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『続・セミロングホームルームのその後~若者のすべて~(物憂げな瀬尾くん、虎山くんと白石さん、大切な仲間と大人たちの再会)』

※これは国語(中学二年生)の教科書(三省堂)に掲載されている戸森しるこ先生『セミロングホームルーム』という作品の続きを想像して書いた物語(『セミロングホームルームのその後~若者のすべて~(瀬尾くんの背中、トリノの秘密、私の憂鬱、黒岩先生の過去)』)のさらに続きの物語です。教科書の原文はここから読むことができます。さすが、教材というだけあって、物語の前後を自由にイメージさせてくれる柔軟性のある作品だと思います。以下、本文です。

 どうやら僕はガラスのように繊細な人間と思われてしまっているらしい。たしかにそうかもしれない。体育の授業ではしょっちゅう倒れるし、無口で社交的な方ではないから。控えめでデリケートな性格と思われても仕方ない。
 でも実はそこまで繊細な人間ではないと自分では思っている。無口なのは自分が何か言葉を発することで誰かを傷つけたくないし、あんなことを言ってるとか誰かから嫌われたくないためで、つまり自分が傷つけられないようにするための術だ。余計なことを言わない方が、傷つけなくて済むし、傷つけられなくて済む。空気のように無難で大人しい性格と思われている方が、平穏に過ごせる。体育の時とか倒れてしまうのはたぶん貧血のせいで、少し身体が弱いのは否めないが、性格に関しては本当はそこまで弱くはないと思う。一応、内に秘めた自分の意見とか主張とかは持っているつもりだし、それを外に出せないだけで、自分の芯とか核になるものはこんな自分にもちゃんとある。たぶんそれはピアノなんだけれど。音楽なら言葉で表せない自分の感情を表すことができた。ピアノだけは自分の感情を解放してくれた。
 
 転校は自分のイメージを変えるチャンスかもしれない。自己紹介の時、「音楽が好きで、ピアノを弾くことが得意です」くらい言った方がいいかもしれない。そしたら同じく音楽が好きな子が話しかけてくれるかもしれないし、すぐに友だちができるかもしれない。でも…。それは一般的な理想論であって、僕の本音は少し違った。
 ガラスのように繊細と思われて悪いことばかりではなかったから。もしもあの時、僕が怖いものなんて何もない図太い性格と思われていたら、あの出来事は起き得なかった。何とも不思議でもどかしい、あのやさしい夏の瞬間に立ち会うことはできなかっただろう。僕を傷つけまいと密かに必死に格闘してくれていた、後ろに座っていた二人の友だちと、それから先生と、僕の背中にくっついてくれたセミという四人の仲間たちと深い絆を結ぶことはできなかったと思うから。
 僕が背中に手を伸ばしてもビクともしなかったセミのように図太い性格だったら、「瀬尾くん、背中にセミついてるから取ってあげるね。動かないでね。」なんてさらっと言われて、ドキドキひやひやする時間なんて少しもないまま、思い出になることもなく、記憶の隅から落っこちるようなあっさりした瞬間になってしまっていただろう。大切な時間になったのは僕がデリケートな性格と思われて、後方の友だちが丁重にセミのことを対処してくれようとしたからであって、つまりこのちょっと面倒くさい性格は一概に悪いとは言えないし、むしろ良いんじゃないかと思えるようになった。
 
 そしてあのかけがえのない思い出は、僕の性格だけでなく、友だちや先生の性格も相まって完成したものだった。おそらく僕の背中のセミに最初に気づいてくれた鳥野くんは、元々賢くて思いやりもあって、みんなから信頼される性格だった。その鳥野くんが僕の後ろに座っていてくれたことが何よりの幸いだったと思う。どうすれば僕を驚かせることなく、クラスのみんなの注目を集めることなく、背中のセミを取り除くことができるだろうかとメガネの奥できらり光るまっすぐな瞳でセミを見つめながら、真剣に考えてくれていたのだろう。そしてそんな鳥野くんと共に、同じく一番後ろの席に座っていたやさしい竹内さんも僕の背中のセミ問題を解決するための仲間に加わってくれた。セミに気づいて以来、挙動不審になった竹内さんと鳥野くんは担任の黒岩先生に目をつけられ、注意されてしまった。僕のせいで、注意されることになって申し訳なかったと後から思った。二人で一緒に対処法を考えてくれていると、特にとんちんかんなことを言い出した竹内さんを見張るように黒岩先生が竹内さんと鳥野くんの背後にやって来た。そして案の定、僕の背中の存在に気づいてしまった黒岩先生も自然とセミ問題を解決する仲間に加わっていた。
 生徒のことをよく見ている黒岩先生もまた、僕のことをガラスのように繊細な性格と思っていたらしく、僕に配慮して、背中の存在に気づいても、すぐに何らかの行動をとることはしなかった。頭の良い鳥野くんを中心に、三人で厄介なセミをどうしたらいいものか、他のクラスメイトに気づかれることなく、考え続けてくれていた。
 そんなやさしさのかたまりのような性格の三人がタイミングを見極めてくれて、最終的に鳥野くんの手によってセミは窓の外に放たれ、無事に僕の背中の問題は解決した。背中についていたのがセミと気づいたのは背中の存在がいなくなってからだった。何かくっついていることは分かっていたけれど、それが何なのか分からず、少し気味悪く感じていた。鳥野くんの手から放たれたセミが去り際、ジジジッと鳴いたことで、なんだセミだったのかと安堵したのを覚えている。
 僕から見れば、そんなやさしい三人の方がよっぽどデリケートでガラスのように繊細に思える。気配りのできる三人が集結してくれたからこそ、忘れられないあの時間は完成したのだ。なぜか僕の背中を選んでくれたセミにも感謝したい。キミがいなければ、きっと僕らはあの時間を共有できず、離れることが寂しいと思えるようなかけがえのない仲間同士にはなれなかったと思うから…。
 
