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戸取大樹のインラインスケートの世界

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30年あまり続けているインラインスケートを通じて、挑戦すること、旅すること、感動すること、考えること、共有したいことを載せています。
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#インラインスピードスケート

プロのレースで言われたこと

プロのレースで言われたこと

 プロとアマチュアの線引きは人によっても違って難しいところで、インラインスピードスケートの世界ではいわゆるプロ制度みたいなのはありません。ほとんどはメーカーなどの抱えているチームとの個人契約、あるいは私設チームでサポートがあるみたいな感じです。

 その中で珍しく「プロ制度」をコンセプトに立ち上がったリーグがアメリカにあります。「National Speedskating Circuit」略してN

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インラインスケートの誤解(エッジの話)2

インラインスケートの誤解(エッジの話)2

 前回、構造の違いから来るスケーティングの動作効率の違いを解説しました。では実際の動作に於いてはどんな違いが出てくるのでしょうか。
 ここでもう一度バート選手の動画を見ておきます。

 アイススケートに於いては「エッジに乗ること」が最も刃が安定し、抵抗が少なく、減速も少ない動作です。従って、できるだけ早く接地の瞬間からアウトエッジに乗り、そのまま体重を乗せて滑らせていく動作になります。

 他方、

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インラインスケートの誤解(エッジの話)1

インラインスケートの誤解(エッジの話)1

よく似たスポーツ

 アイススケートとインラインスケート、とてもよく似ています。
 形も似ているし滑り方も似ている。
 そもそもインラインスケート自体が、演劇の舞台でアイススケートの表現をするために発明されたものなので似ていて当然ですね。

 でも氷の上に刃を乗せて滑るアイススケートと、アスファルトにウレタンのタイヤを転がすインラインスケートはやっぱり違うところがあります。そこを無視してしまうと、

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考25 BIGFOOT WHEEL by NSC

考25 BIGFOOT WHEEL by NSC

 実はアメリカは、屋外よりもインドアのレースの方が盛んです。

 意外かもしれませんが、スピードの200mの競技用トラックは全米で2つくらいしかありません。国内選手権もIDN(Indoor Nationals)とODN(Outdoor Nationals(トラックとロード))という括りになっていて、インドアの方がより盛り上がっています。ODNは主に世界選手権に出るような選手が選抜のために出る意味合

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2022年4月の海外遠征 PCR等諸事情

2022年4月の海外遠征 PCR等諸事情

 2022年4月12日から4月20日までアメリカ・フロリダ州オーランドへ遠征してきました。渡航時の必要書類や現地の様子などを備忘的にまとめておきます。
 ※以下の情報は時期により修正されたり不正確な部分もありますので、参考程度に考え、最終的な確認はご自身で行ってください。

ワクチン接種証明渡航2週間以上前にワクチン3回の接種を完了していました。これにより現在は

となっていてり、帰国時の隔離期間

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インラインスケート用具の選び方②

インラインスケート用具の選び方②

①の記事をご覧になってからお読みください。

大手メーカーの信頼性 スピード用スケートはスピードが出やすいスケートです。自身の能力の限界やそれ以上のスピードが出ることがあり、安全に関する信頼性は最優先事項です。もちろん他の種目用スケートでも安全性は大事ですが、スピード用は直接命に関わります。

 以下に挙げるメーカーは十分な信頼性があり、トップ選手も使用しているものです。

ブーツメーカー
・PO

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インラインスケート用具の選び方①

インラインスケート用具の選び方①

 新しいスポーツ、新しいジャンルに挑戦するときは何を基準に用具を選んだらいいかわからないですし、誰に訊いたらいいかもわからないものです。

 インラインスケートの種目ごとの違いは他に譲りまして、スピード用具の選び方について、ご自身が買う時、迷っている人が身近にいた時に参考にしていただけるように記事を書きます。

