹介した。

この中で私は、新型ウイルスについてこんな見解を示した。

・すでに完全な「封じ込め」は難しい
・医療リソースの枯渇を回避し、治療法とワクチンの開発の時間稼ぎをするべきだ
・難しいのは感染抑制

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「書けば、人生、パッ変わる」 『おカネの教室』刊行2周年 高井浩章 特別インタビュー

「書けば、人生、パッ変わる」 『おカネの教室』刊行2周年 高井浩章 特別インタビュー

お久しぶりです。新聞記者の高井〇章です。
2018年の秋に、他人とは思えないほどよく似た方にインタビューした。

すっかり忘れていたのに過日、唐突に「また取材してほしい」と依頼があった。
『おカネの教室』という本が出て3月16日でちょうど2年なので、記念インタビューを、という提案だ。
本人にとっては記念の日かもしれないが、世間の皆さまにはどうでも良いことだし、もう1年以上重版もかかっていないようだ

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noteに毎週投稿していたら、思わぬものが「炸裂」した

noteに毎週投稿していたら、思わぬものが「炸裂」した

私は2018年6月にnoteを始めた。この間に投稿した記事は254本。「2.5日に1本」というなかなかのペースである。
さて、2018年6月から現在まで、91週経っている。今、調べました。

何かがおかしい。

少なくとも、週に1本くらいは投稿していたはずなのに、昨日の投稿時の「お褒めの言葉」はタイトル画像通り、「61週連続」だった。
調べたら、2019年1月の2つの投稿の間に「穴」があった。

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「見えないウイルス」の世界を覗き見る 『もやしもん』

「見えないウイルス」の世界を覗き見る 『もやしもん』

新型コロナウイルスの猛威が世界を覆っている。原子力発電所事故以降の放射能に対する過剰反応が示すように、人間は「目に見えない脅威」に弱い。日本政府の対応や情報開示が後手に回っているのもあり、不安が高まるのも無理はない気もする。

では、もし病原体が「目で見える」としたら、どうだろう?

そんな思考実験と、菌やウイルスに関する知識を仕入れる教材として、今回は石川雅之の『もやしもん』(講談社)を取りあげ

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『おカネの教室』無料公開は、売名行為です

『おカネの教室』無料公開は、売名行為です

3月末までの期間限定で『おカネの教室』を無料公開しました。
以下のリンクから飛べば、サクサクと全ページ読めます。

公開に至った経緯を記録しておきます。

わずか半日の早業!きっかけになったのは、版元インプレスのこのツイートでした。

うんうん。みんな巣ごもりで退屈だもんねぇ……。
エエことするじゃないの。
でもね。

なんで『おカネの教室』は、仲間外れなのよ!

翌11日にインプレスの偉い人に早

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廃炉という「非日常の日常」を描く 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』

廃炉という「非日常の日常」を描く 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』

本記事は2019年3月11日に新潮社のニュースサイト「Foresight(フォーサイト)」に掲載されたコラム、独選「大人の必読マンガ」の転載です。
初出から1年経っていますが、note未転載でしたので改めて投稿します。
一部情報が古くなっていますが、原文のままです。

独選「大人の必読マンガ」案内 (10)
竜田一人『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』また3月11日が巡ってきた。

東日本大震

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研ぎすました短刀のような12編 『刑罰』

研ぎすました短刀のような12編 『刑罰』

各国で絶賛され、日本でも2012年の本屋大賞・翻訳小説部門トップに輝いた『犯罪』の筆者の最新作は、期待を裏切らない珠玉の短編集だ。
『犯罪』と『罪悪』の2作を何度も再読してきたシーラッハファンの私にとっては、文字通り、待望の1冊。6月に入手して以来、お気に入りの収録作はすでに3~4回読み返している。

『刑罰』東京創元社
フェルディナント・フォン・シーラッハ

ドイツで刑事事件専門の弁護士として活

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