 つまり僕はかけがえのない仲間のやさしさに気づくきっかけになった自分の性格を変えたくなかったのだ。一般的に転校は自分を変えるチャンスなのかもしれないけれど、でも自分はデリケートで控えめで無口な瀬尾くんと思われたままの方がいいと考えた。大切な仲間と出会えた自分の性格を変えたいとは思えなかった。だから自己紹介で、「音楽が好きでピアノが得意」と言うことはなかった。名前とただ一言、「よろしくお願いします」といつも通り小さな声で言った。
 
 黒岩先生とは全然違うタイプに見える新しい担任の先生から、鳥野くんや竹内さんと親しくなった窓際の席と同じような位置の席に座るように促された。同じように、僕の後ろには男子と女子が座っていた。
「俺、虎山(とらやま)って言うんだ。よろしくな。」
愛想が良くて人懐っこそうなすぐ後ろの席の男子からそう挨拶された。なんだか鳥野くんの性格とは似ても似つかなそうな子だなという第一印象を持った。
 そして虎山くんの席の隣に座っていた女子からも挨拶された。
「私は白石(しらいし)。よろしくね、瀬尾くん。」
その子は鳥野くんのようにメガネをかけていて真面目そうで、竹内さんのようにセミロングヘアの子だった。新しい学校生活が始まったというのに、僕は前の学校の先生や友だちのことばかり思い出して、比較してしまっていることに気づいた。初日だし、仕方ないかとこのまま自分を甘やかすことにした。
 
 事件は間もなく起きた。三時間目の授業が終わると、虎山くんから
「次の授業、音楽だから一緒に行こう。音楽室教えるよ。」
と背中をぽんと叩かれた。虎山くんが一方的に話す雑談に適当に相づちを打ちながら、一緒に廊下を歩いていると、いろんな生徒からの視線を感じた気がした。転校生だから見られても仕方ないかと虎山くんと一緒に歩いて音楽室の席に座った。
 着席した瞬間、なんとなく背中に違和感を覚えた。この違和感はそう、セミにくっつかれた時に似ている感じがした。でも今は冬だし、セミはおろか虫なんてそんないないだろう。何がついているのかなと背中に手を伸ばすと、ぼろっと何かが床に落ちた。
「ぎゃーっ、ク、クモ?」
それはセミほどの大きさの黒いクモだった。僕の絶叫はクラスメイトの視線を集めてしまった。後ろの席の虎山くんは心配してくれるどころか、何も言わずにニヤニヤ笑っていた。
「虎山、こういう子ども染みた遊びはもうやめなよ。瀬尾くんがかわいそうでしょ?」
虎山くんの隣に座ろうとしていた白石さんが、驚くどころか呆れた様子で、床に落ちたままのクモをあろうことか素手で拾って呟いた。白石さんってこんな大きなクモを素手で触れるんだ…。すごいな…と感心してしまっていると、
「まだこんなおもちゃ、持ち歩いてるの?」
と言って虎山くんの机にぽんとそれを置いた。よく見るとそれは微動だにしないおもちゃのクモだった。おもちゃのクモに怯えてしまった自分が恥ずかしくなった。
「転校生と仲良くなるための挨拶だよ。瀬尾、驚かせてごめんな。」
言葉ではごめんと言いつつ、まだニヤニヤしている虎山くんの表情から謝罪の気持ちはうかがえなかった。
「瀬尾くん、ごめんね。虎山ってバカだから、誰にでもいつもこんな感じなの。」
虎山くんの代わりに白石さんが申し訳なさそうな顔をして、謝ってくれた。やっぱり…虎山くんって鳥野くんとは全然違う。背中にくっついている虫を取ってくれるどころか、自らおもちゃの虫をくっつかせて驚かせようと悪ふざけするなんて。こういう思いやりのかけらもない、いたずら好きの子は苦手だし、あまり関わりたくないけど席が近い分、無視することもできないし先が思いやられるな…。なんて考えていると、本当は好きなはずの音楽の授業には全然集中できなかった。
 