パーツごとにバラバラでもいい インラインスケートの大まかな構造としては
①ブーツ
②フ

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自分で見えない、練習の大事なポイント

自分で見えない、練習の大事なポイント

 ちっちゃなことだけれど思ったより大事なことで、そして気づきにくいことです。20年以上たくさんの人を教えてきましたが、8割の人が言われるまで気づかず、気づいてもついつい戻ってしまいます。

 (トレーニングではなくて「練習」と書いているのは、筋力アップとかではなくて動作を繰り返して身につけることを指しています。)

 動作の練習をするときに自分では見えないことがあります。
 それは・・・
    

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初心者レッスンと中級スケーティングの違い

初心者レッスンと中級スケーティングの違い

 インラインスケートを始めた時、みなさん一度は初心者向けのレッスンに参加したことと思います。インラインスケートは技術スポーツなので誰かに習うのが何より上達の近道です。

 その初心者レッスンは

受講者は
・スケーティングに使う筋肉が発達していない。
・スケーティング動作をやるのも見るのも初めてで体が慣れていない。
・片足に乗ったりバランスが取れない。
・安全確保が最優先。(怪我をさせない)

 

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考23 Takino Bearing spacer

考23 Takino Bearing spacer

哀愁のパーツ インラインスケートはパーツの少ない用具です。細かく見てもブーツ、フレームボルト、フレーム、フレームシャフト、ウィール、ベアリング、ベアリングスペーサーの7項目だけで、これはどの種目でもほぼ変わりません。

 競技をしていたり、だんだんと深みにハマっていくと道具の探求心とこだわりが出てきます。
 「少し高いベアリングを使ったらスピードが出るかな?」
 「良いブーツなら安定するかも?」

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日本から行きたい① 中国・北戴河(ベイダイヘイ)インラインスケート大会 後編

日本から行きたい① 中国・北戴河(ベイダイヘイ)インラインスケート大会 後編

▶︎ 前編はこちら

トップ選手だけじゃない!あなたも国際スケーターに。

 中国の大会に出られるのは何もトップレベルのスケーターだけではありません。子供も一緒に家族で参加している選手もいれば、マスターズカテゴリで走る選手、ジュニア選手もたくさん参加しています。大会にはジュニア、シニア、マスターズの他にフィットネスブーツでも参加できるミニマラソン(5kmや10kmなど)もあります。

 海外選手は

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日本から行きたい① 中国・北戴河(ベイダイヘイ)インラインスケート大会 前編

日本から行きたい① 中国・北戴河(ベイダイヘイ)インラインスケート大会 前編

だれでも世界中から、スケート背負って北京に集まれ
 中国という国はいろんな意味で日本とは違います。その違いはときに桁が二桁違うようなぶっ飛び方をします。
 スケート界で10年前まではアジアでも後塵を拝していた中国は今や世界の中でも強豪国になり、愛好者の数だけで言ったら世界で1番か少なくとも2番と言えるまでになってしまいました。
 その趨勢はひとえに「国がヤル気かどうか」の運に左右されるものですが、

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引き算のトレーニング

引き算のトレーニング

 Aさんは35歳。有名私立大学を卒業して大手製薬会社に就職。もともとの人柄に加えて社内での立ち回りよく、出世街道を着実に歩んでいる。今や一千万円プレイヤーである。清潔感にあふれ見た目も良く、恋人とも順調だ。さぞかし素晴らしい暮らしをしているのだろうと羨ましがられるが、、、。
 実はギャンブルと名のつくものなんでも好きで、給料日前はベランダ菜園のキュウリで凌いでいる。塩もみしたキュウリは格別だが、一

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映像で学ぶときに気をつけたいこと

映像で学ぶときに気をつけたいこと

 「学ぶ」は「真似ぶ」でありまして、スポーツが上手くなりたい時に上手い人のやり方を真似るというのは手取り早く、効果的なことです。
 とは言え誰もが有名なコーチに教われる訳ではないですし、一流選手がたまたま同じ町内にいたなんて幸運もなかなかありません。(いても一緒に練習できるわけじゃないし・・・)

 でも大丈夫。

 インターネットのおかげで、上手い選手の映像は数秒で手に入れることができるようにな

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