金木犀を知りたくなかった私が、あの香りに閉じ込めておきたかったもの

「におい」には、様々な思い出が宿っている。

秋によく話題に出るあの香り。
私は地元を離れて東京に来てから、初めてその香りを知った。
金木犀だ。

金木犀って北海道ではあまりメジャーな植物ではないと思う。
よく「金木犀の香りがする季節になった」なんて何かで読んだり聞いたりしていたが、私はその会話を地元でしたことは一度もない。
多分北海道の人からすると、金木犀って...？どういう匂いなの？という感じだと思う。

東京で暮らし始めた秋のある日。
「ん？なんだこの猛烈な香りは...？」と、私はその香りを初めて知った。
その時は、それが金木犀だということがわからなかった。
金木犀という言葉は知っていたが、それを見たことも嗅いだこともなかったからだ。