 虎山くんは白石さんの言う通り、僕だけをからかうわけではなく、誰に対しても同じようにふざけていた。例えば誰かが教室に入る前に、ドアに黒板消しを挟んで、ドアが開くと同時に落ちるいたずらを仕掛けたり、誰かの机の中に僕の背中につけたのと同じようなおもちゃの虫を忍ばせて驚かせようとしたり、「また虎山かよ」みたいな空気がクラス中に漂っていた。何かあれば虎山くんの仕業と誰もがすぐに思っている様子だった。虎山くんは勉強が苦手らしく、宿題に真面目に取り組むこともなく、いつも「宿題やってきたなら見せて」なんて僕を頼るようになっていた。僕だってそこまで勉強が得意な方ではないし、本当は見せたくなかったけれど、また何かいたずらされるのも嫌だし、仕方なく応じていた。勉強なら白石さんがクラス内で一番だった。けれど、虎山くんは白石さんに対してだけはなぜかいたずらしないし、勉強も頼ろうとはしなかった。一目置いているというか、頭が上がらない様子で、白石さんだけが虎山くんにブレーキをかけられる存在だった。そんな白石さんは当然、クラスメイトや先生方から信頼されており、まさにこの学校の鳥野くんだった。虎山くんのことは白石さんに任せておけば大丈夫という意味もあってか、二人は席が近いのかもしれない。
 
 虎山くんや白石さんを観察しているうちに、けだるい中二の残りの時間はあっという間に過ぎ去った。中三になれば、虎山くんとも離れられるだろうと期待していたものの、何の因縁か運命か分からないけれど、また虎山くんと同じクラスになってしまった。しかもまたしても前後の席だった。今度は僕が虎山くんの後ろだから、背中に何かをつけられる心配はないけれど、また宿題は頼られてしまうかもしれない…。憂鬱な中三が始まってしまった。しかし虎山くんのブレーキになれる白石さんもまた同じクラスになり、僕らの近くの席になったのは唯一の救いだった。
「瀬尾くん、中三もよろしくね。」
丁寧に挨拶してくれた白石さんに対して、僕が返答する前に虎山くんが口を挟んだ。
「また白石と同じクラスかよ。くされ縁でうんざりするぜ。」
「それはこっちのセリフ。中学三年間どころか、幼稚園、小学校とずっと同じクラスなんだもの。」
二人はどうやら幼少期からの知り合いらしい。
「そんなに長い間、同じクラスなんてすごいね。しかも席も近いなんて。」
「幼稚園どころか、親同士が仲良いせいで生まれた病院も同じで、生まれた時期も近いから、生まれたばかりの頃から一緒に写ってる写真が多くてうんざりするぜ。」
虎山くんがため息を吐きながら説明してくれた。
「いわゆる幼馴染の関係なの。小さい頃からいたずら好きの虎山を見張るのが私の宿命というか…。周囲から与えられた逃れられない使命みたいなものね。」
「へぇー二人は幼馴染なんだね。白石さんが虎山くんの近くにいてくれて良かったってみんな思ってると思うよ。」
「たぶん、先生たちが同じクラスになるように仕向けているんだと思う。ほんとうんざりだぜ。」
「そう思うなら、いたずらするのやめたらいいじゃない?私だっていつまでも虎山の子守りなんて迷惑してるんだから。」
「白石と離れるために、自分の性格を変えるのも癪だからな。俺は自分の意志を貫きたいし。」
虎山くんは悪びれる様子もなく、そう言い切った。いたずらすることを自分の意志なんて断言するのは良くないけれど、なぜか少しかっこいい気もした。
 
 中三になり、新しい学校で本格的な学校生活が始まっても、僕はまだ前の学校の方が良かったと懐かしんでいた。いたずら好きの虎山くん、真面目でクールな白石さんを知れば知るほど、やっぱり鳥野くんや竹内さんの方が友だちとして好きだなと思えた。誰にも知られることはない静かな関係で、もしかしたら時間に換算すればほんの少しの思い出しかないかもしれない。あの夏のセミ事件と、秋の合唱コンクールの秘密の練習と、それから転校間際の冬、セミの抜け殻をプレゼントしたというわずかな思い出しか存在しない。けれどたとえ短い時間だとしても、時間の長さは関係なく、濃密でかけがえのない瞬間を共有できたと思っている。本当の仲間と思える、固い絆を結べたのは鳥野くんと竹内さんとそれから黒岩先生だけだ。もう二度と、あんな関係になれる人たちとは出会えないし、彼らを越えるような関係性をもてる出会いとは出会いたくないと思っていた。だから僕は虎山くんと白石さんという新たな友だちたちと出会っても、積極的に関わりたいとは思えなかった。二人とは一定の距離を保ったまま、何事もなくこの学校を卒業したいと思っていた。
 
 体育の授業では相変わらず倒れることが多かった。特に夏に近づくにつれて、貧血になることが増えた。
「瀬尾くん、貧血ひどそうだから、病院に行って見てもらった方がいいんじゃないかな?」
面倒見の良い白石さんが保健室につれて行ってくれて、そう提案してくれた。
「白石の親に見てもらうといいよ。医者だし。」
なぜか隣のベッドで横になっていた虎山くんがカーテンから顔を出して、そう言った。
「虎山くん、体育いないと思ってたら、こんなところにいたの。白石さんの親って医者なの?」
「虎山はさぼってたんでしょ。うん、うちは個人病院やってるの。ただの貧血とか侮らないで、一度は検査とかしてもらった方がいいんじゃないかなと思って…。」
「白石の親父さん、この街では評判の医者なんだよ。」
二人に促されて、僕は白石さんのお父さんの病院に行ってみることにした。
 
 「鉄欠乏性貧血だね。めまいの他に肩こりとか、頭痛とか、疲れやすいとかない?それから無性に氷が食べたくなるとか。」
内科医の白石さんのお父さんは血液検査の結果を見ながら僕に尋ねた。
「そう言えば、頭痛や肩こりもあります。氷は…冬でもよく食べてしまいます。これからの季節はかき氷ばかり食べたくなります。」
「やっぱり典型的な貧血の症状だね。氷食症と言って、鉄欠乏性貧血の人は氷を欲する人が多いんだ。まずは食べ物を改善して、なるべく大豆やたまごやほうれん草やひじきなど、鉄不足に効果のある食べ物を多く摂取することを心がけて。特にこれから暑くなる季節は、汗と一緒に鉄分も体外に流れ出してしまいやすいから、鉄分を多く含む食べ物を意識して食べた方がいいよ。身体が改善するまで、体育の授業は無理しないでね。」
白石先生はやさしく教えてくれた。ふと黒岩先生のことを思い出した。白石先生は黒岩先生と同じくらいの年齢に見えた。黒岩先生は四人だけの秘密の合唱コンクールの練習の時、白石という友人がいたと言っていたなと…。合唱曲に選んだ『若者のすべて』と言う曲はその友人が教えてくれたんだとも言っていた。少し気になって、聞いてみようかと思ったけれど、初対面の大人に気軽には聞けない気がして、その日は何も尋ねられないまま、「ありがとうございました」と挨拶して帰った。
 
 かき氷は昔から大好きだったけれど、もしかしたらずっと貧血気味だったのかもしれない。教えられた通り、鉄分を多く含む食べ物を意識して食べることを心がけた。元々、親はちゃんと栄養を考えて料理してくれていたのに、手をつけなかったり、残したりしていたのは自分だった。親が用意してくれたバランスの良い食事を完食する努力をしつつ、相変わらず大好きな氷もなめていた。
 
 夏休みに入る矢先、五時間目の音楽の授業が始まる前の昼休みを利用して、僕は誰より早く音楽室へ行き、こっそり一人でピアノを弾いていた。去年、合唱コンクールで伴奏した曲がふと懐かしくなったのだ。夏の歌だからかもしれない。
「瀬尾ってピアノ弾けたの?その曲いいね。何て曲?」
ピアノを弾いているところに虎山くんがやって来た。
「うん、少しだけどピアノ弾けるよ。『若者のすべて』って曲だよ。前の学校のクラスで合唱した曲なんだ。」
「へぇー合唱曲なんだ?じゃあさ、今年はそれを歌うから、瀬尾が伴奏してくれない?」
虎山くんが僕には意味の分からないことを言い出した時、白石さんもやって来た。
「虎山、今年はその曲を歌いたいの?」
「うん、瀬尾がピアノ弾けるみたいだし、今年はおまえとペア組まなくて済むかもしれない。」
「私もそろそろ受験勉強に集中したいし、それどころじゃないから、瀬尾くんに弾いてもらえたら助かるわ。」
「あの…何の話?」
二人だけはよく理解している話の説明を求めた。
「ごめんね、夏祭りの話なの。夏祭りで毎年、虎山が歌を披露していて、その伴奏を私が任されていたのよね…。虎山の唯一の特技は歌うことだから。」
たしかに音楽の授業では虎山くんの歌声が誰より上手い気がしていた。
「へぇー虎山くん、夏祭りで歌ってるんだ。すごいね。」
「小学生の頃から、なぜか夏祭りのステージに呼ばれて歌っているんだ。白石はピアノ弾けるからキーボードで伴奏してもらってさ。」
「お祭りに呼ばれるくらい、歌が上手いってことだね。この曲ならそんなに難しくないし、ピアノ弾けるなら、例年通り、白石さんが弾けばいいじゃない?」
「いつまでも白石とペアっていうのも何だかな…とずっと思ってて。」
「それは私もそう。虎山が歌うからって伴奏として相方させられ続けるのもね…。だから瀬尾くんが引き受けてくれたら、私も助かるの。」
何かとかばってくれる白石さんにまで頼まれてしまったら嫌とは言えなかった。
「そうなんだ…じゃあ分かったよ。夏祭りで弾けばいいんだよね?」
「おう、ありがとう。助かるぜ。その曲の歌詞教えて。」
ひょんなことから、虎山くんと思い出の曲を練習することになってしまった。合唱ではなく、虎山くんのソロだから、あの時と同じではないけれど、この曲の思い出が上書きされてしまう気がして、なんだか少し胸の奥がチクっと痛んだ。
 
 そう言えば、やさしくて勉強も運動も何でもできる鳥野くんの唯一の弱点は歌うことだったな。音痴なことを気にして歌いたくなくて、指揮者になったくらいだし…。鳥野くんと全然似てない虎山くんの唯一の特技が歌うことだったなんて。本当に鳥野くんと虎山くんは何から何まで正反対だと思った。だから僕は仲間との思い出の曲を虎山くんと披露することになっても、仲間以上に虎山くんのことを好きになることはないだろうし、大丈夫、かけがえのない仲間と共有した時間は色褪せることはないと自分に言い聞かせた。
 
 夏休みに入ると、ピアノがある白石さんの家で練習させてもらうことになった。
「この曲って歌詞知らなかったけど、夏にぴったりの曲だから引き寄せられたのかもしれない。やっぱり俺って歌の才能あるのかもな。」
なんて虎山くんは自惚れるようなことを言った。でも自惚れとばかりも言えなくて、実際、歌っている時だけはいつもの不真面目な虎山くんとは違って、人を惹きつける心のこもった歌に真面目に取り組んでいた。
「虎山って歌っている時だけは別人みたいなのよね。いつもそんな感じならいいのに。」
なんて近くで勉強していた白石さんも虎山くんのことを褒めた。
夕方五時過ぎ、白石さんのお父さんが自宅に隣接する病院から仕事を終えて帰って来た。
「虎山くん、今年も夏祭り楽しみにしているよ。今年は瀬尾くんが伴奏してくれるらしいね。それにしてもその曲、懐かしいな。よく知ってるね。キミたちが生まれる前の古い曲なのに。」
白石先生は僕らの歌とピアノにしみじみ聴き入っている様子だった。
「この曲は…前の学校で担任の先生が教えてくれた曲なんです。みんなで合唱した思い出の曲で…。」
「へぇーそうなのかい。この曲は元々こうしてソロで歌う曲なんだが、瀬尾くんの学校では合唱曲として歌ったのか。合唱バージョンも聴いてみたいなぁ。」
「そう言えば今、思い出したけど、ずっと昔、パパもこの曲、ギターで弾いてなかった?たしかこんな感じの曲だった気がして…。」
「あぁ、私の青春時代の思い出の曲だからね。しばらく封印していたけど…。虎山くんの歌声と瀬尾くんのピアノで聴ける日が来るとはね。『若者のすべて』だから若者たちにぴったりだし。」
僕は黒岩先生が音信不通になってしまった白石という人はやっぱり白石先生のことなのではないかと思った。でも虎山くんや白石さんのいる前で真相を聞き出すようなことはできなくて、この時も尋ねることはできなかった。
 
 白石さんの家を後にし、街灯の明かりがぽつぽつ点き出した夕暮れ時の路地を虎山くんと一緒に歩いて帰っていた。
「俺、勉強も運動も好きじゃないし、将来の夢とかあまり考えたこともないけど、やっぱり歌うことを目標にしてみようかな。あんな風に白石の親父さんとか大人からも楽しみにされるとうれしいし。瀬尾は何か夢とかあるの?」
虎山くんが珍しく真面目な話をし始めた。
「歌の仕事いいと思うよ。虎山くんなら歌手になれるよ。僕は…夢は特にないかな。でも将来の夢ってわけじゃないけど、ささやかな夢ならあるかも。」
「ピアノの上手い瀬尾から歌手になれるって言われたら心強いよ。ささやかな夢って?」
「どうせ虎山くんには笑われるよ。せっかく珍しく真面目な話できてるのに。」
「笑わないから教えてよ。」
「じゃあ…言うよ。前の学校で、大切な仲間がいたんだ。三人の同志みたいな仲間がね。その三人とまた会いたいんだ。僕、社交的じゃないし、その仲間との思い出はほんの少ししかなくて。でも、そのわずかな思い出が一生の思い出みたいに思えるほど、大切で。虎山くんみたいに社交的な人には分からないかもしれないけど…。」
「ふーん、そうなんだ。じゃあさ、今度のお祭りに三人を招待すればいいじゃん。夏休みなら多少遠くても来てくれるんじゃない?それからたしかに俺は社交的な方かもしれないけど、でも社交的だからって誰かと親密な関係になれるわけでもないし。何しろいたずら好きの俺は友だちからも好かれてないの自覚してるし、そもそも友だちもいないかもしれないし。瀬尾みたいに誰かとの大切な思い出なんてないから、羨ましいよ。」
虎山くんはからかうどころか真面目に聞いてくれて、三人をお祭りに呼んだらと提案までしてくれた。
「招待ってそんな簡単に言われても…仲間には違いないけど、親友と言えるかは微妙なんだ。虎山くんがイメージする仲の良い友だち同士とは少し違う関係で。その、ちょっと秘密を共有しただけっていうか…。」
「瀬尾はさ、繊細だからいろいろ考えてしまうのかもしれないけど、こういうことは、まずは言い出してみることが大切じゃない?来てもらえないならもらえないで仕方ない。でも来てもらえる可能性もあるわけだし。遠慮することないよ、仲間なんだろ?」
虎山くんはあっさりそう言い切った。たしかにそうかもしれないと思えた。難しく考えるより、まずは自分から会いたいと行動してみることも大事なのではないかと。
「そうだね…じゃあ誘ってみようかな。何しろその中の一人は先生だから、大人が同行してくれるとすれば、二人も来やすいだろうし。」
「えっ?何、仲間の一人って先生なの?不思議な関係の仲間なんだな…。でも大人がいれば多少遠くても安心だよな。」
思いがけない虎山くんの発案で、仲間の三人と再会できるかもしれない。珍しくうきうきし始めていると、路肩に植えられていた木の幹の上の方にセミの抜け殻を発見した。手を伸ばしても届きそうになく、登らないといけない高さだった。
「あっ…。」
「何?何かあるの?流れ星とか?」
上を見上げる僕の視線を虎山くんも追った。いつの間にか星が瞬き始めるほど、薄暗くなっていた。
「ううん。何でもないよ。」
「何でもないってことはないだろ。何だよ?」
虎山くんにセミの抜け殻を集めているからほしいなんて言っても、からかわれるだけだと思って言い出せずにいた。虎山くんは目を凝らして木を見つめていた。
「もしかして…あれ?セミの抜け殻?」
見つかってしまったからには仕方ない。僕はセミの抜け殻を集めていることを白状した。
「うん…。セミの抜け殻集めているから、ほしいなと思って…。」
「なんだそうなんだ。じゃあ俺が取ってきてやるよ。」
虎山くんは迷うことなく、木を登り始めた。
「えっ、いいよ。危ないし。」
「あれくらい、取ることできるよ。任せろって。」
虎山くんは器用に木登りすると、あっと言う間にセミの抜け殻を片手につかんだ。
「ほら。」
木から降りた虎山くんからセミの抜け殻を手渡された。
「ありがとう…。」
僕は虎山くんが取ってくれたセミの抜け殻を大切に手のひらの中に包んだ。虎山くんって案外、いい所もあるんだな。セミの抜け殻を取ってくれたし、実は歌が上手だし…。学校では勉強したくなくていたずらばかりするのかな。夏休みの虎山くんは何だかいつもよりやさしく、大人びて見えた。
「瀬尾がセミの抜け殻好きだったとはな。じゃあ今度は背中にセミでもつけてやるよ。」
見直した途端、いつものいたずら好きの虎山くんに戻ってニヤっと笑みを浮かべた。
 
 虎山くんが取ってくれたセミの抜け殻を机の上に置いて眺めながら、その夜、鳥野くんにメールしてみた。夏休みの終わり頃に夏祭りがあって、そこでクラスメイトと一緒に『若者のすべて』を披露することになったから、竹内さんと黒岩先生を誘って見に来てほしいと…。すると真面目な鳥野くんはすぐに返信をくれて、竹内さんと黒岩先生に前向きに検討すると約束してくれた。僕は離れても変わらずやさしい鳥野くんに安心しつつ、今日、垣間見た虎山くんの意外な一面を思い返していた。
 虎山くんは愛想が良くて社交的でいたずら好きで、ずっと苦手な部類の人間だと思い込んでいた。なるべく関わりたくないし、親しくなることなんてないと思っていた。けれど、いつもは不真面目な虎山くんにも良い所はあって、虎山くんの良さを知ったら、彼のことを少し見直したし、前より好きになれる気がした。
 あれっ、僕、ずっと鳥野くんや竹内さん、黒岩先生という三人の仲間に敵う存在はできないし、いらないって思っていたのに、いつの間にか虎山くんと過ごす時間が増えて、虎山くんや白石さんたちとの思い出が増えて、前の学校で培った絆が色褪せてしまった気がする…。それってなんだか寂しいな。新たに出会った人たちとの時間が増えれば増えるほど、一生の宝物みたいにきらめいていたあの瞬間が過去のものになってしまう…。嫌いだった虎山くんを見直せたのは悪いことじゃないはずなのに、僕は何か大切なものを失くしてしまいそうで怖くもなっていた。そしてさっき虎山くんからもらったセミの抜け殻の中にも確かに存在していたはずの命の輝きに思いを馳せていた。
 
 虎山くんとの練習の合間に、僕は時々、白石先生の診察を受けていた。
「だいぶ鉄の数値が良くなっているね。食事療法のおかげかな。」
血液検査の結果、貧血は少しずつ改善されているという。もしかしたら、夏休み明けからの体育の授業では倒れずに済むかもしれない。
「白石先生、おかげさまで貧血の方は良くなった気がするんですが、少し悩み事があって…聞いてもらってもいいですか?」
最近、自分の中でもやもやしている消化不良のような宙ぶらりんの気持ちを白石先生という大人に相談したくなっていた。
「もちろんいいよ。思春期の悩み事かい?」
「悩み事というか…転校生の僕は、前まで通っていた学校の仲間の方が大事ってずっと思っていたんですが、最近は虎山くんとか白石さんとか、新しい学校でできた友だちのことも大切に思えるようになってきて、不安なんです。大切な仲間のことを忘れても平気な自分になってしまうんじゃないかって。それから前の仲間と今の友だちを比較してしまって、重ね合わせてしまうことも多いから、それぞれの人たちに対して失礼なんじゃないかなと悩んでしまって…。」
「なるほどね…。転校生ならではの悩みだね。私も、瀬尾くんくらいの年頃に転校したから気持ちはよく分かるよ。大切な友人がいてね。転校しても友情は変わらないって信じていたんだ。でも…何か決定的なこと、たとえばケンカしたわけでもないんだけど、自然といつの間にか音信不通になってしまって…。当時はまだ携帯電話も普及していない時代でね。連絡手段と言えば手紙か電話になるわけだけど、少しずつ少しずつ疎遠になってしまって…。別に嫌いになったとかそういうのではなく、互いに大人になってしまったのかなと思ったよ。自然消滅というのかな。友情ってきっかけがなくても気づけば始まっていて、知らない間に終わってしまっている場合もあるんだと思ったよ。少なくとも私は今でも会いたい気持ちがあるよ。歳を取ったら、なおさら会いたい気持ちが強くなってきているよ。」
白石先生も転校生と分かり、やはり黒岩先生の友人の白石さんなのではないかと思った。
「白石先生も転校生だったんですね…。じゃあやっぱり転校してしまうと、友情は消えてしまうものなんでしょうか…。僕も仲間とは自然に離れてしまうのかな。こんなことなら、もっと前の仲間と思い出を作っておけば良かったと後悔してします。せっかく近くにいられたのに、一緒に遊びに行ったりした思い出はないので…。」
「ごめん、ごめん。それは私の話で、瀬尾くんがそうなるとは限らないよ。瀬尾くんと前の学校の仲間との間に確かな絆があるなら、そんなに急に消えてなくなるものではないよ。新しい学校で友だちができても後ろめたく思うことはないんだよ。それは自然なことだから。いつまでも前の学校の友情だけを引きずるよりは、前の仲間のことも大事に思いつつ、前向きに新たな友だちとも親しくなった方が、旧友たちも安心するんじゃないかな。簡単なことではないかもしれないけど、どちらも大切にすればいいんだ。かつての仲間も新しい友だちもね。そのバランスが難しいのだけど…。私はそれで失敗したようなものだ。どうしても新たな学校で出会った友だちと過ごす時間の方が増えてしまうものだから…。でもだからと言って、昔の友人との記憶がなくなるわけでもないし。最近は、キミたちが練習しているあの曲のおかげでその友人のことをよく思い出すよ。会えるものなら会いたいなぁ。」
白石先生から旧友も新しい友だちもどちらも大事にすればいいと教えられたものの、先生のいう通り、バランスが難しいなと思った。どうしたって、新しい友だちの方が身近だし、これからも一緒に同じ時間を過ごすわけだし…。仲間たちとの忘れられない思い出はあるけれど、それは思い出、つまりセミの抜け殻みたいなもので、今も生きている生身のものとは少し違う。いくら頑丈な組織で作られている抜け殻だとしても、いつかはバラバラに壊れてしまうかもしれない。身体を守ってくれる抜け殻はいつか手放さなければならず、大人になるまでにどこかに置き残さなければならない。どんなに大切だとしてもずっと抱えていられないものもあるのだ。そんなことをうだうだ考え続けていた真夏のピークの昼下がり、憂鬱な僕とは裏腹にセミたちは儚い命を謳歌するようにけたたましくジージー鳴き続けていた。
 
 夏休みの間、定期的に白石さんの家で虎山くんと歌の練習を重ねているうちに、あっという間に夏祭り本番の日を迎えていた。
 黒岩先生に引率されて、鳥野くんと竹内さんも来てくれることになった。大切な仲間の三人に見られると思うと、さらにがんばらなきゃと気合が入った。
「今年の伴奏者は友だちの瀬尾くんです。夏の終わりにぴったりのこの曲を聴いて下さい。『若者のすべて』。」
プロミュージシャンのMCのように、虎山くんが曲紹介し、演奏が始まった。五分にも満たない、短いその曲の中には切なく物憂げな夏のすべてが凝縮していた。みんなの胸に響く虎山くんの美声が、夏の宵に溶け込んでいた。
 特等席で黒岩先生、鳥野くん、竹内さん、それから白石さんと白石先生が僕らの演奏に耳を傾けてくれていた。
 
 数組の歌の披露が終わると、待ちわびていたように轟音が鳴り出した。漆黒の夜空に花火が輝いた。演奏を終えた僕の側に誰より先に白石先生が駆け寄ってくれた。
「瀬尾くん、キミが招待した人の中に、私の友人が紛れ込んでいたよ。もしかして、それを分かっていて、私のために呼んでくれたのかい?それなら、ありがとう。」
やっぱり黒岩先生の大切な友人は白石先生だったんだと気づいた。
「それは偶然です。僕は自分の仲間を自分のために招いただけなので…。黒岩先生も大切な仲間の一人なんです。」
「そうなんだね。瀬尾くんはやさしいから、てっきりすべてお見通しの上で、呼び寄せてくれたのかと思ったよ。」
「僕はやさしくなんかないです。大切な仲間を失うことが怖くて、この花火みたいにきらめいていた瞬間が遠く過ぎ去ってしまうのが怖くて、絆を確かめたくて、取り戻したくて三人を招待したようなものです。かけがえのない仲間たちにただ会いたくて…。それを勧めてくれたのは虎山くんだったんですが。だから虎山くんのおかげなんです。」
「瀬尾くんと虎山くんとそれから『若者のすべて』のおかげかな…。」
二人でそんな会話をしながら同じ空を見上げていた。
 
 そこに黒岩先生、鳥野くん、竹内さん、白石さん、虎山くんも加わった。みんないつの間にか、すっかり意気投合している様子だった。『若者のすべて』という音楽とセミという存在が僕ら七人の絆を結んでくれた。それは花火のきらめきのように、セミの命のように儚いものかもしれないけれど、僕らには記憶に残る、忘れられない音楽があるから、この曲を歌えばきっとどんなに時間が経っても多少離れてしまっても、揺るぎない絆を思い出すことができるだろう。「何年経っても思い出してしまうな…」といつの間にかみんなで花火を見上げながら、『若者のすべて』を口ずさんでいた。音痴な鳥野くんが音を外しても、誰も気にすることはなかった。歌の上手な虎山くんが鳥野くんをからかうこともなかった。終わりかけの夏の片隅で、密かに合唱したこの曲を僕らは決して忘れることはないだろう。
 
 中三の夏、僕の背中にセミがとまることはなかったけれど、セミの抜け殻コレクションは確実に増えていた。少し大人になったのか、あまりいたずらをしなくなった虎山くんがセミの抜け殻を見つける度にプレゼントしてくれたから…。
 
 夏の終わり、僕らの夏のすべてがつまっているようなセミの抜け殻という愛しい空っぽを抱きしめながら、少し速度の遅くなったセミの鳴き声を聞きつつ、いまだに落ち着かない時間の中をそっと歩き出していた。どんなに絆を確かめ合っても拭いきれない一抹の不安を抱えたままの僕はすりむいた心を抱えながら、名残惜しい夏をかみしめつつ、セミたちのいない次の季節に向かっていた。
 
こんな取り留めもないことをひたすら考えてしまう僕は結局、みんなのイメージ通り、ガラスのように繊細な人間なのかもれない。でもそんな性格だからこそ、かけがえのない仲間たちと出会えたのだから、僕はこんな性格の自分で良かったと思えた。
 
「それではロングホームルームを始めます。瀬尾くん、ぼんやりしてないで、ちゃんと話を聞いてね?」
窓の外を眺めながらアンニュイな気分に浸っていた僕は担任の先生から注意されてしまった。注意されたのに何だかうれしくなってしまった。セミロングホームルームの時の竹内さんと鳥野くんのことを思い出すことができたから…。

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